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» 2018年04月13日 14時00分 公開

海外医療技術トレンド(34):大阪の姉妹都市メルボルンに見る地域発デジタルヘルスの展開 (2/3)

[笹原英司,MONOist]

スタートアップ支援でグローバルな地域創生を目指すメルボルン市の施策

図1 図1 メルボルン市の「スタートアップ・アクションプラン 2017-21」(2017年6月草案公表) 出典:City of Melbourne「Startup Action Plan 2017-21」

 他方、地域行政機関によるスタートアップ支援体制も熱が入っている。例えば、メルボルン市政府は、スタートアップが「起業・成長・国際化を目指す」、オーストラリア・アジアで第一の都市になることをビジョンに掲げて、以下のようなミッションを策定した。

  • 大胆で、刺激を与える、持続可能なスタートアップコミュニティーを支援する
  • 全ての人にオープンでアクセス可能な参加の機会を創出する
  • 全てのスタートアップと起業家が完全に潜在能力を発揮するよう支援する

 その上でメルボルン市政府は、「スタートアップ・アクションプラン 2017-21」を公表している(図1参照、関連情報)。

 この計画では、行政機関の従来のサービスや責務を礎に、スタートアップの「誘致」「設立」「資金調達」「成長」「国際化」の5段階を後押しするため、表2に示すように、4つのテーマについて12のアクションを実施する予定だ。

テーマ アクション
持続可能な成長:事業の才能、投資、顧客誘致を後押しするサービス 1)ビジネス準備支援サービス
2)公的イベントおよび学習
3)イノベーションおよび研究プログラム
4)スタートアップのための国際的なコネクション
イノベーションの場:開放的でアクセスが容易なコミュニティイノベーションの場 5)イノベーション区域ネットワーク
6)コミュニティ・イノベーションラボ
7)ゆとりのあるスペース
内包的で協働的な文化:協働を後押しするプログラム 8)ショーケース・メルボルン
9)タートアップ・コミュニティ・プログラム
10)スタートアップ・フィードバック・チャネル
順応的なガバナンス:主要データやリソース、事業機会へのアクセス 11)スタートアップコミュニティー情報
12)メルボルン市調達
表2 メルボルン市の「スタートアップ・アクションプラン 2017-21」のテーマとアクション 出典:City of Melbourne「Startup Action Plan 2017-21」(2017年6月草案公表)を基にヘルスケアクラウド研究会作成(2018年3月)

 メルボルンは、昼間人口約92万2000人規模の都市であるが、早くからスマートシティーによるまちづくりに取り組んでおり、英国など、イノベーション推進策に積極的な政府機関や第一線のスタートアップ企業などから注目を集めている(関連情報)。

 また、スマートシティーのインフラ上で展開される生命科学、保健医療科学、工学などの研究開発でも、メルボルン大学、モナッシュ大学など、世界的に著名な教育/研究機関が存在しており、米国ボストンに似たコンパクトなライフサイエンスの産官学連携クラスタが形成されてきた。これら既存のナレッジベースをうまく活用しながら、学際的/業際的なデジタルヘルスハブの構築をめざしている。

 最近では、2018年1月8日、ジョンソン・エンド・ジョンソン・イノベーション(JJI)が、メルボルン市内のモナッシュ大学クレイトンキャンパスに、Medtech(医療技術)のパートナーリングオフィス(JJIPO@MONASH)を開設する計画を発表する(関連情報)など、欧米グローバル企業も注目している。

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