物流と一体化した自動化工場、アイリスオーヤマの関東戦略工場が始動メイドインジャパンの現場力(15)(1/2 ページ)

アイリスオーヤマは茨城県阿見町に国内9カ所目となる工場を建設し、このほど稼働を開始した。物流と工場の一体化を進め、LED照明の生産と供給、関東地域における物流の競争力強化を目指す。

» 2018年05月02日 10時00分 公開
[長町基MONOist]

 生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(仙台市)が、茨城県阿見町に2017年春から建設を進めていた国内9カ所目となる「つくば工場」(茨城県阿見町)が完成し、本格稼働した。同工場の新設により、家電事業・B2B事業の拡大を目指し、LED照明の生産・供給と関東地域における物流の競争力強化を図る。

photo 新工場「つくば工場」の全景(クリックで拡大)

増加する大型施設需要を獲得へ

 首都圏では2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えて、大型施設の建設需要や商業施設の再開発などさらなる市場拡大が見込まれている。アイリスオーヤマでは売り上げの約半分をこの地域が占めており、新工場の建設で、リードタイムの短縮など顧客の多様なニーズに対応できる供給体制を構築する狙いである。

 つくば工場は首都圏中央自動車道(圏央道)の阿見町インターチェンジより約2kmの阿見東部工業団地にあり、常磐自動車道、東関東自動車道へのアクセスも容易であるなど、首都圏および関東全域への交通の便が良く、出荷でのメリットが大きい。また、国内最大級の自動倉庫を備えることで同エリアの物流拠点としての役割を担う。

photo アイリスオーヤマ代表取締役社長の大山健太郎氏

 アイリスオーヤマ代表取締役社長の大山健太郎氏は「この工場は、ほとんど人が実作業を行わない自動化工場である。無人設備で照明器具を生産する最先端の工場だといえる」と先進的な自動化の価値について言及。併せて「毎年売上高が2割増で推移し、関東エリアでは埼玉工場、富士小山工場からの製品供給が逼迫している状況で、関東に3つ目の工場が必要だと考えていた」大山氏はつくば工場の役割について述べている。

 また、アイリスオーヤマの場合は、物流センターの中に製造設備を構える物流一体型工場が特徴となっているが「工場と物流拠点が一体化することで、中間物流を簡素化しサプライチェーンの効率化を実現している。アイリスオーヤマグループの売上高は2018年度に5000億円を見込んでいるが、2022年には1兆円と4年間で倍増を目指している。つくば工場は事業拡大のための主力工場として育て上げる方針だ。出荷額は初年度200億円を予定し、将来は400億円まで拡大する」と大山氏は目標を挙げる。

photo 自動倉庫の様子。工場とともに物流拠点としての価値も大きい(クリックで拡大)

 新工場の規模は、敷地面積が約6万3000m2。地上6階建てで延床面積は1万806m2に及ぶ。投資額は約100億円。建物の1階は荷さばき場となっており、3階でLED照明の製造を行う。その他のフロアは、今後物流関係の施設になる計画だという。

 つくば工場で生産するのはLED照明「ECOHiLUXラインルクス(LX)シリーズ(ベースライト)」とLEDシーリングライトの2品目。広さ約2979m2の製造フロアには実装クリーンルームを設けて基板実装のラインを配置。隣にLED照明2品目の各製造ラインを設置している。合わせて3ラインを4月24日から稼働させているという。

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