増収増益のパナソニック、テスラリスクもどこ吹く風で「絶えず変化する会社」へ製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニックは2017年度の決算を発表し、4年ぶりとなる増収増益を実現したことを明らかにした。2018年度もテスラ向けなどの車載向け電池がけん引し、増収増益の継続を見込む。

» 2018年05月11日 10時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 パナソニックは2018年5月10日、2018年3月期(2017年度)の決算を発表。4年ぶりとなる増収増益を達成し、新たな成長軌道に入ったことを強調した。

全事業部門で増収増益を達成

 パナソニックの2017年度通期の業績は、売上高が前年度比9%増の7兆9822億円、営業利益が同37%増の3805億円、税引前利益が同38%増の3786億円、当期純利益が同58%増の2360億円という結果となった。通期決算としては4年ぶりの増収増益で「(一時的な要素を除いた)実質的な業績で見ると2011年3月期(2010年度)以来の7年ぶりの増収増益」(パナソニック 執行役員 CFOの梅田博和氏)だという。

photophoto パナソニックの2017年度通期の業績(左)とセグメント別の実績(右)(クリックで拡大)出典:パナソニック

 2012年に代表取締役社長に就任し変革を進めてきたパナソニックの津賀一宏氏は「前回(実質的業績で)増収増益を達成した時期は、三洋電機を買収したころでテレビ事業が厳しくなってきた時だった。そこから構造改革を進めてきた。特に事業部制を通じて利益の安定性や経営状態の見える化ができるようになったのが大きかった。しかし、売上高と利益の両方を成長させるには想像以上に時間がかかった。事業部制に加えて現在の産業領域別のカンパニー制を作り、先手先手で事業内容を変えることができてきた結果が今回の増収増益につながった。さらに先手先手を打ち続けていくことで成長が続けられる」とここまでの手応えについて語った。

photo 売上高と営業利益の推移。2012年度から減収増益を続けてきたが、2016年度以降は増収増益の基調となっている(クリックで拡大)出典:パナソニック

 この流れのもと、さらに2019年3月期(2018年度)も増収増益を続ける計画だ。Tesla(テスラ)の5人乗りの普及型電気自動車(EV)「モデル3」向けの電池が大きく伸びる見込みのエナジー分野と、車載部品などのインダストリアル分野が成長のけん引役となり、売上高は前年度比4%増の8兆3000億円、営業利益は同12%増の4250億円、税引前利益は同11%増の4200億円、当期純利益は同6%増の2500億円を目指す。この純利益の2500億円は2016年度からの3カ年の中期目標としていた数値で、見込み通りに進めば目標達成となる。

photophoto パナソニックの2018年度通期の業績見込み(左)とセグメント別の業績見込み(右)(クリックで拡大)出典:パナソニック

 パナソニックでは事業を「高成長事業」「安定成長事業」「収益改善事業」の3つに分類してそれぞれの取り組みを進めてきたが、2018年度は車載電池、次世代コックピット、ADAS(先進運転支援システム)、エアコン、メカトロニクスを対象とした「高成長事業」が大きくけん引するという見込みを立てている。

photophoto パナソニックの2018年度の高成長事業、安定成長事業、収益改善事業の区分(左)とそれぞれの売上高や営業利益に対する貢献度(右)(クリックで拡大)出典:パナソニック
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