がん組織を非標識・無染色のまま自動的に可視化するイメージング技術医療機器ニュース

富士フイルムは、表面増強ラマン分光(SERS)を活用し、組織の代謝物を非標識・無染色のまま高精度に大面積で分析できる「SERSイメージング技術」を開発した。がん組織の分布を自動的に可視化できる。

» 2018年05月16日 15時00分 公開
[MONOist]

 富士フイルムは2018年4月19日、表面増強ラマン分光(SERS)を活用し、組織の代謝物を非標識・無染色のまま高精度に大面積で分析できる「SERSイメージング技術」を開発したと発表した。

 同技術は、ソラマメ状の金の微粒子を基板上へ均一に分散させることで、従来のラマンイメージングよりも感度が向上。大面積の対象物の検出を可能にした。独自の画像処理により、病変部などの必要な情報だけを可視化できる。また、基板に透明なガラスとベーマイトを採用。基板側から光を照射することで、対象物に妨げられずに照射とラマン散乱の検出ができるようになり、より高精度な分析が可能になった。

 さらに同社は、慶應義塾大学との共同研究で、SERSイメージング技術を利用してマウス生体切片からがん特有の分布を示す代謝物を特定し、がん組織の分布を自動的に可視化することに成功したことも明らかにした。

photo SERSイメージングデバイスの電子顕微鏡写真と走査イメージ(クリックで拡大) 出典:富士フイルム
photo がん組織の分布画像の例(クリックで拡大) 出典:富士フイルム

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