インダストリー4.0から描く制御の将来像、製造現場のスマート化には何が必要かハノーバーメッセ2018特別企画(フエニックス・コンタクト)

インダストリー4.0をはじめとするスマートファクトリー化への取り組みが加速している。理想と現実のギャップが存在する中、その両面で存在感を発揮しているのがドイツのフエニックス・コンタクトである。フエニックス・コンタクトはハノーバーメッセ2018において、製造現場の制御の将来像と現実的な今の課題を解決する各種製品群を紹介した。

» 2018年05月28日 10時00分 公開
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 インダストリー4.0をはじめとするスマートファクトリー化の動きが全世界で広がりを見せているが、これらの動きは“ジャーニー(終わりなき旅)”に例えられるように、理想を実現するまでに長い時間を要する。スマートファクトリー化を実現するためにはこうした将来の理想像とともに、現実的に今立ちはだかる問題を順次解決していく取り組みが必要になる。この両面に取り組んでいるのがドイツのPHOENIX CONTACT(フェニックス・コンタクト)である。

 フエニックス・コンタクトは、世界最大規模の産業関連技術の見本市である「ハノーバーメッセ2018」(2018年4月23日〜4月27日)に2700m2を超える出展面積で出展し、これらの「理想」と「現実」の両面を解決するさまざまな製品群やソリューション群を出展した。

photo ハノーバーメッセ2018のフエニックス・コンタクトブース(クリックで拡大)

制御の将来像を描く「PLCnext」と「PROFICLOUD」

 フエニックス・コンタクトは1923年ドイツのエッセンで創業し現在はブロンベルグに本社を構えている産業用制御機器の製造販売会社である。世界50カ国以上に拠点を持ち、2017年度全世界の売上高が22億ユーロを超え、2018年で95周年を迎える。日本法人は1987年に設立。現在本社(横浜市)を中心に全国10ヶ所の営業拠点(6月1日に石川県に開所予定の北陸支店を含む)と物流センター(川崎市)を展開中である。

 インダストリー4.0などで描かれる理想の姿に向けた取り組みとしてハノーバーメッセ2018でフエニックス・コンタクトが紹介したのが、オープン制御プラットフォームを構築する取り組みである「PLCnext」と、これらと関連して活用する産業用IoTプラットフォーム「PROFICLOUD」である。

 スマートファクトリー化を実現するためには、ネットワーク化が必須であり、そのためには自社だけの個別環境ではないオープン化が必要となる。しかし、従来のPLCは独自のPLC言語で書かれるものが多く、スマート化を進める上での障壁の1つとなっていた。これを解決しようというのが「PLCnext」である。

 「PLCnext」はオープン制御プラットフォームの基礎を形成することを目指す取り組みだ。従来のPLC用の言語と新たなコンピュータプログラム言語などを並行して使用できるような環境実現を目指している。Visual Studio、Eclipse、MATLAB/Simulink、PC Worx Engineerなどの構築されたソフトウェアツールの活用に加え、IEC 61131-3およびC/C++、C#、Simulinkでのプログラミングコードの活用もできる。サードパーティーによる機能追加や、オープンソースコミュニティーによる開発など、オープンプラットフォームで制御領域の革新を目指していることが特徴だ。

 「PLCnext」は2017年のハノーバーメッセでα版のハードウェアが発表され、SPS IPC Drives 2017でリリースされた。ハノーバーメッセ2018ではハードウェアが紹介された他、オープンな形でのエンジニアのコラボレーションを訴えた。

 フエニックス・コンタクトのインダストリーマネジメント&オートメーション部門のプレジデントであるウルリッヒ・ライデカー(Ulrich Leidecker)氏は「スマートファクトリー化の流れの中で、製造現場における制御領域でもオープン化やネットワーク化が求められている。この環境で新たな制御機器の理想の姿を考えると、さまざまな言語で開発されたさまざまなアプリケーションが使えればよいのは当然のことだ。オープンさを生かして新たなPLCの姿を実現したい」と述べている。

photo 「PLCnext」の紹介コーナーと、フエニックス・コンタクトのインダストリーマネジメント&オートメーション部門のプレジデントであるウルリッヒ・ライデカー氏(クリックで拡大)

 併せて、スマートファクトリー化を実現するのに必要な独自の産業用IoTプラットフォーム「PROFICLOUD」を展開。製造現場から吸い上げたデータを収納するだけでなく、製造現場など産業用途に合わせてデータを成形して可視化するテンプレートなども準備した。ハノーバーメッセ2018では、この「PROFICLOUD」にデータを送る通信機能を備えたIoTゲートウェイ「クラウドIoTゲートウェイ」なども出展している。

photophoto 「PLCnext」コントローラーを組み合わせたハードウェアの展示(左)とIoTゲートウェイの展示(右)(クリックで拡大)

 ライデカー氏は「インダストリー4.0などを含むデジタル化の動きはあらゆる産業にとって破壊的な変化となり得る。多くの産業領域が従来とは異なる姿になる。製造現場などの工場やオートメーションの領域も大きく変化する。Factory as a Serviceのように工場での製造そのものがサービスとして提供される時代もあるかもしれない。これらの中で新たな価値をどう提供していくかということに取り組んでいきたい」と新たな方向性について述べている。

「つながる工場」化で求められる制御盤の小型化

 ただ、ここまで紹介してきたような最先端ソリューションによる工場の未来像が本来の価値を発揮するのはまだ少し先の話となる。これらの新たな将来像を実現するために前提として必要となるさまざまな課題をクリアする必要があるからだ。これらに対し現実的な製品やソリューションを準備していることもフエニックス・コンタクトの特徴だといえる。

 「PLCnext」や「PROFICLOUD」で描く世界を実現するにはまず「つなぐ」ということが重要になるが、工場および工場内機器での制御盤ではスペースの問題や配線の問題などで新たなネットワーク用の接続機器や配線スペースを作るのが難しい場合も多い。こうした課題を解決する省配線化に向けた取り組みとして、新たに産業用PoE(Power over Ethernet)対応製品を強化する。

photo PoEの価値を訴えるデモ展示(クリックで拡大)

 PoEはイーサネットケーブルの接続のみで電源供給が可能な技術だが、「PoE+」や「PoE++」などより大きな電力を扱えるようになってきている。スマートファクトリー化を進める上で通信環境の整備は必須となりイーサネット関連機器を活用する場面も増えるが、制御盤など限られた領域の省スペース化や省配線化が可能となるのである。また、スマートファクトリー化を進めるうえで、人の導線管理などで映像を組み合わせることも増えているが、PoEにより工場内でのカメラ撮影用の機器などを1本のケーブルで接続するだけで、活用することなどが可能となる。

 ハノーバーメッセ2018の会場では、PoEスイッチとPoEインジェクターを紹介した。ライデカー氏は「より大きな電力に対応できるようになったことで利用用途が拡大した。今後も工場や製造現場での用途は広がる」と今後の見通しについて語る。

photophoto 監視カメラでのPoE活用のデモ(左)とPoEインジェクターを備えた制御盤(右)(クリックで拡大)

 同様に制御盤の小型化を実現する機器としては、薄型電子式サーキットブレーカーや小型スイッチング電源「QUINT Power(mini)」などを紹介。フエニックス・コンタクトでは世界で初めて薄さ6.2mmの電子式サーキットブレーカーを投入したこともあり、薄型化や小型化では定評がある。さらにラインアップを拡充することで、省スペース化ニーズに応え、制御盤に新たな機器を組み込める余地を生み出している。また、制御盤の小型化を実現するには、作業スペースを大きくとらなくても配線できるような作業効率も関係する。さらにフエニックス・コンタクトでは以前からPush-in端子台やプッシュプルコネクターなどで簡単安全スピーディーをキーワードに接続機器群を強化しており、これらのラインアップも充実している。

 ライデカー氏は「制御盤を小さくしつつも作業性を向上したいというニーズは製造装置や工場などで全体的に強い要求となってきており、これらの機器群が効果を発揮すると見ている」と価値について強調した。

photo 新発売した小型スイッチング電源「QUINT Power(mini)」(クリックで拡大)

機器の仕様が複雑化する中で求められる柔軟性の価値

 スマートファクトリー化に向けてはいまだに多くの企業が模索を続けており、確立した形が見えない状況である。その中でさまざまな新しい技術が登場し、製造装置などでも仕様が最後まで決まらなかったり、変更が頻発したりするケースが増えている。

 こうした状況に対応するためには個々の構成要素に柔軟性が必要になるが、新たにフエニックス・コンタクトがハノーバーメッセ2018に出展したのが「ICSシリーズ」というモジュラーケースである。これは各種モジュールを組み合わせることで簡単に端子台の数や配置位置などを変更できるというものだ。端子台などは最後まで仕様が決まらず、やむを得ずハウジングが2つになるケースなどもあったが、ICSシリーズを活用することで、柔軟な対応が可能となる。

photo モジュラー型ハウジングの「ICSシリーズ」(クリックで拡大)

 少点数での単独制御だけでなく,ネットワークを介して遠隔制御や分散制御にも使用できるスマートリレーシステム「PLC logic」、2極のモノブロックが新たに加わりより拡張性に富んだシリーズへと生まれ変わったPush-in式分岐ブロック「PTFIX」などもアピールした。

 ライデカー氏は「インダストリー4.0で目指す姿でもあるが、産業機器に関してもカスタマイズ性や柔軟性などに対するニーズは強く、今後もさらに高まってくると見ている。これらに対応する製品を充実していくことが重要になる」と考えを述べている。

photo 2極のモノブロックが新たに加わり、より拡張性に富んだシリーズへと生まれ変わった「PTFIX」(クリックで拡大)

 その他、レバー操作型のプリント基板用コネクター「LPC6/LPCH6シリーズ」なども披露。工具不要で簡単に結線でき、安全に接続することが可能とする利点を訴えた。

photo レバー操作型のプリント基板用コネクターLPC6/LPCH6シリーズ(クリックで拡大)

将来を見据えつつ今できる対策を

 ここまで見てきたように、スマートファクトリー化を進める中では、理想とする将来像を描きながらも、既存の設備や現在の製品開発において、いかに柔軟性や余力を生み出せるかということが重要になってくる。産業機械や製造現場で「つながる」ことを考えた場合、端子台やコネクター周辺における省配線化などの整理や省工数化は必須となる。この現状の製品開発と合わせて、オープンな制御による将来像を描くフエニックス・コンタクトは、インダストリー4.0時代の製造現場にとって良いパートナーとなり得るだろう。

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提供:フエニックス・コンタクト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年6月27日

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