「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
特集
» 2018年06月01日 06時00分 公開

TDBC Forum 2018:ラストワンマイルの移動を支えるバスとタクシー、「時代遅れ」から脱却するには (2/2)

[長町基,MONOist]
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「取りあえずやりやすい場所でやろう」は続かない

 国はこうした状況に対し、交通政策基本法の策定や地域公共交通活性化・再生法の改正などさまざまな法整備を進めてきた。本来であれば、こうした制度変更をビジネスチャンスとして生かすことが考えられるが、情報を知らない事業者や自治体が多くみられるという。

 公共交通に関する実証実験が行われている。ただ、新しい取り組みの実施が決して成功しているわけではなく、「デビューの華々しさが何だったのかと思うほど、気が付くとあっけなく消えている。こうしたケースをあまた見てきた」(加藤氏)という現状もあるようだ。

 「取りあえずやれるところでやってみて、うまく行ったら拡大するというやり方はほとんど通用しない。本当に必要としている場所では簡単にできないことが多く、避けられている。華々しく新しい試みがスタートし、利便性が高まると地域も期待するが、やりやすい場所では成果があがらず、期待はずれで失望する人が出てくる」(加藤氏)

 利用者や現場を起点とし、時と場所と場合に応じたサービスとするだけでなく、メディアを活用してそのサービスを周知することが重要だと説明した。

 公共交通で具体的な改革を進めるには、現場をモニタリングしてデータを得ることが必要不可欠だ。しかし、路線バスの場合は、乗車人数や収入はあっても、顧客の詳細データがほとんど把握されていないという。そのため、利用状況に合わせた改善や対応ができず、経験と勘に頼った見直しとなる。

 運行内容や利用状況、補助額などのデータベースができていないことも問題だと指摘した。業界標準のフォーマットで各社がデータベース化すれば、地図情報サイトなどへの情報提供が容易になり、利用者の利便性向上やサービスの計画策定にも有効だという。運輸局に申請するデータの電子化とオープンデータ化により、ICT対応の遅れを取り戻すべきだと呼びかけた。


 国土交通省は「国土のグランドデザイン2050」で、将来の都市の姿としてネットワーク型のコンパクトシティーを提案している。人口減少が進む中で、公共交通で楽しく出掛けられる地域こそが生き残れるのだという。

 加藤氏は「乗って楽しく、降りても楽しいという魅力を提供することで、QOL(Quality of life)を向上し、地域の豊かさを増進させるサービスを提供するのが公共交通網の存在意義である」とする。

 さらに加藤氏は「そうした公共交通網を作るためには、地域のさまざまな主体が一生懸命に取り組まなければならず、その取り組み自体が地域を盛り上げる原動力になる。つまり、地域の公共交通を頑張ることで地域をよくできるという大事なことを他人任せにしているようではダメであり、また、誰も助けてくれないという時代となっている」としていると主張した。

 そして、使いやすく多くの方に利用していただける公共交通づくりは、今後の日本が生き残っていくためにもとても重要なものであり、それを何とかしようとする人たちは重要なミッションを背負っていると訴えた。

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