人とくるまのテクノロジー展2018特集

開発加速するLiDAR、レベル3の自動運転に向けて自動運転技術(1/2 ページ)

レベル3の自動運転システムに向け、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の開発が加速している。サプライヤー各社がライダーの量産を開始する時期は、2020年ごろに集中する見通しだ。「人とくるまのテクノロジー展2018」にサプライヤー各社が出展したライダーを振り返る。

» 2018年06月05日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
ヴァレオが展示した2020年に量産予定のLiDAR(クリックして拡大)

 レベル3の自動運転システムに向け、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の開発が加速している。サプライヤー各社がライダーの量産を開始する時期は、2020年ごろに集中する見通しだ。

 レベル3では自動運転システム作動中のドライバーによる周辺監視が不要となる。そのため、センシングの冗長性を担保する理由で、カメラやミリ波レーダーにライダーを加えた複数の検出方式が採用されそうだ。また、ライダーの分解能の高さは、走行可能なスペースや小さな障害物などを検知する上でも重要になる。

 「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)にサプライヤー各社が出展したライダーを振り返る。

各社ともソリッドステート化

ZFとIbeoのソリッドステートライダー(クリックして拡大)

 既存のライダーは内部の回転鏡でレーザー光を広範囲に照射する構造だったが、メカ部分があることによって信頼性や耐久性が課題となる。各社ともメカレス化を前提に開発を進めている。ゼット・エフ・ジャパンは、2020〜2022年に量産予定のソリッドステートライダーを発表した。2016年に出資したIbeo Automotive Systemsと共同開発に取り組んでいる。

 Ibeoは自動運転向けの環境認識ソフトウェアに強みを持つ。ZF FriedrichshafenとIbeoが開発するライダーの特徴は、ハードウェアを変更せずにソフトウェアで検知性能をチューニング可能な点だ。前方監視用に検知距離の長さを優先したり、車両側方のセンシングに水平方向の視野角を拡大したりすることができる。ZFの説明員は「ミリ波レーダーやカメラと比べると、さらに小型化が必要だ」と今後の課題を述べた。

 コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパンは、レーザー光をストロボのように高速で照射する「3Dフラッシュライダー」を出展した。回転鏡のような可動部分のないメカレスの機構で、レーザー光を走査させる方式と比べて高速で移動する物体も高精度に検知できるという。

コンチネンタルの3Dフラッシュライダーのデモ(クリックして拡大)
京セラはカメラと組み合わせてヴェロダイン並みの高い分解能を達成(クリックして拡大)

 同展で披露したのは試作品で、視野角が水平方向120度、垂直方向が30度、20m先までの物体の検知に対応するものだった。実際の車両に採用するには、100m先にある大きさ20cmの物体が検知できることが必要だと見込む。3Dフラッシュライダーの検知性能の向上は、水平方向の視野角を狭める他、より強い光源の採用によって実現するとしている。

 京セラは、ライダー大手のVelodyne(ヴェロダイン)に匹敵する分解能を達成した試作品を参考出品した。ライダーとカメラを組み合わせることにより、ライダーでは検出が難しい大きさの物体も検知できるのが特徴だ。独自の光学系の設計によりメカレスで信頼性向上と小型化を実現したが、製品化には少なくとも2年以上かかるという。

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