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» 2018年06月08日 13時00分 公開

3Dプリンタ向けセラミックス材料を開発する自動車設計会社、若者にも訴える3Dプリンタ(3/3 ページ)

[加藤まどみ,MONOist]
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地元の3Dプリンタメーカーと協力して製品化を目指す

 藤氏は、愛知県の「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」の元で、無焼成セラミックスの詳細な固化メカニズムや内部構造の分析を進めるとともに、無焼成セラミックスによるブレーキ部品やヒートシンクの製品化及びルナクラフトとの協力により3Dプリンタの製品化に取り組んでいる。

 無焼成セラミックスの通常の加工工程は、まず粒子材料を転動ミルで混ぜ合わせて撹拌し、表面を活性化した後で薬品で処理する。その後、成形、加圧ろ過、一軸加圧などを経て固化させる。3Dプリンタによる造形では、成形(積層造形)と同時に固化させる。

 藤氏はルナクラフトの3Dプリンタを購入して、3Dプリンタに適した材料の調整を主に行いつつ、可能な範囲で機械的な改造を行っていた。その中で、無焼成セラミックスの3Dプリント技術を確立させるためには、機械の改造だけでなく制御プログラムの書き換えが必要だと感じたという。そこでルナクラフトとのやりとりが増え、協力して無焼成セラミックス3Dプリンタの実用化を目指すことになった。

新しい材料や方式に取り組んでいく

 現在は知の拠点あいちを拠点として、材料や装置の開発を進めているところだ。動作確認モデルを製作の後、材料供給機構の設計や、ポンプ、ノズルの試作および改良を行っている。現在、平面や円筒型、円錐(えんすい)型などの造形に成功している(図5)。樹脂のように温度が下がれば固まるのではなく化学反応によって固化が進むため、タイミングのコントールが大変だという。現在は逆さの円錐型でも形状を保持して固化できるよう検証中だ。

図5:セラミックス材料の3Dプリント例。固化のタイミング調整などが難しいという。

 今後は市販化に向けてプロトタイプを進化させていくという。造形範囲は200×200×150mmのサイズを想定しており、20MPa(メガパスカル)の実用強度を目指す。積層する面と面の間に弱さが出るため、それをどの程度まで抑えられるかだとしている。材料が肝になるため、専用の材料も何らかの形で販売することになるだろうとのことだ。

 ルナクラフトではユーザーの提案を元に、セラミックスに限らず他の材料の取り組みも進めているという。カーボン系フィラメントについても検証中である。また紫外線硬化樹脂の光造形にも取り組んでおり、さらにレーザー焼結方式の3Dプリンタの取り組みについても検討しているそうだ。

 「CADによる設計業務を行う会社はたくさんあります。人材が最も大事なので、就職活動をする若い人たちに知ってほしいし、一般企業との接点も増やしていければと思っています。そのため他社と違うことをやって差別化していく必要があります。3Dプリンタ事業を、その礎にしていきたいですね」(沢田氏)。

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