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» 2018年06月15日 14時00分 公開

MEDTEC Japan 2018レポート:モバイル化する医療機器、AIとロボットの活用も進む (2/3)

[翁長潤,MONOist]

モバイル超音波画像ソリューションを拡張

 ソシオネクストは、モバイル医療機器ソリューション群「viewphii(ビューフィー)」などを出展していた。viewphiiシリーズは、小型、軽量、ケーブルレス端末で非侵襲の各種モニタリングを実現するモバイル医療機器ソリューションとして、医療機器メーカー向けデザインキットとして提供されている。Wi-Fi経由でデータをクラウドに送信し、タブレット1台で統合管理できるのが特徴だ。

「viewphii US」 コンベックス型 「viewphii US」 コンベックス型(クリックで拡大)

 同社の出展ブースでは、viewphiiシリーズのモバイル超音波画像ソリューションである「viewphii US」シリーズを展示していた。viewphii USでは、従来のリニア型2種(周波数7.5MHz、10MHz)と、新製品となる「コンベックス型」のプローブが紹介されていた。

 今回、USシリーズでは、信号処理に利用していた従来のFPGAに代わり、新規で開発した専用SoC(System on a Chip)を採用した。同社は、富士通とパナソニックのシステムLSI事業を統合し、SoCの設計・開発、販売などの事業を展開する企業だ。

 ソシオネクストの説明員によると「USシリーズの特徴は、ケーブルレスであることと、画像生成処理の部分をSoCでワンチップ化して搭載している点」という。SoCの搭載により、高画質化と共に消費電力の低減などが図られた。

 また、新製品となるコンベックス型は、周波数が3.5MHzで測定エリア(幅×高さ)は約54×180mmとなっている。同社では、新製品を提供することで、従来の血管描出や軟部組織描出などに加えて、妊婦などを対象にした腹部観察にも利用できるなど、利用用途が広がった」と説明する。

 今後の展開については、さらに高周波数化を図ることでラインアップの拡充を目指す。「13M、15MHzなど周波数を上げることで、より画像の精度を高める予定。整形外科などのニーズも満たしていきたい」(同社の説明員)という。

「SynQuacer E-series」の外観 「SynQuacer E-series」の外観(クリックで拡大)

 また、ソシオネクストでは、viewphiiとの連携による高度な医療ソリューションを提案するための省電力AI(人工知能)サーバ「SynQuacer E-series」を展示していた。SynQuacer E-seriesは、Armの64ビットプロセッサアーキテクチャ「v8-A」に対応するプロセッサ「SC2A11」を搭載したソフトウェア開発環境として利用する。AI推論処理などに用いられ、CNN(畳み込み)学習によって画像の特徴点を抽出できる。

 近年、GPUを用いたディープラーニングにより、画像解析や診断、創薬といった医療分野での成果が生み出されてきている。特に、NVIDIAが提供する「NVIDIA DGX-1」は、ディープラーニングとAIを活用した分析のための専用システムとして注目を集めている。ただし、導入に当たっては相応のコストがかかる。

 「SynQuacer E-seriesの提供価格は、50万円程度。NVIDIA DGX-1と比較すると、処理性能は6分の1程度だが、提供価格は20分の1以下に抑えている。ソフトウェア開発環境に適したハードウェアの1つの選択肢と考えている」(同社の説明員)という。

水晶振動子からモバイル超音波機器の開発まで

 日本電波工業は、モバイル超音波機器を参考出展していた。同社は、電子回路に用いられる水晶振動子のメーカー。超音波を送受信する回路を組み込んだ超音波プローブを提供する医療機器用部品のサプライヤーでもある。

 今回出展したモバイル超音波機器は、現在開発中のリニア型プローブ製品だ。周波数は7.5M〜10MHzで約3時間連続動作する。超音波機器は、周波数が高くなるほどより詳細に表面を見ることができる。開発中の機器は、動脈硬化の早期発見や、間接リウマチの診断、穿刺ガイドなど頸動脈や上腕動脈、間接の観察といった用途に用いられる。

日本電波工業が開発中のモバイル超音波機器 日本電波工業が開発中のモバイル超音波機器(クリックで拡大)

 他社との差別化要因としては、リニア型の携帯タイプであることで持ち運びが便利である。また、機能を絞り用途を限定することで利便性を重視した。「大型機器は何百万〜何千万円するものに対して、この製品は数十万円程度に抑えることができる」と説明する(日本電波工業の説明員)。2018年内に開発を終了して、2019年早々の販売開始を予定している。同社では、年間3000〜5000台の導入を目標に掲げている。

 この他に、カプセル内視鏡や補聴器などに用いる水晶振動子の新製品も展示していた。水晶振動子は、医療機器の小型化には欠かせない部品の1つ。従来提供してきた1.2×1.0mmの小型・低背水晶振動子よりもさらに小型化した1.0×0.8mmの水晶振動子だ。「カプセル内視鏡のサイズをもっと小型化したいというニーズに応えている」(同社の説明員)という。同社では、さらに水晶振動子の小型化を進めており、既に0.8×0.6mmの開発も進行中である。

1.0×0.8mmの水晶振動子ペースメーカー用の音叉型水晶振動子 1.0×0.8mmの水晶振動子(左)とペースメーカー用の音叉型水晶振動子(右)(クリックで拡大) 出典:日本電波工業

 参考出品として、同社はペースメーカー用の音叉型水晶振動子を展示。心臓ペースメーカーなど体内植え込み型の医療機器は、従来、磁気共鳴画像装置(MRI)の検査を受けることができなかった。参考出品された音叉型水晶振動子では「検査で問題となる強磁性体の使用量を極力少なくすることで、MRIに反応しないレベルまでに改善している」という。

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