水蒸気蒸留が違いを生み出す、日本発の加熱式たばこ「Ploom TECH」小寺信良が見た革新製品の舞台裏(10)(1/5 ページ)

加熱式たばこが人気である。通常の紙巻きたばこが、たばこの葉を「燃焼」させて煙を吸引するのに対し、加熱式たばこは発火点より低い温度で「加熱」するのが特徴だ。今回は、日本発の加熱式たばこ「Ploom TECH」の開発元であるJTに話を聞いた。

» 2018年06月26日 10時00分 公開
[小寺信良MONOist]

 加熱式たばこが人気である。通常の紙巻きたばこが、たばこの葉を「燃焼」させて煙を吸引するのに対し、加熱式たばこは発火点より低い温度で「加熱」するのが特徴だ。

 2015年9月に、スイスのフィリップモリスが加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」を発売するや、日本中で品薄のため「買えない」との悲鳴が上がった。普通に買えるようになったのがごく最近であることを考えれば、丸2年以上品薄が続いたことになる。

 「加熱式たばこ」と呼ばれるジャンルの製品は、他に2つある。ブリティッシュ・アメリカン・タバコが開発した「glo(グロー)」は、2016年12月に仙台市限定で発売がスタート。以降大都市を中心に販売を広げ、2017年10月には全国発売となった。

 そして日本発となる加熱式たばこが、日本たばこ産業(以下、JT)が開発した「Ploom TECH」だ。2016年3月からテスト販売を開始し、直営店および一部の店舗のみで取り扱ってきたが、2018年6月4日からは全国のたばこ販売店で、同年7月からはいよいよ全国のコンビニなどでも展開が始まる。

 3製品のうち、一番人気はIQOSであろう。先行して発売されたこともあり、加熱式たばこの代名詞として、多くの人に記憶された。gloおよびPloom TECHは、全国展開が遅れたこともあり、IQOS人気によってけん引されている感があるのは事実だ。

 一方これらの「加熱式たばこ」に対して、「電子たばこ」というジャンルもある。日本ではVapor(ベイパー)として認知されている製品群だ。加熱式たばこが実際にたばこの葉を使うのに対し、電子たばこは液体(リキッド)を加熱して蒸気を発生させ、それを吸引する。

 日本国内では、Vaporは正式には「たばこ」ではない。なぜならば、日本国内で販売されているVapor用リキッドには、ニコチンが含まれていないからだ。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」によって、ニコチンを液体に溶かして吸引することが禁止されているからである。

 さて、今回は人気爆発の加熱式たばこを取材すべく、Ploom TECHの開発元であるJTに話を伺った。ご対応いただいたのはJT たばこ事業本部 課長代理の岩崎譲二氏と、同 堀井彩氏である。

JT たばこ事業本部 課長代理の堀井彩氏(左)と岩崎譲二氏(右) JT たばこ事業本部 課長代理の堀井彩氏(左)と岩崎譲二氏(右)

急速に浸透する加熱式たばこ

―― 現在加熱式たばこが人気です。日本において、加熱式たばこの市場というのはどれぐらい拡がっているのでしょうか。

岩崎譲二氏(以下、岩崎) 日本国内では、たばこ市場全体の20%ぐらいが加熱式たばこでしょうか。たばこ市場というのは、それほど激しく変動しないものなのですが、発売3年余りでここまで来たというのは、非常に衝撃的な展開と言っていいと思います。

―― 意外に20%ですか。コンビニやスーパーのレジでの訴求からすると、もう半分近くまで来ているのではないかという印象すらあります。

岩崎 存在感という点では、おっしゃる通り半々ぐらいかもしれません。銘柄の豊富さという点では今だ紙巻きたばこの方がまだ圧倒的なんですが、店舗のディスプレイとしては加熱式たばこをメインで訴求されるところは多いですね。

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