特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年07月03日 11時00分 公開

「分析したら何でも分かる」は妄想? 第4次産業革命の前提となるデータの考え方いまさら聞けない第4次産業革命(24)(3/3 ページ)

[三島一孝,MONOist]
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データ分析の壁を乗り越えるために考えるべきこと

 データ分析で成果を得るために必要な考え方にはどういうポイントがあるのでしょうか。

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確かにITベンダーやIoTプラットフォーマーがいうほど、簡単ではないんですよ。データ周りの準備や整備がすごく大変で、成果も出るのかどうか分からないし……。印出さん、何とかなりませんか。


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現状だけを考えると、覚悟を決めて乗り越えていくしかないわね。いずれはさまざまなテンプレート的なものが生まれてくるんでしょうけど。


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ええ、そうなんですか。


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そうね。現在は第4次産業革命と呼ばれる変革の時だというのはこの連載でも訴えているけど、それはまさにこの「データ」を簡単に扱える環境に移行しているともいえるのよ。その過渡期なの。


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今はこれらを1つ1つ乗り越えて、正解の形を作り出していかないといけないということなんですかね。


 そもそも製造業がスマートファクトリーなどデータ活用を進める上で認識していないといけないのは、データを扱うのは簡単なことではないということです。そして、データを活用して成果を得るためには「目的」と「最適な手段」が必要だということも付け加えておきます。

 「目的」が決まれば、それに必要な「データ」や「項目」「取得方法」や「粒度」などが決まってきます。一方で、これらの「目的」や「最適な手段」を考えずにデータを集めても、それは「ある目的を達成するには不十分」であることが起こり得るわけです。

 実際に、現状ではデータ活用を行う工場内でも「目的」に対し、分析を行ってみては、足りないデータを新たに取り直してみる、というような取り組みが繰り返し行われている状況です。いまだに「この目的を達成したければ、このデータをこういう形で取れば良い」というベストプラクティスの数は非常に少なく、試行錯誤を繰り返す覚悟で取り組むことが必要です。決して、右から左で分析して成果が出るものではないということをあえて強調しておきます。

データ活用の最初の一歩をどう考えるか

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でもそんなに手間がかかるのであれば、費用対効果も見えにくい中で、誰も取り組めませんよね。


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そうね。だからこそ、目的がはっきりしたところでスモールスタートし、その形で成果が見えたところで、大きく拡大することが現実的なのではないかしら。


 「目的」がはっきりしたところでまずは小さいラインで始めてみて、成果が出るところまで取り組んでみる。そこで得られた成果を適用できそうなところに当てはめていくというやり方です。自社なりのベストプラクティスを作り上げて展開していくイメージです。

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第4次産業革命と呼ばれる動きで今がチャンスなのは、まさにこの「自分なりのベストプラクティス」が新たなチャンスを生むからなのよ。


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どういうことですか?


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この「自分なりのベストプラクティス」を活用することで、自社の現在のビジネスの競争力強化につなげられる一方で、この「ベストプラクティス」が他の企業にも適用できるようなら、これをそのまま販売するようなことも可能になるからよ。第6回などでも紹介した製造業のサービス化ね。


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なるほど、大変だけど、そこがうまみになるということなんですね。うーん。でも大変なのはいやだなあ。


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新たなチャンスだということで我慢ね。いずれこれらのデータ活用の仕組みも徐々に整ってくるはずよ。


 本連載では、繰り返し、「第4次産業革命は正解例がまだない」という点と、だからこそチャンスがあるという点を訴えてきています。データを扱うことで成果が得られるというのはITベンダーやコンサルテーション企業がいうほど簡単ではありません。しかし、だからこそ、その正解の形を見つけられれば、新たな価値を得られるのです。そして、それを見つけ出すには「データを生み出すモノ」を保有する製造業が有利な立場にあるということを訴えておきたいと思います。


 さて今回は、第4次産業革命の中核である「データ」についての考えをまとめてみました。次回も最新の動向に合わせてタイムリーな話題を取り上げたいと思います。

連載「いまさら聞けない第4次産業革命」の目次

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