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» 2018年07月18日 06時00分 公開

エコカー技術:大型トラックに“元を取れる”ハイブリッドモデル、高速道路での燃費を改善 (2/2)

[齊藤由希,MONOist]
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バッテリーセルは東芝製

プロフィアのハイブリッドモデルからリチウムイオン電池を採用する(クリックして拡大)

 バッテリーセルは東芝の「SCiB」を採用した。駆動用バッテリーは車両後方下部に配置している。乗用車のように室内のエアコンを利用して冷却することが難しいため、内部循環の強制空冷方式で冷却する。この冷却構造により、長期間、長距離走行での信頼性確保が図れるとしている。

 駆動用バッテリーの容量は、荷室を邪魔せず積載量を確保できること優先して11kWhとした。「他のハイブリッド車のバッテリー容量と比較すると、小型トラックが1.9kWh、路線バスが7.5kWhなので、大型トラックにしては容量が増えていないと思われるかもしれない」(山口氏)。限られたバッテリー容量で効率よく大容量の減速エネルギーを回収するため、走行ルートで発生する負荷を“先読み”するバッテリーマネジメント機能を搭載した。

 具体的には、車両の進行方向の標高や勾配のデータと車両の位置情報を基に、どの区間でどの程度充電し、どこでモーターアシストを行うか、ロケーターECU(電子制御ユニット)でハイブリッドシステムの制御シナリオを策定する。標高や勾配は100km先までのデータを反映させるが、モーターアシストの配分は10km単位の勾配の情報からシナリオを見直しながら走行する。「ロケーターECUがなければ、長い坂道で一気に充電し、バッテリーの限界を超えて温度が上がってしまうことがあり得る。先読みしていれば、『ここは少しずつ充電しよう』『ここで一気にモーターのトルクを使おう』といった作戦を立てて、温度が上がりすぎないように使うことができる」(山口氏)。

 バッテリーは外部給電機能も備えており、非常時の電源として使うことも可能だ。

 他の大型車メーカーでも勾配の情報をエンジンやトランスミッションの制御に応用する取り組みはあるが、ハイブリッドシステムの制御で地図情報を使うのは「世界初」(日野自動車)だとしている。

EV走行は14kmまで、最高速度は時速90km

 この新開発のハイブリッドシステムでは、定常走行であれば、満充電から約14kmまでEV走行できる。また、EV走行での最高速度は時速90kmだ。EV走行中はエンジンと駆動系をクラッチで切り離すが、エンジンを停止せずアイドル状態を維持する。パワーステアリングやブレーキのコンプレッサーを駆動するためだ。「EV走行ではエンジンを止めた方がいいと思われるかもしれないが、アイドル回転でEV走行しても燃費は40km/lだ。エンジンを止めなければもったいないとは認識していない」(日野自動車の説明員)。モーターの最高出力は90kW(1100〜2900rpm)、最大トルクは784Nm(1100rpm)を発揮する。

 ハイブリッドシステムによる重量増を打ち消すため、トランスミッションや、エンジンとモーターを切り離すクラッチは軽量化を図った。12速のAMT(自動マニュアル変速機)はシンクロ機構を省略し、エンジンとAMTの間にあるモーターで回転数を合わせてつなぐようにした。また、クラッチは構造がシンプルなエアシリンダーとした。簡易な機構とすることで故障しにくく、信頼性も向上させた。

プロフィアのハイブリッドモデルにCO2削減の切り札と期待を込める(クリックして拡大)

 プロフィアのハイブリッドモデルの販売価格は検討中のため非公表とした。積載量は「車両の重量を抑えて最大限確保できるのが14.5t」だという。

 大型トラックは商用車の中で群を抜いて年間走行距離が長く、燃費が平均で3.5km/lと悪いため燃料消費量も多い。日本国内の統計では、商用車の燃料消費量の60%を大型トラックが占めており、大型トラックの燃費改善は商用車全体の燃料消費量低減に大きく貢献すると見込む。そのため、日野自動車はプロフィアのハイブリッドモデルを「CO2削減の切り札」と位置付けて提案していく。

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