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» 2018年08月17日 10時00分 公開

ジェネレーティブデザインって何? Fusion 360のエバンジェリストに聞いたトポロジー最適化とは何か(4)(3/3 ページ)

[水野操 mfabrica合同会社 社長/3D-GAN,MONOist]
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3Dプリンタの活用を前提に設定する

 さて、製造方法の設定が、これまで述べてきたトポロジー最適化と違いますね。ここでは、3Dプリンタの活用を前提として、最小肉厚やオーバーハングの条件などを考慮した上で形状まで考えてくれるということになります。

(出典:オートデスク)

 部材の材質の選択は、他の解析同様に必ず必要ですね。ちなみに、藤村さんは、将来複数の材料が扱えるようになるともっと面白いかもと言ってましたが、私もそう思います。

(出典:オートデスク)

 で、設定の最後がアウトプットの総数になります。

(出典:オートデスク)

 ジェネレーティブデザインは、さまざまな可能性を提案してくれますが、最後に決定するのは人間です。そして、その提案に基づいて、デザイナーは新たな自分なりのデザイン案を考え、また設計者はこれまでにない新たな構造を検討するなど、自分なりの付加価値をつけていく作業へと入っていくことになります。

 さて、まだまだ始まったばかりのジェネレーティブデザインだが、気の早い人たちは既に成果を出しつつあるようです。

経験が少ない若手でも、すごい設計ができる可能性

 ということで実例が以下です。

(出典:オートデスク)

 このモデルは、楠田亘さんという、なんと若干18歳の方が作ったモデルで、私はお会いしたことがないですが、普段はフレップテックという会社で、子どもたちにプログラミングや、3D CAD、メカニカルエンジニアリング、プロジェクトマネジメントなどを教える側、企業からの受託プロジェクトなどをやっているとのこと。また、Robocupチーム「HrepMu」のリーダーでもあるそうです。

 で、このモデルはそのRobocup競技用ロボットのためのフレームで、アカデミーで受講後にソフトを買ってわずか数時間で出てきた、初期の概念試作的な結果形状とのこと。すごいですね。

 従来、きちんと設計しようと思うと、それなりの経験を積むことは避けられませんでしたし、現在も多くの場合それは事実でしょう。しかし、ジェネレーティブデザインの活用でハードウェアの設計の一部においては、若い人たちが年長者の経験を超越する可能性を秘めています。

 「でも、これは若い人たちだけでもものでもないかもなぁ」とも思いました。新しい道具を使って若い人たちは、自分たちがまだ持っていない経験を乗り越える可能性があります。一方で、大人の方は、経験という圧倒的な味方であり、一方で思い込みという足かせになるものから自分を解き放つきっかけにもなりえます。

 そうそう、最後に藤村さんが、こんなことを言っていました。

 「こういう道具を使うにはやっぱり基本的な知識が必要。つまり材料とか各種工学的な知識です」。

 ランダムな結果を入れればランダムな答えしか出てこない。ここは一般的な解析と同じというわけです。



 今回の記事は、以下のメッセージで締めたいと思います。

 18歳の若者が数時間であんなことができる世の中なんです。私も思い知らされましたし、ぼやぼやしているわけにはいかないと思いました。私と同世代? の大人の皆さんも大丈夫でしょうか……?

 私も法政大学大学院のアーバンエアモビリティ研究所でUAM(都市航空交通)を開発するチャレンジャーとして、気持ちだけでも“若者”として頑張っていきたいと思います!

 では〜!(次回に続く)

Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。



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