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» 2018年10月17日 10時00分 公開

AI画像判定サービス:画像検査適用が難しかった製造現場、その課題をエンジニアリングAIが解決

産業設備や装置などのエンジニアリング系データを対象としたAIのノウハウを体系化した「Paradigm」を核に、安川情報システムが新たなソリューションを打ち出した。エッジ端末を利用し、製造現場においてリアルタイムのAI画像判定を実現する「MMEye」と呼ばれるサービスだ。

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 安川電機の情報システム部門から独立する形で1978年に創業し、40年の歴史を重ねてきた安川情報システム。ビジネスシステム構築や組み込み制御システム開発で培ってきた業務ノウハウとソリューションの豊富な品ぞろえを生かし、製造業の経営資源の有効活用につながるストーリーを描きだす提案、そしてデジタル変革の支援を行ってきた。

 その強みが余すことなく発揮されているのが、まだIoT(モノのインターネット)という概念自体が確立されていなかった十数年前から注力し、体系化を進めてきたIoTソリューションだ。工場内の多様な機器からデータを収集し、稼働監視やレイアウト監視、保守点検管理などの多彩なサービスをクラウドから提供する「MMCloud」がそれである。

 データ収集から分析までに必要となる機器や機能をオールインワンでパッケージ化し、スモールスタートを可能とする「IoTスターターパック」も提供し、大手のみならず中小の製造業におけるIoTの取り組みのハードルを下げてきた。

 また、MMCloudの新たな標準クラウドプラットフォームとして「Microsoft Azure」を採用することで、より多くの機器との接続やグローバル対応を強化。今後、データベースやWebサービスなどのミドルウェアおよびランタイムを提供するMicrosoft Azureの豊富なPaaS(Platform as a Service)との連携を進め、データ活用の幅を広げることで、ユーザー企業へのさらなるサービス向上を図っていくとする。

安川情報システム マーケティング本部 IoTコンサルティング部 部長の叢偉氏 安川情報システム マーケティング本部 IoTコンサルティング部 部長の叢偉氏

 そうした中で安川情報システムが新たな価値創造の柱に位置付けているのが、AI(人工知能)技術の活用である。同社 マーケティング本部 IoTコンサルティング部 部長の叢偉氏は、「当社は産業設備や装置などから収集したエンジニアリング系データを対象として、独自の機械学習アルゴリズムを組み込んだAIプラットフォーム『Paradigm(パラダイム)』の研究開発を手掛け、既に10件以上の特許を出願しています」と語る。

 故障予知/異常検知が可能な「MMPredict」や、熟練者ノウハウの継承を支援する「MMGuide」、製造/運用品質の向上を図る「MMsmartFactory AI」といったソリューションにParadigmは実装され、幅広い製造業のビジネスで活用されているという。

 さらに安川情報システムでは、このAIプラットフォームをより多くのエンジニアリングに適用すべくソリューション開発を進めている。そして2018年11月の正式リリースを予定しているのが、製造業の現場でAIによる画像判定を行う新サービス「MMEye」である。

「Paradigm」を核とする安川情報システムのAIソリューション 「Paradigm」を核とする安川情報システムのAIソリューション

「MMEye」は異常検知、レベル判定、分類が可能

安川情報システム デジタルプロダクト本部 AI開発部 部長の小畑昌之氏 安川情報システム デジタルプロダクト本部 AI開発部 部長の小畑昌之氏

 MMEyeは、深層学習(ディープラーニング)をベースとした画像解析技術により、画像検査装置を適用することが難しいとされてきた製造現場での画像判定を実現する。安川情報システム デジタルプロダクト本部 AI開発部 部長の小畑昌之氏は、「事前にクラウド側で学習させた判別モデルを、GPUボードを搭載する製造現場のエッジ端末に展開し、1秒以下というリアルタイムに近いスピードで画像判定を行えるのが特長です」と語る。

 現在、多くの製造業が同様のエッジコンピューティングにチャレンジしているが、同社はその仕組みをいち早く製品/サービスのレベルで実用化したのである。「マイクロソフトが提供している『Azure IoT ソリューション』が、今回の開発に大きく役立ちました」と叢氏は説明する。

 具体的にMMEyeは、どんな業務シーンに適用できるのか。現在想定されているのは、製造過程の工業製品のキズ検出やドローン画像を用いた施設点検など「異常の検知」、食品加工における焼き加減など「レベル判定」、家庭ごみや産業廃棄物の仕分けなど「分類」といった用途である。

「MMEye」の機能と特長 「MMEye」の機能と特長

 そうした中でMMEyeには、より少ない作業負担で現場が容易に導入できるように徹底した配慮がなされている。今まで、製造ラインで適用された画像の認識や分析の取り組みが紹介されることは多いが、実際には画像処理装置の高度なパラメータ設定が要求されるなど実用化までに至るまでのハードルは非常に高い。これに対してMMEyeを導入する企業は「学習用のサンプル画像を準備するだけでOK」(叢氏)だという。

 しかも、そのサンプル画像は必要最小限でよい。「MMEyeに実装したGAN(Generative adversarial networks:敵対的生成ネットワーク)と呼ばれるアルゴリズムにより、類似画像を自動的に生成することで、学習のため必要とされたデータ収集作業を大幅に削減します。さらに、これらの類似画像に人の判断を追加したり、画像判定の結果データをフィードバックしたり、学習を重ねることで精度はどんどん向上していきます」と小畑氏は語る。

「MMEye」の自動類似画像生成機能のイメージ 「MMEye」の自動類似画像生成機能のイメージ

 実際に、国内の製造業は生産の歩留まりが極めて高く、そもそも不良がめったに発生しない場合も多い。そこで学習用画像を集められず、モデル生成が頓挫してしまうことがあった。MMEyeを活用すれば、こうした問題も簡単に乗り越えられるわけだ。

 加えて安川情報システムは、この学習プロセスを人的な側面からもサポートする。「さまざまな画像に対してどういった前処理を行っておけば、AIによる精度を高めることができるのか――。私たちには多くのSI案件で蓄積してきた豊富なノウハウがあります。その専門的な知見を持った弊社のデータサイエンティストが、お客さまと一緒になって画像データの分析や学習に当たり、実用的な精度を得られるまで一貫して支援します」と叢氏。「過去に組み込み系のソフトウェアを開発していたメンバーが、そのままデータサイエンティストに転身してお客さまの現場に赴くこともあります。装置の制御システムを熟知するこうした人材の層の厚さこそが、弊社が提供するエンジニアリングAIの最大の強みです」と小畑氏も訴求する。

食品から建設機械、自治体まで拡大するAIソリューション導入事例

 先述した通りMMEyeの正式リリースは2018年11月だが、既に一部の顧客と実証実験をスタートしており、成果を上げつつある。

 ある食品メーカーの菓子の製造ラインにおける焼き加減の判定もその1つだ。焼き色の異なる画像データをMMEyeのAIエンジンを用いて学習/分類し、即座に判別するというものだ。NG品を抽出して製造ラインから除去すると同時に窯の火加減を的確にコントロールし、以後NG品が発生するのを防ぐ。これにより人間の検査員に頼って行われていた目視検査を縮小/廃止することが可能となり、「緊張が長時間続く作業からの負荷軽減を図れる他、属人的なバラツキのあった品質を平準化することができました」と叢氏は語る。

「MMEye」の菓子製造ラインへの適用事例。NG品の抽出や状態に合わせた火加減調整が可能に 「MMEye」の菓子製造ラインへの適用事例。NG品の抽出や状態に合わせた火加減調整が可能に
菓子製造ラインにおける「MMEye」のAI画像判定画面 菓子製造ラインにおける「MMEye」のAI画像判定画面

 なお、MMEyeの正式サービス開始時には、クラウド上で画像判定のAIモデルの構築と確認を手軽に行える“お試しサービス”も用意する予定だ。

 もちろん、既に正式サービスを開始しているAIソリューションでも多数の採用実績がある。

 産業用冷凍機の製造販売を手掛ける前川製作所は、MMPredictを導入することで自社製品の装置振動やモータトルクなどによるデータの相関関係をAIで分析/学習。国内外の顧客先に設置された機器に対して、故障予知に基づいた予防保全を実現した。これにより、必要な部品だけの交換による保守コストの削減、故障予兆をいち早く捉えて計画的な保守の実行が可能になった。さらに、リモートメンテナンス機能で保守作業そのものを迅速化/効率化するなど、顧客満足度を向上している。

 油圧ブレーカー販売を手掛ける東空販売もAIエンジン製品を導入。高衝撃に耐えるセンサーデバイスを開発し、顧客である重機メーカーの建設機械に実装。そこから収集したデータをエッジ端末のAIで学習させ、生成した判定モデルを高速実行することで、これまで困難だった油圧ブレーカーの故障予知を実現した。さらに建設機械の稼働状態を可視化することによる異常の早期検知、アタッチメントの故障予知といった分野にもAIによる学習/分析の適用範囲を拡大し、保守サービスの効率化につなげる。顧客の先にいるエンドユーザーに対する最適なメンテナンス提供を実現するとともに、製品ライフサイクルコストの低減にも貢献することが期待されている。

 また、安川情報システムは熟練者のノウハウ継承を支援するAIソリューション「MMGuide」も提供している。同ソリューションを浄水施設に導入することで、設備の運用実績から水質と薬剤注入量の関係をAIによってモデル化。配水量、取水量、薬剤注入量の予測に基づいたガイダンスを行うことで、運用保守業務を効率化、省人化できる。これにより薬剤の過剰/過小投入が防止され、結果として熟練者でなくても浄水施設の運用が可能となり、作業の属人化を解消することができる。

 これら安川情報システムのAIソリューションは、実証実験レベルで50社以上、実運用レベルで10数社が採用している。「2020年までに100社に採用してもらえるよう、AIソリューションのラインアップを拡充していきたい」(叢氏)という。

「YE DIGITAL」への社名変更に込めた思い「グローバルに事業を展開していく」

 話は前後するが、安川情報システムが提供するエンジニアリングAIのノウハウを体系化した「Paradigm」の名前の由来は、Predict(予測)、Analyze(分析)、Robotics(ロボット工学)、Artificial intelligence(AI)、Decision making(意思決定)、Image processing(画像処理)、Global(世界に向けた)、Machine learning(機械学習)の頭文字をとったものだ。多彩な保有技術をベースにしたAI技術で人々の行動変化を促し、既存の価値観を変えていくという思いが、そこに込められているという。

 今後に向けても安川情報システムは、ParadigmをベースとしたAIやIoT、ビッグデータ分析を追求していく。「汎用的なプラットフォームを提供するだけでなく、もう1つの事業の柱であるビジネスソリューションと連携した、医療機器向けシステムや倉庫物流システム、製品組み込み開発、学校ICTソリューションなど、業界や事業ドメインに特化したソリューションの開発/提供にも注力していきます」と叢氏は新たな計画を語る。

 そして、このビジョンを社内外に対してより明確な形で示し、実践していくため、同社は2019年3月1日付で社名を「YE DIGITAL」に変更する。創業の起源である安川電機(Yaskawa Electric)の“YE”を頭文字に据え、今後さらに加速していくデジタル社会に対応した優れた製品/サービスを世に送り出し、社会に貢献していく思いを込めて“DIGITAL”を付け加えたものだ。また、国境を越えて新商号を前面に打ち出し、グローバルに事業を展開していく姿勢を明確にするため、あえてアルファベット表記とした。

 そうした中でますます欠かせない戦略的武器となるのがクラウドである。「Microsoft Azureには今後も最先端のテクノロジーを、使いやすいSaaSやPaaSで提供してくれることを期待しています」と叢氏は語り、マイクロソフトとの連携を深めていく方針を強調した。

AIを活用したビジネス変革の支援に向け意気込む、安川情報システムの叢氏と小畑氏 AIを活用したビジネス変革の支援に向け意気込む、安川情報システムの叢氏(左)と小畑氏(右)

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“目視”の課題を解決、個体差のある製品検査も自動化する「AI画像判定」の実力

食品のような個体差のある製品を扱う現場でなかなか進まない、検査工程のシステム化。とはいえ、人手による目視検査にも見落としや作業の属人化など課題が多い。そうした中注目される、AIを活用した画像判定サービスは解決策となるのか。


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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月16日

 

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