「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

吉利とボルボが仕掛ける新ブランド、クルマを「買わずに」「安く」使うモビリティサービス(2/2 ページ)

» 2018年10月22日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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欧州ではサブスクリプション方式をメインに

中国はまだ購入して所有する文化も根強く、無料のロードサービスなどさまざまな購入特典を付帯する。将来的には中国でもカーシェアリングが浸透する見込みだ(クリックして拡大)

 リンクアンドコーが展開する3モデルは、全てインターネットに常時接続する機能を搭載したコネクテッドカーだ。単に地図情報をリアルタイムに更新したり、車載情報機器で最新の情報を得たりするだけでなく、個人間カーシェアリングを前提としている点が独特だ。

 03にも個人間カーシェアリングの機能が実装済みで、サービス開始とともにすぐに利用できる状態になっている。例えば、通勤に使うユーザーが勤務先に到着した後にカーシェア用スイッチを押すと、ユーザーが退勤するまでのクルマを使わない時間帯にシェアリング可能な車両として扱われる。そうした個人間カーシェアによって、ユーザーが負担する所有あるいは利用のコストを下げることを狙う。

 「シェアリングには2つのタイプがある。シェアリングバイクのようにどこかにまとめて置いてあるものを借りて、既存の交通手段の代わりとなるものが1つだ。われわれが目指すカーシェアリングはもう1つのタイプで、友達や家族、リンクアンドコーのコミュニティー内で行う。例えば、月額500ドルで借りているクルマを、誰かに数日間貸して150ドルの収入が得られれば、元々のユーザーは月額350ドルでクルマを利用できる。どのようなシェアリングサービスがいいかを決めるのはユーザーだが、クルマを使うきっかけを提供することを目指していく」(フィッセル氏)

 リンクアンドコーは、欧米向けにはクルマを買わずに使うサブスクリプション方式での利用サービスを展開する。「モビリティサービスがバズワードになっているが、クルマを売りたいという思いは多くの自動車メーカーで変わらない。われわれは買わずに利用する形態をメインに据える」(フィッセル氏)。欧州では2020年から、個人間カーシェアリングも始める。サービス提供に向けた詳細も現在詰めている段階だ。また、ディーラーのような店舗も欧米では持たない。

 一方、まだ中国は自動車を購入、所有すること自体が一大イベントであり、実車を確認してから購入を決めるユーザーも多いため、ディーラーでの販売が主体となる。中国については市場調査を進めている段階だが、シェアリングサービスに対して欧米と同様の志向に進むとみられることから、同様のサービスを迅速に展開できるよう、シェアリング機能を車両に搭載して発売する。

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