JIMTOF2022 特集

石フレームのMCと3mmでつかめるバイス、ドイツの工作機械たちJIMTOF2018

愛知産業は、「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、HERMLE(ハームレ)製5軸マシニングセンタやLANG(ラング)製クランプシステムなどを展示した。

» 2018年11月08日 14時00分 公開
[松本貴志MONOist]

 愛知産業は、「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、HERMLE(ハームレ)製5軸マシニングセンタやLANG(ラング)製クランプシステムなどを展示した。

 愛知産業は溶接、金属加工、工作機械を中心に輸入機器を取り扱うエンジニアリング商社。HERMLEやLANGもドイツに本社を置くメーカーだ。

フレームに人造石を採用した5軸マシニングセンタ

 愛知産業ブースの正面ではHERMLE製の5軸マシニングセンタ「C42U」が展示され、難切削材を5軸同時加工するデモが行われていた。

難切削材の加工デモを行う5軸マシニングセンタ「C42U」(クリックで拡大)

 C42Uを含めた同社製マシニングセンタは大型ワークに対応する一部機種を除き、人造石を用いた一体型フレームを採用した。この人造石は花崗岩に似た材質で、鋳鉄と比較して剛性や熱伝導度、振動しにくいなど、加工精度の改善に寄与する材料特性を持つという。フレームの設計面でも、構造を左右対称としているため加工時の温度変化に対する補正も他社製品と比較して精度を得やすくした。これらの設計工夫により「難切削材でも高速かつ加工精度にこだわったマシニングセンタに仕上がっている」(同社担当者)という。

 また、開発当初から5軸加工機として設計されたため、同じ機器サイズの他社製品と比較して広い加工範囲を実現した。C42Uの軸移動量は、800‐800‐550mm(X‐Y‐Z)、±130‐360度(A‐C)。テーブルサイズは直径800mmで、最大1400kgのワークを積載できる。スケール分解能(フルスケールフィードバック)は0.0001mmで、VDI規格値は0.008mm。ATC(自動工具交換装置)は42本だ。

 同社担当者は、同製品について「航空業界など特殊部品の生産を得意とするマシニングセンタだ。インペラなどの流体機械の生産で求められる、難切削材を薄く滑らかな曲線を描くように切削できることに長けている」とする。

最低限のつかみしろで堅固に把持するクランプ、ロボットによる自動化も

 C42Uと同様に愛知産業のブースで強く訴求されていた製品が、LANG製のトータルクランピングシステムだ。このシステムはワークの固定や位置決めなど、機械加工の段取り作業の効率化を支援するもの。3mmのつかみしろで堅固な把持ができるバイス「Makro・Grip」など、特色のあるクランピングシステムとなっている。

 つかみしろ3mmの実現にはLANGの独自技術「Form-Closure」が貢献している。同技術は、あらかじめワークの把持箇所に溝を刻むスタンプフォーミングを行うことが特徴で、このワークの溝とMakro・Gripの口金に刻まれている爪がかみ合うことで強固な把持力を実現した。スタンプフォーミングは圧縮空気で動作するスタンピングユニットで行い、空気圧調整とペダルを踏む操作でスタンピングが完了する。最大400Barで加圧を行うことができるため、HRC45までの硬さの素材に対応する。

左:3mmのつかみしろで堅固な把持ができるバイス「Makro・Grip」 右:スタンプフォーミングを行うスタンピングユニット

 また、愛知産業のブースでは、このトータルクランピングシステムとロボットアームを組み合わせた自動化システム「ロボトレックス オートメーションシステム」のデモを行っていた。

 このシステムは5軸マシニングセンタにワークを自動ローディングすることができるもので、バイスを含めて12kgのワークを搬送できる多関節ロボットと最大42個のワークを搭載できる台車型ストレージ、安全柵で構成され、操作はタッチパネルで行うことができる。既存設備への後付けにも対応するという。

台車型ストレージに搭載されているワークをマシニングセンタを模した台に設置するデモの様子

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