「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
特集
» 2018年11月09日 06時00分 公開

モビリティサービス:白物家電のノウハウから地方創生へ、パナソニックの自動車ビジネスの守備範囲 (2/2)

[齊藤由希,MONOist]
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スマートタウンまで視野に

 AIS社は、街づくりやモビリティサービスを通じて、スマートタウンの実現も目指す。2014年には神奈川県藤沢市に、2018年には同横浜市でサステナブルスマートタウンを立ち上げた。地域をマネジメントする会社を設け、太陽光発電や健康、域内の防犯セキュリティ、地域の交流まで幅広く手掛けているという。地域の移動を提供するモビリティサービスやシェアリングの提供、電気自動車(EV)の充電インフラの普及を進めている。「モビリティ単体ではなく、社会全体を見据えながら貢献していきたい」(伊藤氏)という思いが取り組みの背景にある。

 スマートタウンの運営ノウハウと電動化技術を活用し、地域の移動を支える電動モビリティも手掛けたい考えだ。「小型EVが街を行き交い、子どもの送迎などさまざまな移動を支える。誰もが安心して外出でき、街の中の活気も高めたい」(伊藤氏)。そうした将来のモビリティサービスを支える車両として、同ユーザーイベントではドライバーレスで走行するコンセプトEV「SPACe_C(スペーシー)」を披露した。

 このような地域に向けた車両を移動したい人のもとへ効率的に配車する技術もパナソニックは社内に持っている。例えば、介護施設の利用者を送迎するルートをAI(人工知能)技術によって短時間で策定し、送迎実績の記録など業務の負担を軽減するシステムを開発した。これをさらに進化させていく。

地方創生と自動運転技術

 伊藤氏と柴田氏は地方創生についても言及した。パナソニックは福井県永平寺町で自動運転の実証実験を行っている。伊藤氏は「地方にこそ自動運転技術は大きな可能性がある。ドライバー不足の解消や、運転免許を返納した高齢者への移動手段の提供が有望だ。また、観光を振興する用途でも可能性がある。日本には素晴らしい観光地がたくさんあるが、現地での移動手段やガイドが不足しているケースもある。訪日外国人にも優しいサービスを提供したい」と述べた。

 柴田氏は、国を挙げて地方の負のスパイラルを解消すべきだと指摘した。「路線バスの赤字やガソリンスタンドの廃業で移動手段がなくなっていくのが現状だ。施設が充実していても、移動手段がなくて行くことができない人もいる。それを要因に人が地域から離れていく。負のスパイラルを一気に解決するには、安価で負荷を与えないモビリティ社会を作ることが必要だ。人の行き来が増えれば地方が活性化する。パナソニックの地方での取り組みも、それに貢献できればと考えている」(柴田氏)。

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