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» 2018年11月16日 10時00分 公開

新・いまさら聞けないFPGA入門(後編):FPGAの力を引き出す3種の開発ツールとは (1/3)

あらためてFPGAの基礎から最近の動向までを含めて解説する「新・いまさら聞けないFPGA入門」。後編は、FPGAの最大の特徴を引き出すのに用いる最新のツールと、FPGAの採用が広がっている新たな市場について紹介します。

[小松洋一(インテル、アプリケーション・エンジニア),MONOist]

⇒「新・いまさら聞けないFPGA入門」の前編はこちら

 前編ではFPGAというデバイスの特徴について解説しました。後編では、デバイス内の電子制御機能の大部分を変更できるという、FPGAの最大の特徴を引き出すのに用いる最新のツールを説明します。また、FPGAの採用が広がっている新たな市場についても紹介します。



 長らくFPGAの設計には、RTL(Register Transfer Level:レジスタ転送レベル)が設計言語として使用されてきました。設計者のRTLをもとに、FPGAベンダーが用意しているツールからFPGAに書き込むダウンロードファイルが生成されていました。

 しかし、ここ数年の間で高位合成コンパイラといわれるツールがFPGAベンダーからリリースされています。この高位合成コンパイラを利用することで、一般的なRTLと比較して約80%の設計コードを減らすことが可能になるといわれています。設計コードの減少に伴い回路の検証時間も少なくなり、より短い開発時間で製品をリリースできる環境が整いつつあるのです。

 現在、FPGAベンダーが提供している高位合成コンパイラは3つあります。

  1. モデルベース(DSP)コンパイラ
  2. HLSコンパイラ
  3. OpenCLコンパイラ

 また、これらのツールの特徴と対象ユーザーを以下の表1にまとめます。

ツール 対象ユーザー 特徴
モデルベース(DSP)コンパイラ アルゴリズム設計者
ハードウェア設計者
Simulinkで行うモデルベース開発用
IP開発用
HLSコンパイラ ハードウェア設計者 C/C++による開発
IP開発用
OpenCLコンパイラ ソフトウェア設計者 OpenCLよる開発
FPGA/ホストを含めたシステム設計用
表1 FPGAベンダーが提供する高位合成コンパイラの特徴と対象ユーザー

3種の高位合成コンパイラの特徴

 ここからは、各ツールの詳細を掘り下げていきます。

モデルベース(DSP)コンパイラ

 DSPコンパイラは、マスワークス(Mathworks)のモデルベース開発環境「Simulink」で検証されたFPGAに最適化されたモデルについて、FPGAリソースを使った同等の機能をもった回路を生成してくれるツールとなります。FFT(高速フーリエ変換)などの高速な乗算器が必要な場合は、自動的にFPGAの専用リソースのDSPを使用してFmax(上限クロック周波数)を上げることが可能になります。以下に、マスワークスからリリースされている設計、評価環境とFPGAリソースの生成、評価環境の図を示します。

「Simulink」モデルからFPGAリソースへの変換イメージ 「Simulink」モデルからFPGAリソースへの変換イメージ(クリックで拡大)
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