CEATEC JAPAN 2018 特集

個性豊かなシリコンバレーのスタートアップ、モビリティ向け技術をアピールCEATEC 2018(3/3 ページ)

» 2018年11月26日 06時00分 公開
[川本鉄馬MONOist]
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支援プログラムに参加するテクノロジー企業2社

 キーノートセッションの締めくくりとして、Plug and Playの支援プログラムに参加するスタートアップ2社が事業やサービス内容を説明した。

Artisenseのティム・ミッシェ氏

 先に登壇したのは、Artisenseの首席代表であるティム・ミッシェ氏。同社はコンピュータビジョンを扱うスタートアップで、特に3次元の画像解析に高い技術を持つ。2015年にカリフォルニア州パロアルトで生まれた若い会社だが、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)のアルゴリズムを非常に高い精度で完成させた。同社のアルゴリズムは、カメラで捉えた画像を3次元の点群に置き換える。これによって、車両の現在地が分かるという。

 また、この情報に車両の軌道を組み合わせると、「1cm単位の精度が出せる」(ミッシェ氏)と説明する。ミッシェ氏は、この技術は安価なセンサーとエッジコンピュータで実現できるとし、テクノロジーに関しても「別に新しい技術ではない」と語る。しかし、このシステムによって生成される3次元マップ市場には非常に大きなチャンスがあるという。この技術は、一般的な自律型自動運転車はもちろん、ドローン、デリバリー関連サービスなどに活用可能だ。「ロボットに本当の意味での“目”を提供できる」(ミッシェ氏)。

 講演の最後、ミッシェ氏は来日した理由を「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてさまざまなことが進んでいるから」と説明した。そして、PoC(概念実証:Proof Of Concept)ができる自動車メーカーやティア1サプライヤー、販売を託せる協力会社を探していることを告げた。

Trillium Secureのデイビッド・M・ユーゼ氏

 次に登壇したのは、Trillium Secureの社長兼CEOであるデイビッド・M・ユーゼ氏だ。同社は、自動車向けのサイバーセキュリティに特化した技術をベースに活動を行っている。

 自動車に普及する“つながる機能”は犯罪者が車両に無断でアクセスする入り口となる。デイビッド氏は、「1990年以降に作られた全ての車には無防備な点がある。あるテクノロジーを使うと運転中にハッキングされる危険性がある」と警告する。実際、元保安官の車がハッキングによって解錠され、車内にあったピストルが奪われる事件も発生しているという。

 同社では、このようなカーハッキングの対策を啓発するため、2018年から「Hack Across America」と題するキャンペーンを開始した。これは、同社のセキュリティ技術を搭載した電気自動車に「ハッキングしてくれ!」と書いて北米大陸を走り回るというものだ。

 デイビッド氏は、この活動を通して「ハッカーやセキュリティのアナリストに対して、このサイバーセキュリティ技術を破ってみろと呼びかけている」と説明する。これは、同社が自らの技術水準に自信を持つ証ともいえるだろう。同社のサービスは、軍事レベルのオペレーションセンターで車両のネットワーク状況やデータの安全性を見張る。そして、さまざまな種類の車両に対応しているのが特徴という。

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