膨張顕微鏡の画像処理を高速化するソフトウェアパッケージを無償提供医療機器ニュース

フィックスターズは、エクスパンション顕微鏡の画像処理を高速化するソフトウェアパッケージ「Expansion Microscopy Studio」の無償提供を発表した。デコンボリューションプロセスの高速化により、従来比15倍の高速化を達成している。

» 2018年12月03日 15時00分 公開
[MONOist]

 フィックスターズは2018年11月14日、米国の子会社Fixstars Solutionsが、エクスパンション顕微鏡(Expansion microscopy、膨張顕微鏡)の画像処理を高速化するソフトウェアパッケージ「Expansion Microscopy Studio(ExM Studio)」の無償提供を開始したと発表した。今後、機能を拡充した第2版を2019年初頭にリリースする予定だ。

 ExM Studioは、デコンボリューション処理を用いて多数の画像データを高速に処理するエクスパンション顕微鏡法向けの画像処理パッケージ。NVIDIA製GPUを用いて、デコンボリューションプロセスを高速化する。これにより、CPUベースのオープンソース「Deconvolution Lab2」の832倍、同じGPU環境を使用した商用の「Huygens」より15倍ほど高速化した。エクスパンション顕微鏡だけでなく、一般的な蛍光顕微鏡にも有効だ。

 エクスパンション顕微鏡法は、ポリマーを使って観察したい生体試料を物理的に拡大し、光学顕微鏡の分解能を向上させる方法となる。 従来の光学顕微鏡では、約200nm以下の物体はぼやけてしまい、脳細胞などの複雑な組織を詳細に観察するのは困難だった。同技術により、3次元かつナノスケールの解像度で複雑な組織の観測ができる。

 一方で、エクスパンション顕微鏡法は、多数の高解像度画像ファイルを統合してつなぎ合わせることで、生体試料の完全な3次元画像が得られる。そのため、適切なアプリケーションやツールの選択が難しく、画像処理時間が数十時間以上かかるという課題があった。

photo 「Expansion Microscopy Studio」が生成したマウスの脳(海馬)の3D画像(クリックで拡大) 出典:フィックスターズ

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