特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年12月14日 10時00分 公開

2018 TRON Symposium:組み込みAIが動く最強の「IoT-Engine」が登場、IEEEの標準化は追い風になるか (1/2)

2015年12月の構想が発表されたTRONプロジェクトの「IoT-Engine」。構想発表から3年が経過したIoT-Engineの現状を、「2018 TRON Symposium」の各社の展示から見ていこう。

[朴尚洙,MONOist]

 「IoT-Engine」とは、TRONプロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」の実現のために策定された、IoT(モノのインターネット)のためのオープンな標準プラットフォーム環境である。2015年12月の「2015 TRON Symposium」でその構想が発表され、翌2016年12月の「2016 TRON Symposium」では半導体メーカー7社が、IoT-Engine向けの開発ボードの製品化を発表している。

 これまで、TRON Symposiumの展示会場では専門の「IoT-Engineパビリオン」が設けられてきたが、今回の「2018 TRON Symposium」にはなく、関連各社はそれぞれのブース内でIoT-Engineに関わる製品やデモの展示を行っていた。構想発表から3年が経過したIoT-Engineの現状を、各社の展示から見ていこう。

ルネサスの最新製品「RZ/A2M」がIoT-Engineに

 シマフジ電機は、2018年10月に発表したIoT-Engineの新製品「SEMB1402」を展示した。SEMB1402は、ルネサス エレクトロニクスが同月に発表した最新のマイクロプロセッサ「RZ/A2M」を搭載している。RZ/A2Mは、独自開発の動的再構成が可能なプロセッサ技術「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)」の採用により、組み込みAI(人工知能)ソリューション「e-AI」の画像処理性能を従来比で10倍に向上できることを特徴としている。

 IoT-Engineは、省電力の6LoWPANを無線通信に用いていることもあり、画像を扱うイメージはあまりない。しかし「e-AIのような組み込みAIで処理した結果を送信するのであれば、6LoWPANによる通信でも問題はない」(シマフジ電機の説明員)という。

 展示では、「Raspberry Pie」用のカメラモジュールから得たRAWデータをRZ/A2Mによりリアルタイムでカラー化処理するデモを披露。変換処理時間は4.6msと短い。また、カラー化処理に加速度センサーの情報を合成して、モジュールを揺らすとその揺れに合わせて表示映像も揺れるデモも見せた。この場合の変換処理時間は6.9msである。

「RZ/A2M」を搭載したIoT-Engineのデモ 「RZ/A2M」を搭載したIoT-Engineのデモ。リアルタイムでカラー化処理した映像は、シリアル接続したディスプレイに表示する他にも、スマートフォンへの無線LAN配信(Wi-Fi)も行っている(クリックで拡大)

ランドリー向けチューブポンプのIoT-Engine採用事例

 明光電子は、ランドリー向けチューブポンプを製造するウエルコによるIoT-Engineの採用事例を紹介した。

 業務用洗濯機には、洗濯量に対応する洗剤を適切に投入するためのチューブポンプが備え付けられている。ウエルコは、洗濯機のチューブポンプの稼働状況を把握するとともに、洗剤メーカーに対して洗剤の使用量などをより最適化できるソリューションとして提案すべく、チューブポンプのIoT化を決断。明光電子が提供するIoT-Engineを用いた開発を2018年夏から始めたところだ。ルネサス エレクトロニクスの「RX231」を搭載するIoT-Engineを用いている。「今後の商品化に向けては、洗剤メーカーにどのようなメリットを提供できるかが重要になってくる」(明光電子の説明員)としている。

IoT-EngineでIoT化したランドリー向けチューブポンプのデモ IoT-EngineでIoT化したランドリー向けチューブポンプのデモ。中央にあるタブレット端末に状態などが表示される他、タブレット端末からチューブポンプの設定を変更して制御することもできる(クリックで拡大)

INIADの構内で実証実験を開始

 東芝マイクロエレクトロニクスのIoT-Engine関連の展示は、前回の「2017 TRON Symposium」とほぼ同じで、2台の扇風機のモーターと1台の洗濯機用モーターをIoT-Engineを介して制御するデモだった。

 前回と比べて最大の違いは、TRONプロジェクトリーダーの坂村健氏が学部長を務める東洋大学情報連携学部(INIAD)の構内において、サーキュレーターのモーターをIoT-Engineで制御して最適な温度環境にする実証実験を開始したことだ。「構内に設置した温度センサーと、サーキュレーターの温度センサーの値が大きく異なるときに、サーキュレーターを強く回せば、空調機器を使わなくても構内や室内の温度を最適化することができる」(東芝マイクロエレクトロニクスの説明員)という。

東芝マイクロエレクトロニクスのIoT-Engine関連の展示 東芝マイクロエレクトロニクスのIoT-Engine関連の展示。基本的には前回の「2017 TRON Symposium」とほぼ同じ(クリックで拡大)
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