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» 2018年12月25日 06時00分 公開

ジャパン・イスラエル・イノベーションサミット2018:GMやトヨタはイスラエルで何をしている? イノベーションへの期待 (2/3)

[川本 鉄馬,MONOist]

イスラエルとのコラボレーションで誕生、欧州の新たな移動プラットフォーム

Viaのオーレン・ショーバル氏(クリックして拡大)

 Viaのショーバル氏はまず、同社のサービスについて説明。Viaは、Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)とパートナーシップを締結し、同社のミニバンを使ったシェアリングモビリティのサービスを提供している。

 Viaのサービスでは、車両丸ごと1台のシェアリングではなく、座席単位での予約、提供となる。利用者がモバイル端末から座席を予約すると、車両に乗る場所として「バーチャル・バスストップ」を指定される。利用者がそこまで徒歩で移動して待っていると、メルセデスのミニバンがやってきてピックアップするという仕組みだ。

 Viaのサービスが優れているのは、車両の運行ルートが状況に応じてその都度最適化されることだという。利用者をピックアップするバーチャル・バスストップから個々の利用者が降車する目的地までは可能な限り直線的なルートが設定される。これにより、時間や移動距離の無駄をなくす。その上で、より多くの利用者を効率的にピックアップできるよう、車両の移動ルートが検索されている。その結果、利用者側と運営側の双方に最大のメリットが提供されるようになっている。

 Viaのサービスは、自動車を“所有”するという意識を変えるとショーバル氏は自信を見せる。利用者はモバイル端末からの予約で効率的な移動ができる。また、サービスを提供する企業にとっても、車両を自前で用意することなく、移動サービスの営業が可能となる。ショーバル氏は、「このような取り組みはグローバルで、4億ドル(約450億円)の資金を投入して毎週、利用可能な都市を追加している。現時点でViaのサービスは世界50都市をカバーしている」と展開の進捗を紹介した。

 この他、プレゼンでは、ベルリンにおいて電気自動車(EV)を使ったViaのサービスが利用されていることも紹介された。EVは充電に時間がかかる弱点がある。しかし、アルゴリズムが車両のバッテリーレベルとチャージングステーションを管理するシステムを使い、成功を引き出しているという。

トヨタもスタートアップのスピードに合わせる

Toyota AI Venturesのジム・アドラー氏(クリックして拡大)

 Toyota AI Venturesのアドラー氏は、M&Aや投資といった面から自動車業界の現状を説明した。電動化や自動運転、シェアリングなど、モビリティ社会の進化にはソフトウェアのテクノロジーが必須となる。アドラー氏は、「ソフトウェアがクルマの中心になっており、ハイテク企業が自動車産業に参入してきている。そして、ベンチャーキャピタリストが多額の投資をしている」と、モビリティ分野への投資が活性化していることを紹介した。

 このような動きに対し、アドラー氏は「従来の自動車メーカーはこれまでのビジネスモデルを継続し、新規参入者の技術をしのごうと模索している。でも、それではうまくいかない。新規参入者は、既存の自動車メーカーがやっていないことをしている。新しい文化やテクノロジーは新規参入者にはあるが、既存の会社には備わっていない」と指摘した。

 アドラー氏は、トヨタ自動車 社長の豊田章男氏の「モビリティ社会は来ている。未開拓の分野に入ろうとしているのでシェルパ(道案内)が必要だ」という発言に触れ、変革の時代を迎える自動車業界でメーカーが新しい得意分野を得るには、道案内が欠かせないと説いた。

 アドラー氏は、イスラエルのスタートアップは反応が早く、機敏だと語る。トヨタ自動車に代表される従来型の自動車メーカーは、強くて安定しているが機敏ではない。しかし、将来のモビリティ企業は強さと安定性を備えた上に、早くて機敏でなければならない。アドラー氏は「機敏という能力も必要ということで、小さくも機敏な企業と協力して、トヨタも学ばなければならないと思うようになってきている」と語った。

 機敏なスタートアップ企業は、失敗を恐れず実験をして何かを学ぶ。そして、その成功によって上場することも、その技術を大手企業に売り込んだり買収に応じたりすることも可能だ。買収する側にとっても、新しい技術を短時間で取り込むことができるので、双方に大きなプラスとなる。

 アドラー氏は、Toyota AI Venturesのミッションを、初期段階のスタートアップ企業がイノベーションを遂げられるよう、投資を通じて支援することだと説明。そのためには「トヨタにもスタートアップ企業のスピードに合わせる必要があると語った。

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