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» 2019年01月16日 14時30分 公開

MONOist 2019年展望:AIによるコンピュテーショナルデザインはどこまで進むのか (2/2)

[小林由美,MONOist]
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パラメータ最適化は難しいしコストがかかる

 トポロジー最適化とパラメータ最適化は同じ“最適化”でもツールが大きく異なる。パラメータ最適化は、決められた設計空間の中でおびただしい数の設計変数(パラメータ。材料や寸法値など)を品質工学や統計学に基づいて分析し、最適な値を導き出す手法である。設計の初期段階でこの手法を取り入れ、後工程での手戻りを減らしていくのであう。このような手法を「ロバスト設計」と呼ぶことがある。また、こちらも「設計手法」と語られつつも、どちらかといえばCAE寄りの技術として語られる。

 有効性や価値について方々で語られながらも、日本では一部の大企業の研究開発部門などにしか浸透してこなかった手法でもある。とにかく難解であり、計算リソースも莫大に食うことが難点であった。ライセンス費用も、人件費も、ハードウェアも、とにかくコストがかかるのである。その上、日本の勘と経験で動く現場にも合わないといわれてきた。ただし、今も手法の開発や改善が勧められており、今後のAIの進化やクラウド技術の成熟、大幅な通信速度向上、計算パワーの増大によって、もう少しそのあたりの事情はもっと改善されていくのかもしれないし、期待したい。

 また、先に出てきたジェネレーティブデザインに、従来のパラメータ最適化が担っていた役割の一部が入ってくる可能性もあるだろう。メカCADユーザーにとっても、パラメータ最適化の存在感が少しずつ大きくなっていきそうだ。

 現在、簡単な設定で素早く結果が出るCAEなど、CAEが設計サイドへ深く歩み寄りしてきている状況だが、それを考慮しても、将来は今以上にCADとCAEの境目が分からないくらいつながっているだろう。

メカ設計の仕事、どこまで自動化できるか

 製造業全体での2次元図面レスは、私たちが生きている限りは、恐らく完全には実現しないだろう。メカ設計者は3D CADでのモデリングとあわせ、2次元図面の製図も行う。製図の手間は結構かかり、量産準備前の圧縮された時間に追われながらばたばたとこなすことも多い。当分なくなりそうもないならば、この部分も、もっと自動化を進めてほしい部分ではないか。

 現状の2次元製図(ドローイング)機能も昔と比べたらはるかに自動化されている。展開図はそれなりに正しく表示してくれるし、3Dモデルとのリンクも昔ほど苦ではなくなった。それでもやはり、手間は今も多い。

 3D CADで、完全に図面を自動生成させるには、例えば3Dモデリングの段階で、設計意図や図面で書いている情報をなるべく入れ込むことになるだろう。国内企業が3次元単独図に消極的であることを考えても、それを前向きにやるユーザーがたくさんいるようにも思えない。それでは3Dモデリングに手間がシフトするだけのようで、現状では図面の段階で入れてしまった方が効率がいいと思ってしまいそうだ。

 今後発展するAIやディープラーニングの技術で、モデリング段階でアシスタントがあれこれ設計意図や幾何公差、製造情報などを聞いてモデリングと並行して情報を収集し、出図段階でそのデータベースを基に自動製図できればいいのではと考えたが、そのような時代は果たして何年後になるか。それとも案外、近い将来に実現してしまうのか。

 ここまでコンピュテーショナルデザインの中に組み込まれ、その恩恵が現場に降りてくれば、いよいよ本当のメカ設計の自動化といえそうだ。

⇒「MONOist 新年展望」記事はこちら

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