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» 2019年01月21日 06時00分 公開

CES2019:オムロン卓球ロボが進化、手首と肘を得て、あなたの腕前を評価する

オムロンは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、5世代目となる卓球ロボット「フォルフェウス」を世界初公開した。カメラやサーボシステムの変更により従来と比べて返球できる球種が増えた他、卓球の上級者の動きを基にしたコーチング機能が新たに搭載された。

[齊藤由希,MONOist]
5世代目となる卓球ロボット「フォルフェウス」を世界初公開した(クリックして拡大)

 オムロンは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、5世代目となる卓球ロボット「フォルフェウス」を世界初公開した。カメラやサーボシステムの変更により従来と比べて返球できる球種が増えた他、卓球の上級者の動きを基にしたコーチング機能が新たに搭載された。

 フォルフェウスはオムロンが保有する制御技術を分かりやすく示すためのもの。機械が人の能力や創造性を引き出す「人と機械の融和」を体現することが目的であり、卓球で人間に勝つロボットを開発することは目指していない。

 CES 2019で披露した5世代目は、高速カメラと2台のモーションカメラ、人間の手首と肘に相当する機構を追加した。高速カメラは産業用で量産実績のある製品で、毎秒200フレームを処理する。高速カメラでラケットの動きや向き、スイングの速度をセンシングすることにより、プレイヤーが打ち返す前に球の軌道や返球位置の予測を高精度に実現した。「反射神経以上の動作が可能になった」(オムロンの技術者)という。なお、ラケットには、カメラでセンシングするためマークを貼り付けていた。

 ラケットをスイングするロボットアームは手首や肘など6軸の自由度があり、モーターは1つのコントローラーで制御している。高速カメラによって軌道の予測精度が向上したことにより、従来はストレートしか返球できなかったのが、カットやドライブにも対応できるようになった。これにより、卓球上級者とのラリーが可能になった。

 モーションカメラ2台は、フォルフェウスとラリーするプレイヤーの体の動きを計測する。プレーヤーの骨格や動作、ラケットやボールの動き方などを含めてラリー中の動作を分析。プレイヤーが返せるか返せないかというぎりぎりを狙って返球する。フォルフェウスは、一定時間のラリーを通じて取得した情報を実際の卓球上級者のデータと比較し、プレイヤーに評価をフィードバックする。

フォルフェウスのモーションカメラが検知したプレイヤーの上半身(左)。上級者のデータと比較した結果やアドバイス(右)(クリックして拡大)
ボールを3次元で位置計測するためのカメラが2台、プレイヤーの動作を計測するモーションカメラが2台、ラケット動作をセンシングする高速カメラ1台が搭載されている(クリックして拡大)

 オムロンの技術者は5世代目のフォルフェウスについて、「今は瞬間的な能力の評価しか対応できていない」と説明する。

 「コツをつかむタイミングなど上達には個人差がある。一人一人の成長度合いに合わせて能力を最大限高めることは、今後のフォルフェウスの課題になる。人体の情報を得る上ではヘルスケア分野の技術も活用できそうだが、プレイヤーにセンサーを取り付けることは考えていない。人間の動き方について理解を深めることは、ロボットの新しい形を考えていくことに生かしていく」(オムロンの技術者)

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