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» 2019年02月05日 07時00分 公開

製造マネジメントニュース:開発費膨らむ欧州向けディスプレイオーディオ、プロジェクト管理が課題に

パナソニックは2019年2月4日、東京都内で会見を開き、2018年度4〜12月期(第3四半期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.9%増の6兆830億円、営業利益が同7.5%減の2928億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は同13.2%減の1737億円だった。

[齊藤由希,MONOist]
パナソニック 取締役 常務執行役員の梅田博和氏

 パナソニックは2019年2月4日、東京都内で会見を開き、2018年度4〜12月期(第3四半期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.9%増の6兆830億円、営業利益が同7.5%減の2928億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は同13.2%減の1737億円だった。

 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社の車載電池事業が伸長したことや、エコソリューションズ社の住宅事業が堅調に推移したことにより、全体では増収となった。営業利益は、コネクティッドソリューションズ社でのアビオニクスの販売減少、アンプライアンス社のAVCやデバイスの販売が苦戦したことにより、全社として減益となった。

 通期の業績見通しは、直近に発表した予想から下方修正し、売上高は2000億円減の8兆1000億円、営業利益は400億円減の3850億円とした。アプライアンス社とAIS社の業績悪化を反映した。親会社の所有者に帰属する当期純利益は法人税などの良化を見込み、2500億円で据え置いた。

AIS社全体では増収増益

 AIS社の2018年9〜12月期の業績は、売上高が前年同期比5%増の7650億円、営業利益が同19億円増の263億円となった。事業別では、インフォテインメントシステムやセンサーを手掛けるオートモーティブ事業の売上高は前年同期比3%増の2471億円、営業損益は同65億円減で40億円の損失となった。日米の自動車メーカー向けインフォテインメントシステムや、カメラ、ソナー、充電器が増収に貢献した。減益要因となったのは、欧州の開発資産の減損によるものだ。

 車載電池のエナジー事業は売上高が同25%増の1901億円、営業利益は同130億円増の165億円だった。円筒形を中心に車載電池が増収に寄与した。利益面は、Tesla(テスラ)向けの円筒形リチウムイオン電池を手掛ける北米工場の立ち上げ費用があったものの、エナジー事業全体での固定費コントロールやオペレーション改善などにより全体で増益を達成した。

 通期の見通しは、連結業績と同様にAIS社も下方修正する。売上高は、中国での販売減少を織り込んで850億円減の2兆9850億円、営業利益は同360億円減の670億円を見込む。

 オートモーティブ事業は欧州事業の開発資産減損、北米顧客への品質対応にかかる一時費用、中国の自動車販売の減速を織り込み、売上高を90億円減、営業利益を230億円減に見通しを引き下げた。エナジー事業は北米工場での生産期ズレ、中国でのハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の需要減などが減収要因となり売上高を730億円減に下方修正。また、売り上げ見通しの引き下げと、北米の車載電池工場での生産ロスについて改善が遅れることから営業利益は当初の見通しから20億円減を想定する。

インフォテインメントシステムと車載電池の課題

 今後の課題は、オートモーティブ事業が欧州のプロジェクト管理と開発費マネジメント、エナジー事業は北米のテスラ向け工場の安定稼働の確保、角型電池事業の安定化となる。

 オートモーティブ事業が課題に挙げる欧州のプロジェクトは、インフォテインメント関連だ。パナソニックは2018年度第2四半期の決算会見において、インフォテインメントシステムのプラットフォームは開発と受注が順調であるものの、ディスプレイオーディオの開発費が膨れ上がっていることが課題だと述べた。通常は納入が始まってから計上する開発費を現時点で処理しており、これが2018年度第3四半期におけるオートモーティブ事業の減益要因となっている。

 ディスプレイオーディオの開発費増加の背景には、自動車メーカーが求める製品スペックの変化により、受注した期間であっても他社製品に切り替えられてしまうケースへの対応がある。「要望が膨らんで、開発費を計算すると割に合わないということが出ており、中級ゾーンの製品で開発費が膨らんでいる。ただ、いったん契約して開発を始めると、商品に穴を空けることはできないので開発費を投じていく必要がある。場合によっては、資産化したものを取り崩すリスクも出てきている」(パナソニック)。

 これを受けて、2019年度以降は、グローバル開発管理体制の強化と再構築を進める。特に欧州の開発については日本からの開発プロジェクト管理を強化する。

 エナジー事業は、北米のテスラ向け工場の年間生産能力35GWhに向けて、2019年3月末を目標に設備導入を完了し、2019年10月にもフル稼働を実現させる。角型電池事業では、2020年末までにトヨタ自動車とパナソニックで共同出資会社を設立する。出資比率がトヨタ自動車51%、パナソニック49%となったのは、「電池メーカーの経営ではなく、電動車の普及拡大という視点では、トヨタ傘下で進めることが最大の貢献になると判断した」(パナソニック)という理由によるものだ。また、自動車業界で広く使ってもらうことを示すため、手掛ける車載電池はトヨタ自動車向けにもパナソニックから販売する方針だ。

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