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» 2019年02月05日 13時00分 公開

IoTのイノベーションは問題解決から(7):IoT活用のための「帰納法」実践はアイデア探しの第一歩

今回は、「深堀り」によって出てきた原因をグループに分け、IoTを含むソリューションを生み出しやすくするための方法についてお話したいと思います。

[馬場秀樹(株式会社VSN),MONOist]

 前回は例を用いて具体的な深掘りの手法についてお伝えました。その際、深掘りによって出てきた原因は複数ありましたね。今回は、それらの原因をグループに分け、IoTを含むソリューションを生み出しやすくするための方法についてお話したいと思います。

 多くの場合、1つの問題に対して実に多様な原因があります。それらを一つひとつ見ていくと、幾つも似たような原因があったり、そもそも解決できない原因があったりもします。原因をたくさん考え出すことはとても大事なことなのですが、そのままでは「全てに対応するソリューションなんて無い」、と話が前に進まなくなるのが目に見えています。そこで大事になってくるのが情報を整理すること。「帰納法」という手法を使って、幾つもある問題の原因をまとめてみましょう。

 帰納法は以下のプロセスで進めていきます。

  1. たくさんある情報の共通項を見つけてグループ分けをする
  2. グループそれぞれ言い当てる言葉を考える

 コンサルティングの世界ではこの後に「3.これを繰り返し、最終的に1つの言葉に集約する」プロセスが入り、原因を1つに要約しますが、IoTなどのイノベーションを適用する場合はグルーピングを適当な段階でストップし、複数のグループ分けの状態にしておいた方が解決策の糸口を考えやすいです。

 前回の「急な雨に困る」の深掘り結果をもとに実際に帰納法を行ってみると、その意味がよく分かると思います。

1.たくさんある情報の共通項を見つけてグループ分けをする

 前回の「急な雨に困る」の深掘り結果として10個の原因が見つかり、これらを原因別に大まかなカテゴリに分けると以下のようなグループに分かれました。

 「『天気予報以外に情報がなく、天気予報を信じるしかなかった』は天気予報の限界にも当てはまるのでは?」といったご意見もありそうですが、この段階での分類は“決め”の問題であり、ここでは「情報不足」に起因するものとしてしまいます。

 さて、ここで分類に使用している言葉はあくまでグループ分けする上でのカテゴリの名前ですので、「グループを言い当てる言葉」に変えてみましょう。

2.グループそれぞれ言い当てる言葉を考える

 グループそれぞれの情報を見ながら全体を網羅するような言葉を探します。コツは、グループ内の各文章を見渡し、「つまりどういうことなのか?」の答えを探すこと。要約しなければならないということで、少し国語力が必要ですね。試しに一番左の「情報不足」カテゴリでやってみましょう。3つの原因を一言で言えば「情報不足」ですが、ここではもう少し具体的にします。

 それぞれの文章は情報不足と言ってもレベルは違います。

  • 「天気予報が何時間も前の予報だったので、持っている情報が古くて外れてしまった」=「天気予報の情報があっても古い」
  • 「天気予報以外に情報がなく、天気予報を信じるしかなかった」=「天気予報の情報はあるが、それ以外の情報があれば困ることがなかったかも」
  • 「忙しくて天気予報見る暇がなかった」=「そもそも天気予報の情報がない」

 つまり、情報が十分になければ天気予報の情報が必要なことはもちろん、最新の天気予報を知っていたとしても、もっと情報が必要であるということになります。このため、要約は「情報が不十分だと、雨が降るかどうかが十分に分からない」でいかがでしょうか。

 このようなやり方で、それぞれのグループを要約してみましょう。

人の意識に起因するもの

  • 雨が降らないと思い込んで天気予報を見なかった
  • 天気予報を信じ込み、予報が外れるとは思っていなかった
  • 朝は晴れていたので、まさか雨が降るとは思わなかった
  • 別のことに気を取られて天気予報を確認するのを忘れていた

 つまり天気予報の有無にかかわらず、思い込みや忘れなどの人の意識が判断の邪魔をして雨に遭ってしまうことがある。

天気予報の限界に起因するもの

  • 天気予報は万能ではないため、予報が外れた
  • 天気予報ではカバーできない、例外的なピンポイントの雨に遭ってしまった

 つまり天気予報は場所的に大まかな予報であり、個別の状況に合わせたものでも100%のものでもないため、外れることがある。

人の経験則に起因するもの

  • これまでの経験から、天気予報は外れることはないと思い込んでいた

 つまり情報が不十分だと、雨になるかどうかが十分に分からない。

 いかがでしょうか。これらの要約した言葉は「そうならないようにするには、どうすればよいか」というアイデア探しを始めることができると思います。次回は、そのアイデア探しの具体的な方法についてお話したいと思います。

筆者プロフィール

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN https://www.vsn.co.jp/


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