欧米から遅れる日本製造業のアフタービジネス、山積する課題を照らすいまさら聞けない「アフター市場収益化」入門(2)(4/4 ページ)

» 2019年02月06日 10時00分 公開
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日本製造業はアフターマーケットに対して早急な業務改革を

 第二次大戦後の日本の製造業は、米国の物量作戦の前に敗北した経験からTQC(総合的品質管理)活動に基づいて高品質製品を大量に製造し、良品廉価を基軸にマーケットシェアを広げていくことを戦略としてきた。

 その結果、高度経済成長期を通じて製造業全体が均質化した製品の大量生産・大量供給、いわゆるモノづくりにのみ注意を向け、アフターマーケットに関心が向かなくなってしまったのではないかとすら考えられる。さらに日本人ならではの生真面目さでとにかく壊れないものを作るという姿勢が、製品が壊れること/消耗することを前提とするアフターマーケット事業から多くの目を遠ざける遠因となっていたのではないかとも考えられる。

 対して欧米地域では、アフターマーケットは必要業務として認識されていた。例えば、アフターマーケット事業に関連するセミナーなどは2000年代から各地で一般的に開催されており、アフターマーケットに特化したサプライチェーンの改革や部品の価格付けのコンサルティングサービスが、同じく一般的に展開されている。

 実は日本ではアフターマーケットに特化した何らかの展示会が開催されたことすら、不思議なことに未だかつて一度もない。日本におけるアフターマーケットは製造業の縁の下の力持ちのまま現在に至っており、現時点でアフターマーケット事業に対する経営姿勢、システム投資において日本は欧米から大きく水をあけられつつある状況に来ている。

 事業としての重要性を鑑みれば、アフターマーケットに対して今から早急な業務改革を実施すべき時に来ていると考える。

プロフィール

シンクロン・ジャパン(株)代表取締役社長

落合 克人

2013年に営業マネージャーとしてSyncronに入社し、以降、2014年からマネージングディレクターとしての役割を担う。製造業を相手としたB2Bソフトウェアの販売において、20年以上の経験を有している。

自動車部品の世界的サプライヤーであるデンソーにおいて、機械設計者としてのキャリアを積み、以降、PTCやDassault SystemesといったPLMベンダーにおいて国際的なプロジェクトを経験。早稲田大学理工学部機械工学士。

シンクロン・ジャパン
https://www.syncron.com/ja/

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