特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2019年02月12日 11時30分 公開

MONOist IoT Forum 大阪2019(前編):延命ではなく子育てを、パナソニックが目指す“アップデート”の向かう先 (1/2)

MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2019年1月22日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。大阪での同セミナー開催は3度目となる。本稿では、前編で基調講演に登壇した、パナソニック 専務執行役員 CTOの宮部義幸氏の講演「100年企業のイノベーション〜次の100年に向けて〜」の内容を紹介する。

[三島一孝,MONOist]

 MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2019年1月22日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。大阪での同セミナー開催は3度目となる。本稿では、前編で基調講演に登壇した、パナソニック 専務執行役員 CTOの宮部義幸氏の講演「100年企業のイノベーション〜次の100年に向けて〜」の内容を紹介する。

≫MONOist IoT Forumの過去の記事

電気の可能性を追求してきたパナソニック

 パナソニックは2018年に創業100周年を迎えた。パナソニックの創業者である松下幸之助は大阪の市電を見て電気の可能性を感じ、大阪電灯に入社し電気工事などの監督などを行ってきた。そして、電気を「夜を明るくすること以外にも使いたい」ということで、二股ソケットを開発。電気を電灯以外に使うという発想からさまざまな家電製品が生まれ、それがパナソニックの源流となった。

photo 「2灯用差し込みプラグ」の利用イメージ

 宮部氏は「100年の歴史の中で、実現できたこと、実現できなかったことは多くあるが、基本的にはこの電気の可能性の延長線上にパナソニックの発展はあった」とここまでのパナソニックの歴史を振り返る。

photo パナソニック 専務執行役員 CTOの宮部義幸氏

 日本政府は現在、新たな社会変革のコンセプトとして「Society 5.0」を打ち出している※)。「Society 5.0」は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会の実現に向けた取り組みである。目指す姿は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」だとされている。

※)関連記事:日本がSociety 5.0を実現するために解決すべき課題とは何か

 この流れの中で「パナソニックはまさに工業社会、大量生産大量消費の世界に適合して成長してきた。しかし、情報社会の中で貢献できなかった。工業社会の中心が日本から韓国や中国に移り、情報社会におけるソフトウェア産業の領域で後れを取った。そこが日本の『失われた30年』の要因となった。モノづくりの強い成功体験があり、それが逆にマイナスになった」と宮部氏は日本の製造業の停滞について語る。

 ソフトウェアの時代になれば、量産コストはほぼゼロになり、インターネットを使えば物流コストもほぼゼロになる。さらに出来上がったものは擦り減らず、壊れない。「モノづくりの発想とデジタルの発想は全く異なる。こうした違いを認識していなければ、活動を持続できる対価を得ることができない。日本の製造業が特にテレビなどのデジタル化の流れで苦戦したのはここに要因がある。ハードウェアの価値だけで提供するとビジネスとしては回らなくなる。次のチャンスは逃してはいけない」と宮部氏は述べる。

 「Society 5.0」の世界では、全てのものがサイバーフィジカルシステム(CPS)になっていくとされている。「超スマート社会が本質的にどういうものかというのは分からないが、基本的にはあらゆるモノでソフトウェアの要素が大きくなり、ネットワークやクラウドを組み合わせて、全体としての価値を作ることが重要になる。対価を得るメカニズムも製造業としてのやり方のままでは難しい。企業全体が超スマート社会、サイバーフィジカルシステムにふさわしい形にい対応して変革していく必要がある」と宮部氏は考えを述べている。

4つのイノベーション本部

 これらの変化に合わせてパナソニックはイノベーション推進部門に、以前からあった技術および生産に関する部門に加え、ビジネスイノベーションおよびデザインに関する部門を追加。技術、モノづくり、ビジネスイノベーション、デザインを4つの柱として、革新につなげていく方向性を作ったという。

 「従来のモノづくりを適用できる領域とそうではない領域が存在する。こういうやり方そのものをこれらの4つの切り口で変えていく。携帯電話やデジタルカメラ、テレビなど、われわれも含めて3.0の世界(工業社会)での勝ち組は4.0の世界(情報社会)で駆逐された。これらの持つモノの価値は存在するが、4.0の世界のロジックで大幅に価値は薄められた。5.0の世界(超スマート社会)でも現状の勝ち組の価値が薄められる可能性がある」と宮部氏は語る。

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