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» 2019年02月18日 09時00分 公開

SOLIDWORKS World 2019:新時代の3D設計環境「xApp」、設計をクラウドで完結する時代は来るのか (1/2)

メインストリームCADユーザーから古くより支持を集めてきたSOLIDWORKSと、クラウドの長所をフルに生かし新時代の設計環境として期待されるxApp。未来の設計環境はクラウドサービスへ突き進むのか。ダッソー・システムズでxApp製品を統括するStephen Endersby氏に、xAppの概要や戦略、デスクトップのSOLIDWORKSとのすみ分けなどを聞いた。

[松本貴志,MONOist]

 ダッソー・システムズ・ソリッドワークス(Dassault Systemes SOLIDWORKS:以下、SOLIDWORKS)の年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2019」(会期:米国時間2019年2月10日〜2月13日)で新たに発表されたフリーフォーム3Dモデリングツール「SOLIDWORKS xShape(以下、xShape)」。

 xShapeは3D設計スイート「xDesign」に続き、ブラウザ上で動作する3DEXPERIENCEアプリケーション「xApp」の第2弾となるサービスだ。xShapeはサブディビジョンサーフェスモデリングを採用し、デスクトップのSOLIDWORKSではこれまで難しかった有機的で手になじむデザインの設計を可能とした。

 メインストリームCADユーザーから古くより多くの支持を集めてきたSOLIDWORKSと、クラウドの長所をフルに生かし新時代の設計環境として期待されるxApp。未来の設計環境はクラウドサービスへ突き進むのか。ダッソー・システムズでxApp製品を統括するStephen Endersby氏に、xShapeを始めとしたxAppの概要や戦略、デスクトップのSOLIDWORKSとxAppのすみ分けなど今後の方向性を聞いた。

ダッソー・システムズのStephen Endersby氏

全てのスキルのユーザーに効率的な設計を提供するxApp

――SOLIDWORKS World 2016で行われたxDesignの発表から、xAppの歴史が始まりました。これまでにどのような進展がありましたか?

Stephen Endersby氏 xAppの発表から現在までで一番大きな進展は、デスクトップのSOLIDWORKSとxAppがシームレスに連携するようになったことだ。例えば、xShapeのジオメトリをSOLIDWORKSに移行したとしても変換時のエラーは発生しない。その他にも、xDesignの機能強化などを行っている。

 現時点では、xDesignはベータ版が入手可能だ。xShapeは2019年2月下旬頃からベータ版を提供する予定だ。どちらも2019年夏に正式リリースを見込んでいる。提供価格に関しては期間型のライセンスを想定しているが、詳細はまだ決まっていない。

――xAppのメインターゲットはどういったユーザーなのでしょうか?

Endersby氏 それぞれのxAppでターゲットとなるユーザーは異なる。今回発表したフリーフォーム3DモデリングツールのxShapeは、従来のSOLIDWORKSユーザーをターゲットに見据えている。これはSOLIDWORKSを含めたパラメトリックモデリングの3DCADでは設計できない有機的なデザインにxShapeは対応しているためだ。

 xDesignでは学生やホビイストを含むメイカー、そしてプロフェッショナルもターゲットとして想定している。

――デスクトップのSOLIDWORKSユーザー以外でもxAppは利用できますか?

Endersby氏 そうだ。xAppの今後の機能強化により、従来のSOLIDWORKSユーザーだけでなくxAppのみを使うユーザーが増えるのではないかと考えている。

――xAppのベータ版ユーザーはどの程度の規模で参加していますか? また、ユーザーの属性や使用事例を教えてください。

Endersby氏 xDesignのベータ版ユーザーは2018年12月末時点で2002人だった。xDesignは主に産業機械、装置系の顧客に使われている。ユーザーは設計の早期段階においてアイデアを3Dでまとめ上げるためにxDesignを用いているようだ。

 xShapeのベータ版は現時点で未提供だが、消費財メーカーや医療機器メーカーの顧客を想定ユーザーとしている。消費財や医療機器は実際にユーザーが手に取って使うものなので、感触がソフトなものの方が好まれる。xShapeは触りたくなるモノの設計に適している。

xShapeでリモコンをデザインする様子(クリックで拡大)

――設計の早い段階でxDesignが利用されているのは、設計業務の効率化に貢献しているためですか?

Endersby氏 xDesignは3DEXPERIENCEプラットフォーム上で動作するアプリケーションだが、3DEXPERIENCEプラットフォームは設計業務に対してコラボレーションやコミュニケーションを提供する。設計の早い段階でxDesignを用いた場合、より多くの人が設計のコンセプトについてコメントすることができる。設計を洗練する機会をxDesignが提供するだろう。

――ジェネレーティブデザインの概念が注目を集めていますが、xDesignでも提供されるのでしょうか?

Endersby氏 ジェネレーティブデザインはエキサイティングなアイデアだ。デスクトップのSOLIDWORKSではトポロジー最適化の機能を提供しているが、xDesignでは「設計ガイダンス」という機能がある。設計ガイダンスは、設計に不慣れなユーザーが思いつかなかったデザインをユーザーの代わりに提案する機能だ。設計のベテランではないユーザーもこの機能を利用することにで、設計スキルを磨くことができるだろう。

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