SOLIDWORKSが描く新しい地図、ユーザーとして期待するけどちょっと複雑3D設計推進者が見たSWW2019(2/3 ページ)

» 2019年02月27日 13時00分 公開

可能性が形成される場所とコンパス

 今回のテーマは、「Where Possibility Takes Form」でした。日本語訳をすれば、「可能性が形成される場所」となりますが、「3D CADとそのソリューションにより、開発設計製造環境の可能性が作られていく」ともいえるのではないでしょうか。

Where Possibility Takes Form

 2018年末、日本で開催された「SOLIDWORKS World JAPAN 2018(SWWJ2018)」で強調されていた「Simulation」という言葉も、2018年までのSWWで強調されていた「ECO SYSYTEM」という言葉もあまり登場しませんでした。

3DEXPERIENCE(1)

 そこに現れたものが、3DEXPERIENCEであり、ダッソーシステムズ製品群が、3DEXPERIENCEの象徴となるコンパス(3DCompass)の周りに配置されていました。さてこのコンパスの意味はお分かりでしょうか? 3DCompassの理解こそが、3DEXPERIENCEを理解する上で重要となります。

 実は私は、カンファレンス開催前日の日曜日に、3DEXPERIENCE Platform Exploerという認定試験を受けてきました。おそらく、日本人ユーザーとしては初です。

試験画面より

 3DEXPERIENCEプラットフォームをツールとして使用していない私にとっては、難解であったものの、事前にEラーニングでその概要を学んだことによって、3DCompassの意味は理解することができました(なお、Eラーニングも試験も英語のみです)。

 このEラーニングですが、SOLIDWORKSユーザーであればMy SolidWorksの中にあるラーニングパスより勉強することが可能です。

3DEXPERIENCE Platform explorer(出典 Dassault Systemes SolidWorks,My SolidWorks)

3DCompass(出典:Dassault Systemes SolidWorks,My SolidWorks)

 私が学習した3DCompassについてですが、その名前が示すように「方位磁針」をイメージしています。その方位が示しているコンセプトは次のようになります。

3DCompass Access your apps &Service

  • North(北): Social and Collaborative Apps
  • East(東):Information Intelligence Apps
  • Center(中心):Real-time 3DEXPERIENCE Platform
  • West(西):3D Modeling Apps
  • South(南):Simulation Apps

 Northはコミュニティーを作ることとコラボレーションを行う機能になります。Eastはコミュニティーの情報を管理する機能となり、Westは3Dによるモデリング機能を示しています。またSouthはCAEソフトだけではない「検証」という広義のシミュレーション機能を示しています。

 もう少し具体的に言うと、開発設計テーマを持った人はコミュニティーを作り、そこに参画する人を集めることができます。これは開発設計チームになります。

 これらはクラウドによりあらゆる情報が管理され、コミュニティーメンバーにより共有されます。クラウドベースの3D CAD「xDesign」によりモデリングが行われ、3D CADビュワー「eDrawings」によりそのデータはCADユーザー以外にも参照されると共に、アノテーション(annotation:注記などの付加情報)が追加され、開発設計チームによる設計検証も行われていきます。

 このコラボレーションはオンラインで行われますが、一部はオフラインでも可能になります。

 このような考え方のもと、SWW2019で公開された画像(上の「3DEXPERIENCE(1)」)に示された製品群は、3DCompassでのその方位の役割を示しています。

 また、3DEXPERIENCEプラットフォームの中で、これらの製品群とそのつながりによって、「Where Possibility Takes Form」と示されたように、開発設計製造環境の可能性が創造されていくことを表しています。

 これまで繰り返されてきたECO SYSYTEMという言葉に慣れた私にとっては、この3DCompassとSOLIDWORKSの連携の概念は難解でした。

 ECO SYSTEMでは、3D CADによる設計と、CAEによるシミュレーション、PDMによる設計データ管理という開発工程の流れの最適化について説明されてきました。

 さらにはIoTやAIによる新たなサービスに対する支援や、アディティブマニュファクチャリングの最適化、ジェネレーティブデザインも取り上げられ、開発設計環境から新たな製造手法までSOLIDWORKSソリューションの広がりを見せられてきました。

 そして今回の3DCompassというものは、このECO SYSTEMよりも更に大規模なものを示しているようで、正直、何を言いたいのかがよく分からなくて、モヤモヤしていました。

3DEXPERIENCE.WORKS

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