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» 2019年03月01日 10時00分 公開

海外医療技術トレンド(44):APIエコノミーが主導する米国の医療データ連携とAI (2/3)

[笹原英司,MONOist]

APIエコノミーを活用した医療IT標準化の経済インセンティブ

 CMSの規則提案を受けて、2019年2月14日、HHS傘下の国家医療IT調整室(ONC)が「医療情報の相互運用性向上のための規則策定提案通知」(図2参照、関連情報)を公表している。

図2 図2 米国保健福祉省(HHS)国家医療IT調整室(ONC)「医療情報の相互運用性向上のための規則策定提案通知」(2019年2月14日公開) 出典:Office of the National Coordinator for Health Information Technology (ONC)「Notice of Proposed Rulemaking to Improve the Interoperability of Health Information

 ONCの規則案は、以下のような点を目的として設計されている。

  • イノベーションと競争の拡大
  • 医療産業における標準化されたAPIの採用
  • 情報ブロッキングの定義に対する例外の特定
  • 患者が自分自身の医療情報にアクセスできる機能に焦点を当てる

 この規則案は、ONCが2015年10月に公表した「2015年版医療IT認証基準(2015 CHIT)」(関連情報))に代わるものである。ここで規定された標準規格をクリアしたベンダー製品が、「経済的および臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律(HITECH法)」に基づく経済インセンティブプログラムの対象となり、医療データの相互運用性標準化を促進する仕組みになっている。

図3 図3 米国保健福祉省(HHS)国家医療IT調整室(ONC)「API認証基準と関連する条件」(2019年2月14日公開) 出典:Office of the National Coordinator for Health Information Technology (ONC)「Application Programming Interfaces (APIs) Certification Criterion and Associated Conditions

 標準規格のうち、APIに関しては、本連載第40回で取り上げたONC傘下の医療IT政策委員会(HITPC)と医療IT標準規格委員会(HITSC)によるAPIタスクフォースの報告書(関連情報、PDF)やONCの「医療アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)のための重要なプライバシーおよびセキュリティの考慮事項」(関連情報、PDF)を踏まえながら、新たなAPI認証基準およびその要求事項などを提示している(図3参照、関連情報、PDF)。

 ONCは、API技術に関わるステークホルダーとして、API技術サプライヤー、APIデータプロバイダー、APIユーザーを定義している。API認証基準の対象となるのはAPI技術サプライヤーであり、技術要件として以下のような点を挙げている。

  • 医療データの相互運用性に関わるオープンソースの標準規格「FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)」(関連情報)の利用
  • 米国相互運用性向けコアデータ(USCDI)イニシアチブ(関連情報)が標準規格として提案する全てのデータへのAPIアクセス・検索機能
  • 認証、権限付与機能など、セキュアな接続
図4 図4 米国保健福祉省(HHS)国家医療IT調整室(ONC)「API認証条件:許可される料金条件」(2019年2月14日公開) 出典:Office of the National Coordinator for Health Information Technology (ONC)「Application Programming Interfaces (APIs) Certification Criterion and Associated Conditions

 今回のONCのAPIに関わる規定案の特徴は、さまざまなオープンAPIが相互連携しながら経済圏を拡大していく「APIエコノミー」の概念を導入した点にある(図4参照、関連資料、PDF)。

 API技術サプライヤーが料金の徴収可能なケースについて、規則案は以下のように規定している。

  • 対APIデータプロバイダー
    • API技術の開発、導入、アップグレードに相当する費用を補填する料金
    • API技術の使用のサポート増加分に相当する費用を補填する料金
  • 対APIユーザー
    • API技術と相互作用が可能なソフトウェアと接続して供給される「付加価値サービス」の料金

 他方、APIデータプロバイダーについては、API使用の導入、維持、実現に要する費用相当分を相殺する料金を徴収することが可能なケースがあるとしている。

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