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» 2019年03月05日 09時00分 公開

モノづくり業界転職トレンド(6):選考期間が短くなっている自動車業界の中途採用、なぜ? (1/2)

急激に求人が増えている自動車業界で、中途採用者選考がスピードアップしている。わずか1日で内定が出るケースも出ている中、採用シーンでどのような変化が起きているのだろうか。転職コンサルタントに聞いた。

[杉本恭子,MONOist]

 「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electric)をキーワードに、100年に1度の変革期といわれる自動車業界。中途採用の募集枠は、ソフトウェアエンジニアを筆頭に急激に増加し、それと比例するように求職者も増えている。売り手市場といわれる現在、各社が取り組んでいるのは、中途採用者選考のスピードアップである。

 具体的にどのようにスピードアップされているのか、また求職者にはどのような準備が必要なのか。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏に聞いた。

クイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏 クイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏

1日で内定が出るケースも

 転職市場では、書類選考から内定まで1〜2カ月というのが一般的だろう。通常、書類選考、一次選考の面接、最終選考の面接というステップを踏み、それぞれの合意決定には平均的に1週間程度かかる。

 「近年、中途採用の反省として『競合他社に先を越された』といったことが必ず指摘されている。各社の人事担当者はより優秀な方を採用するために、選考期間を短縮する必要があると認識している」と大熊氏。書類選考と面接2回、内定まで1〜2カ月という流れに、今変化が起こっているのだ。

 大きな変化は2つ。1つは、各選考の結果を出すスピードを速めていることだ。これまでの1週間程度から、24時間以内、あるいは当日中に合否を返答する企業が増えてきている。もう1つは選考のフロー自体の簡略化である。従来、面接は一次と最終の2回行うのが一般的だったが、1回にすることで選考期間全体を短縮している。

 面接の仕方にも変化が見られる。遠方の志望者を対象に、一次選考はビデオ通話や電話で行ったり、19時や20時から面接をスタートさせたり、土日に面接を行ったりと、日程調整がしやすくする工夫も行われている。

 最近は、土日に「セミナー選考会」といったものが開催されるケースも増えてきている。これは、書類選考を通過した就職希望者を集めて、午前中にセミナースタイルで企業の説明をし、午後から個別に一次面接を行い、通過した人が夕方の最終面接に進むというもの。つまり内定まで、1日で完結してしまうのだ。

企業側の採用体制も変化している

 では、今まで1カ月かかっていたことを、なぜここまでスピードアップできるのか。それは「人事と各部門とが転職市場に対して共通認識を持ち、密な連携体制で取り組むようになったから」(大熊氏)だという。部門側も、通常業務が忙しいからと決断を後回しにしていたのでは、優秀な人材を採用できないことを理解してきたからだ。

 選考をスピードアップするということは、短時間で採用者を決める、あるいは1度の面接で見極めなければならない。面接には、企業側が自社の魅力を求職者に伝え、志望度を醸成するという意味もあるが、その機会も少なくなる。当然企業は、面接の進め方を検討し、求める技術的なスキルや経験、人物像などについても、かなり具体的に描いていると想定される。大熊氏のようなエージェントの関わり方にも変化が見られるそうで「従来は企業の人事の方とやり取りしてきたが、今は部門の責任者と話をする機会も増えてきている」(大熊氏)という。

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