特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

インダストリー4.0の本場で日本の力を訴求、日本企業82社がハノーバーメッセに出展FAニュース(2/2 ページ)

» 2019年03月07日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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600ライン以上に導入した遠隔監視サービスを訴えるi Smart Technologies

photo i Smart Technologiesの代表取締役社長CEOの木村哲也氏

 2018年に続いてジャパンパビリオンに出展するのがi Smart Technologiesである。同社は自動車部品メーカーの旭鉄工が母体となって生まれた企業で、自社の製造ラインで作り上げたIoTを活用した遠隔監視サービスを外部展開。既に100社、600ライン以上に導入している。

 i Smart Technologiesの代表取締役社長CEOの木村哲也氏は「生産性進化論を訴えて、見える化サービスに加え、AIスピーカーやSORACOM LTE-M Buttonなどの先進技術を活用した生産ラインの実現に取り組んでいる。データ分析やコンサルティングサービスなども展開し成果につながる取り組みを進めている」と述べている。既にタイに展開しているが、その他のグローバル展開も視野に入れているという。

品質解析サービスを紹介するアビームコンサルティング

photo アビームコンサルティング ダイレクター P&T Digital ビジネスユニット IoTセクター長 橘知志氏

 アビームコンサルティングもジャパンパビリオンへの2年連続の出展となる。2019年はさらに自社ブースなども出展し、本格的に欧州展開を強化していく方針である。中心となって訴えるのは、品質メカニズム解析ソリューションである。同ソリューションは試作品や量産品前の試験データを収集してデータドリブンでの議論の土台を作るもの。高品質な製品の製造と設計、開発におけるリードタイム短縮の両立を実現することを目指す。

 アビームコンサルティング ダイレクター P&T Digital ビジネスユニット IoTセクター長 橘知志氏は「試作台数の30%削減や設計開発リードタイムの50%削減などを実現した例もある。欧州でも展開の土台ができたので、デモ機などを用意し積極的に提案していきたい」と述べている。

海外展開の加速を検討するEdgecrossコンソーシアム

photo Edgecrossコンソーシアム マーケティングマネージャーの森浩嗣氏

 Edgecrossコンソーシアムは、2018年は単独ブースでの出展だったが、2019年はジャパンパビリオンでの出展とする。同コンソーシアムは2017年11月にFAとITを協調させるオープンなエッジコンピュータ領域のソフトウェアプラットフォームを作ることを目的に発足。設立以降、順調に会員拡大を進め参加企業は現在250社以上になったという。ライセンス販売も450ライセンスの販売となっているという。

 出展の理由についてEdgecrossコンソーシアム マーケティングマネージャーの森浩嗣氏は「まだ国内中心での活動だが、海外展開の加速を検討していく。ハノーバーメッセでの出展を通じて海外の会員企業や団体との連携を実現したい」と述べている。

IoT工具を訴求する初出展の京都機械工具

photo 京都機械工具 事業開発室 主任 山口佳之氏

 京都機械工具は、ハノーバーメッセに初出展する。同社では、工具や測定具にセンシング技術を取り込み、その測定データをデバイスに送信できるシステム「トレサスシリーズ」を展開。その第1弾製品として工具に装着するだけで作業記録の管理と分析を実現できる「TORQULE」を販売している。ハノーバーメッセではこの「TORQULE」を紹介しグローバルでの可能性を模索する方針である。

 京都機械工具 事業開発室 主任 山口佳之氏は「当社は新工具大進化を目指しており、IoTを活用したデータ活用ができる工具に取り組んでいる。ロボットやIoTなどが進展しても製造業における人の作業は必ず残る。その人の作業を先進技術で支援することに取り組んでいく」と述べている。

スマートファクトリーへの研究開発の成果を披露するNICT

photo 情報通信研究機構 主任研究員 丸橋健一氏

 情報通信研究機構(NICT)は、Flexible Factory Partner Allianceなどにより、スマートファクトリー向けに取り組んできプロジェクトの成果をハノーバーメッセで披露する方針である。製造現場に混在する多様な無線通信を安定化する無線通信規格「Smart Resource Flow 無線プラットフォーム」や、3次元シミュレーターなどを紹介する。

 情報通信研究機構 主任研究員 丸橋健一氏は「製造現場への提言の中で、無線化を訴えており、その技術開発を進めている。工場内がワイヤレスで通信できるようになれば、その利点は非常に大きい。技術やシミュレーターを通じて価値を訴えたい」と述べている。

JEMAが考えるスマートマニュファクチャリングを訴求

photo 日本電機工業会 スマートマニュファクチャリング特別委員会 委員長 茅野眞一郎氏

 日本電機工業会(JEMA)は2018年に続けて2年連続の出展となる。JEMAでは、毎年スマートマニュファクチャリング特別委員会において2030年の製造業の姿を提言する「製造業2030」を発行してきた。ハノーバーメッセにおいては、この「製造業2030」で打ち出されたコンセプト「FBM(Flexible Business and Manufacturing)」を訴求する。

 JEMA スマートマニュファクチャリング特別委員会 委員長 茅野眞一郎氏は「既にさまざまな活動を進めている海外の団体と情報交換や連携などを進めていきたい。VDMAやIICなどと交流していくつもりだ」と述べている。

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