ルノー日産三菱のアライアンスは権限と責任を明確化、ビジネスの加速も製造マネジメントニュース

日産自動車とRenault(ルノー)、三菱自動車は2019年3月12日、横浜市内の日産自動車本社で会見を開き、3社のアライアンスのオペレーションとガバナンスを監督する「アライアンスオペレーティングボード(アライアンスボード)」を設立すると発表した。従来のアライアンス運営母体に代わり、簡素化した効率的な会議体として再スタートする。

» 2019年03月13日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
写真左からルノーのティエリー・ボロレ氏とジャンドミニク・スナール氏、日産自動車の西川廣人氏、三菱自動車の益子修氏(クリックして拡大)

 日産自動車とRenault(ルノー)、三菱自動車は2019年3月12日、横浜市内の日産自動車本社で会見を開き、3社のアライアンスのオペレーションとガバナンスを監督する「アライアンスオペレーティングボード(アライアンスボード)」を設立すると発表した。従来のアライアンス運営母体に代わり、簡素化した効率的な会議体として再スタートする。

 アライアンスボードの議長はルノー 会長であるジャンドミニク・スナール氏が務め、3社のCEOを含めた4人がメンバーとなる。スナール氏は「われわれの間でどうやったらアライアンスの利益を考えられるか、確認しながら進めていく。うまく機能させる決意もあるし、完璧に機能すると考えている。その理由は少人数だからだ。うまくいかなければ責任の所在が分かる。大事なのは基本に立ち返り、日産自動車のガバナンスが尊重されることだ」と語る。

 また、日産自動車 社長の西川廣人氏は「これまでのアライアンスはパワーバランスが偏っていた」と述べ、新設するアライアンスボードでは3社が対等なパートナーシップを名実ともに実現すると語った。アライアンスボードでは、単純な多数決ではなくメンバーの合意に基づいて意思決定を行うとしている。会合を毎月実施し、取り組みや成果を定期的に報告し合う。

 スナール氏は、日産自動車の指名に基づき、臨時株主総会の承認を受けて日産自動車の取締役に就任する予定だ。アライアンスボードの覚書では「ルノーの会長が取締役会副議長に適した候補者であると想定される」としている。また、スナール氏は「日産自動車の会長になろうとは思っていない」と明言した。

アライアンス運営の変更点と課題

 これまで3社のアライアンスは共同出資会社のルノー日産BV(RNBV)が統括していたが、新設するアライアンスボードがRNBVに代わってアライアンスを統括する唯一の機関となる。日産自動車と三菱自動車のシナジー創出を推進してきたオランダ子会社の日産三菱BV(NMBV)は存続するものの、「できるだけ早く結論を出すが、今の形には無理がある」(三菱自動車 社長の益子修氏)という認識の下、“アライアンスボードの予備”として残る。

 西川氏はこれまでのアライアンスの課題について「組織の統合に力を使いすぎたのは反省点だ。数年前から機能統合のため、レポートラインを一本化することに注力してきたが、その中で仕事が複雑に難しくなり、時間もかかるようになった。新しいアライアンスボードではこれを解きほぐして、大きな仕事や新しいプラットフォームの導入を効率的に進めたい」と語った。

 また、スナール氏はアライアンスボードの新設によって、3社の協業の取り組みが加速することを繰り返し強調した。アライアンスボードが資本構成とは関係なく効率を上げることが重要だとし、「短期で速やかに変革を進めるには、単独では成功しない。そのためにはアライアンスの体制を整える必要があった」(スナール氏)と語った。

 ルノー CEOのティエリー・ボロレ氏も「アライアンスのオペレーションにはスピードが絶対に必要だ。仕事を一緒に進めるには円滑でなければならない。権限と責任をはっきりさせ、各社が適切な体制を築けるようにする。これまでのアライアンスでは、時間をかけて多くのレイヤーに報告することに時間がかかっていた。複雑性をなくし、できるだけ早く成果を出す」とアライアンスボードの抱負を語った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.