新興国向け「ハイエース」、パワースライドドアの耐久性と操作性を向上車両デザイン

アイシン精機は2019年3月14日、新開発のパワースライドドアシステムがトヨタ自動車の新興国向け「ハイエース」に採用されたと発表した。

» 2019年03月18日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 アイシン精機は2019年3月14日、新開発のパワースライドドアシステムがトヨタ自動車の新興国向け「ハイエース」に採用されたと発表した。

 パワースライドドアの駆動ユニットは、スコールなどで道路の冠水が頻繁に起きる国や地域での使用を想定して開発した。製品設計や取り付け方法の工夫により、ECU(電子制御ユニット)に水がかぶりにくい構造とし、耐久性を高めた。ECUとモーターのカバーはシール材などを使用せず、風呂桶から着想を得て空気だまりを確保できる設計とした。また、路面冠水時の車両の傾きを考慮した「高床式アクチュエーター取り付け」を実施した。

風呂桶構造のイメージ(クリックして拡大) 出典:アイシン精機

 ドアの閉じ切りやドアを開ける操作のアシストを行うリリース一体式スライドドアクローザーは、ドアから受ける反力を低減する構造により、部品に作用する力の割合を従来品よりも低減。これにより、ドアハンドルを操作するのに必要な力を減らし、女性や子どもでも簡単にスライドドアを開閉できるようにした。また、ハイエースの従来モデルではドアの開ける、閉じるで独立していたアクチュエーターを1つに統合することにより、部品点数の削減と重量低減を実現した。これにより、スライドドア内の部品の搭載性向上と車両重量の低減に貢献するとしている。

 トヨタ自動車が2019年2月18日に世界初公開した海外向けハイエースのシリーズは、ターゲットとなる新興国市場で、物流に加えて観光用ミニバスや乗り合いバスなど乗客輸送の需要が拡大していることに対応するため開発した。刷新された専用プラットフォームを採用し、快適性と安全性を高めた。車体も、環状骨格構造を採用するなどボディー剛性を高めた。

 TNGA(Toyota New Global Architecture)の設計思想に基づく車体で、乗り心地や静粛性を大きく向上させるとともに、さまざまな道路環境に対応する耐久性と、長距離走行でも疲れない快適性を両立した。

トヨタ自動車が新興国向けに投入する「ハイエース」の新モデル(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車
乗客輸送のニーズにもこたえる(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

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