東京オリパラでロボット導入、トヨタは車いすサポート、パナソニックは腰を守るロボット開発ニュース

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は2019年3月15日、大会ビジョンである「史上最もイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会」に向けた取り組みとして、ロボットプロジェクトを発表した。第1弾として、車いす席の観戦をサポートするトヨタ自動車の「HSR」「DSR」と、重量物を運ぶ運営作業スタッフの負担を軽減するパナソニック子会社ATOUNのパワーアシストスーツ「ATOUN MODEL Y」を会場で導入することを明らかにした。

» 2019年03月19日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
東京オリンピック・パラリンピックのロボットプロジェクトの関係者たち(クリックして拡大)

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は2019年3月15日、大会ビジョンである「史上最もイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会」に向けた取り組みとして、ロボットプロジェクトを発表した。第1弾として、車いす席の観戦をサポートするトヨタ自動車の「HSR」「DSR」と、重量物を運ぶ運営作業スタッフの負担を軽減するパナソニック子会社ATOUNのパワーアシストスーツ「ATOUN MODEL Y」を会場で導入することを明らかにした。

 過去のオリンピック・パラリンピックではロボットが“活用”された例はなく、ロボットプロジェクトでは「驚きよりも役に立つところを発信したい。使えるんだなというところを見せる」と意気込む。

 東京オリンピック・パラリンピックでは、日本のロボット技術を生かし、スポーツの見方や大会への参加の仕方、バリアフリーな社会の実現といった各分野でイノベーションを実現しようとしている。ロボットプロジェクトでは、ロボットがさまざまな場面で人々に寄り添い、役に立つ姿を発信することが狙いとなる。また、大会を契機としてロボットの社会実装を推進していくことを目指す。

 プロジェクトの始動に当たっては、ロボットの有識者、大会パートナーであるパナソニックとトヨタ自動車、組織委員会、東京都と内閣官房、文部科学省、経済産業省が検討する体制を構築した。有識者としては、産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター センター長の比留川博久氏、東京大学 名誉教授の佐藤知正氏、理化学研究所 革新知能統合研究センター センター長の杉山将氏が参加した。

 今回公表したのはあくまで第1弾であり、今後もトヨタ自動車やパナソニック以外の企業によるプロジェクトを発表していく。並行してロボット導入の実証や検証も進める。「ロボットがあるから何をするかという視点ではなく、人が何を必要としているかユースケースで検討している。翻訳や道案内、目的地の検索など、あるといいねということを洗い出していく。2019年秋までには結論を出す」(ロボットプロジェクトのメンバー)。

 トヨタ自動車が提供するHSRとDSRは、車いすの観客にも心置きなく観戦を楽しんでもらうため、移動したいという希望をかなえ、支援する役割を担う。具体的には、物品の運搬や観戦席への誘導をサポートする。HSRはモノを拾ったりつかんだりして手渡したり、全方位にスムーズに移動したりできる点が特徴となる。DSRはモノを運ぶ役割を持ち、HSRと同様に全方位に滑らかに移動できる。陸上競技が行われる新国立競技場に、HSRを16台、DSRを8〜10台導入する予定だ。

写真右がDSRで、車いすの人に届ける荷物を運んできた(左)。それをHSRが受け取って手渡す(中央、右)(クリックして拡大)

 パナソニックはパワーアシストスーツにより、年齢や性別に左右されずに働くことができる社会や、人に優しい先進的な現場づくりを目指す。パワーアシストスーツは選手やチームの荷物、飲食物など重いものを扱う運営作業スタッフの負担軽減に活用する。全会場で合計20台を導入する。

 ATOUN MODEL Yは腰の動きをセンサーで捉えて、モーターによるアシストで重量物を持った時に腰にかかる負担を軽減する。アシストの有無によって、腰方形筋で40%、胸最長筋で10%の負担軽減を確認しているという。また、持ち上げる動作の時には動きをアシストし、モノを降ろす動作の時には減速する機能を持たせている。これにより、検証では運搬できる箱の個数がアシストなしと比較して20%増えたという。

重いスーツケースを振り回す様子(クリックして拡大)

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