「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

AGCが「ガラス業界初」の取り組み、日米欧の3極に電波暗室を開設車載情報機器

AGCは、自動車用ガラスアンテナの開発拠点となる電波暗室をベルギーのゴスリーに建設したと発表した。日米欧の3極で自動車用ガラスアンテナの開発体制を整えたのは「ガラス業界初」(同社)だという。

» 2019年03月19日 08時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 AGCは2019年3月18日、自動車用ガラスアンテナの開発拠点となる電波暗室をベルギーのゴスリーに建設し、同年3月15日に完成したと発表した。日米欧の3極で自動車用ガラスアンテナの開発体制を整えたのは「ガラス業界初」(AGC)だという。

 同社は40年以上にわたり自動車用ガラスアンテナの研究、開発、製造を手掛けてきた。既に、顧客それぞれの自動車用ガラスアンテナの設計に用いる電波暗室を日本と米国に有している。今回の欧州での電波暗室完成により、顧客の開発活動をグローバルに支援し、かつ「IoT(モノのインターネット)時代の“つながる”クルマに対応するアンテナ開発を加速していく体制が整った」(同社)としている。なお、AGCグループでは、経営方針「AGC plus」のもと、モビリティ分野を戦略事業の1つに位置付けている。

AGCがベルギーのゴスリーに建設した電波暗室 AGCがベルギーのゴスリーに建設した電波暗室(クリックで拡大) 出典:AGC

 今後のモビリティ社会では、カメラやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)、センサーなどの機器によるクルマ同士あるいはクルマと全てのものがつながるV2X(Vehicle to X)を実現する通信機能が求められる。そうした中、受発信アンテナの搭載および電波の出入り口として、自動車用ガラスの役割が増している。

 その一方で、クルマのデザインを損ねることなく、各種放送波の受信や次世代携帯電話通信技術である5Gなどの高速通信に最適なガラスアンテナデザインを設計するには、開発段階から高度なシミュレーション技術の応用や高精度な計測技術が求められており、電波暗室の需要も拡大している。

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