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» 2019年03月20日 06時00分 公開

自動運転技術:トヨタ子会社TRI-ADがNVIDIAを全面採用、シミュレーションから車載コンピュータまで

NVIDIAは2019年3月18日(現地時間)、ユーザーイベント「GTC 2019」(2019年3月19〜21日)において、トヨタ自動車、デンソー、アイシン精機の共同出資会社であるToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)との協業範囲を拡大すると発表した。自動運転AIの学習、クラウドベースの走行シミュレーションによる検証から開発用車載コンピュータまで、エンドツーエンドでNVIDIAの技術、製品を採用する。

[齊藤由希,MONOist]
基調講演に登壇したNVIDIAのジェンスン・ファン氏(クリックして拡大)

 NVIDIAは2019年3月18日(現地時間)、ユーザーイベント「GTC 2019」(2019年3月19〜21日)において、トヨタ自動車、デンソー、アイシン精機の共同出資会社であるToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)との協業範囲を拡大すると発表した。

 GTC 2019の基調講演において、NVIDIA CEOのジェンスン・ファン氏が明らかにした。自動運転AIの学習、クラウドベースの走行シミュレーションによる検証から開発用車載コンピュータまで、エンドツーエンドでNVIDIAの技術、製品を採用する。

 トヨタ自動車とNVIDIAは2017年から協業している。今回の協業拡大も、トヨタ自動車やトヨタの米国研究子会社Toyota Research Institute(TRI)、TRI-ADとのこれまでの開発の取り組みがベースとなっている。

 今回発表した協業には、NVIDIAのGPUを活用したAIコンピューティングインフラストラクチャ、シミュレーション向けのデータセンターソリューション、DRIVE AGX XavierやDRIVE AGX Pegasusをベースにした自動運転車開発用の車載コンピュータを利用することが含まれる。トヨタグループの中で主にTRI-ADが、シミュレーションの一部に「DRIVE Constellation」を採用する。TRI-ADがDRIVE Constellationの最初のユーザーであるという。

 これは2つのサーバを使ったソリューションで、1つ目のサーバがNVIDIAのシミュレーションソフトウェアを実行し、現実に限りなく近い仮想世界の中で、仮想化された自動車からセンサーデータを生成する。2つ目のサーバは、1つ目のサーバから得たセンサーデータを車載コンピュータと同じDRIVE AGX Pegasusで処理し、それに基づく運転の判断を1つ目のサーバにフィードバックする。これにより、高精度で正確なタイミングのHIL(Hardware In the Loop、ECUテスト)を実現するとしている。

シミュレーション上で、同時に12パターンの異なる走行環境で自動運転車を走らせている様子(クリックして拡大) 出典:NVIDIA

 TRI-ADは、トヨタグループの自動運転開発体制の中で、量産に向けた先行開発を担っている。TRI-ADの開発の成果は、トヨタ自動車や、デンソーなどサプライヤー4社の共同出資会社「J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)」が引き継ぎ、量産車に実装できる統合制御ECUとして完成させる。自動運転車の車載ソフトウェアは、シミュレーションや機械学習を活用し、TRIからTRI-ADに、トヨタ自動車へと開発を引き継ぎながら成熟させる方針をとっている。

 消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」でも、TRIのCEOであるギル・プラット氏はシミュレーションの重要性について言及した(※)。高度安全運転支援システム「ガーディアン」の開発は実車とシミュレーションを組み合わせて繰り返しテストすることで進めており、数十億マイルものトレーニングデータやテストデータをクラウド上で同時に作るなど、大規模なシミュレーションも活用していると紹介。また、実際の事故について、事故当時のセンサーデータを取り込んで事故の状況をシミュレーター上で再現し、事故を回避するためのアルゴリズムを開発する取り組みも進めていると述べた。

(※)関連記事:想定外のもらい事故も開発に反映、トヨタの“高度”運転支援システムの最新状況

他社シミュレーターと連携、認証試験での採用も

 NVIDIAはDRIVE Constellationについて、他社のシミュレーションソフトの環境、車両、センサーのモデルや交通シナリオも統合可能なオープンプラットフォームとする。さまざまなシミュレーションエコシステムからデータセットを得て、より多様で複雑なテスト環境を生成できるようにするためだ。また、実際の車載センサーのデータなどを取り込むことで、より現実に近い環境や車両の挙動を再現できる。

 既に自動車向けのシミュレーションを手掛けるCognataやIPG AutomotiveがDRIVE Constellationのエコシステムパートナーとなっている。Cognataは、DRIVE Constellationでサポート可能なシナリオとトラフィックモデルを2019年3月19日に発表した。

 また、ドイツではAVLとTUV SUDがDRIVE Constellationを使った自動運転システムの試験規格の案をまとめている。自動運転車が混雑した交差点などでも衝突することなく走行できるか、必要に応じて適切に減速するかなどについて、シミュレーションと路上テストを組み合わせることで堅牢なテストプロセスを開発する考えだ。

(取材協力:NVIDIA)

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