「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
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» 2019年03月26日 06時00分 公開

自動運転技術:離れた場所のクルマを無人運転で呼び出し、NVIDIAが期待されていることは

クラリオンは、NVIDIAのユーザーイベント「GTC 2019」(2019年3月19〜21日、米国カリフォルニア州サンノゼ)において、遠隔出庫システムのデモンストレーションを実施した。スマートフォンの専用アプリを操作すると、離れた場所に駐車している車両を無人運転で呼び出せるシステムだ。車両は各種センサーで周辺を監視しており、自動で路上の障害物をステアリング操作で避けたり、前方を横断する歩行者を検知すると停止したりする。

[齊藤由希,MONOist]
スマートフォンアプリから自分のクルマを呼び出す(クリックして拡大)

 クラリオンは、NVIDIAのユーザーイベント「GTC 2019」(2019年3月19〜21日、米国カリフォルニア州サンノゼ)において、遠隔出庫システムのデモンストレーションを実施した。スマートフォンの専用アプリを操作すると、離れた場所に駐車している車両を無人運転で呼び出せるシステムだ。車両は各種センサーで周辺を監視しており、自動で路上の障害物をステアリング操作で避けたり、前方を横断する歩行者を検知すると停止したりする。

 同システムは、数十m離れた場所での自動入出庫だけでなく、より広い駐車場内の走行や、駐車場から公道に出るなどの無人運転に向けたロードマップの一部となる。

 デモンストレーションはGTC 2019の会場付近の公道を封鎖して行った。開発車両は縦列駐車で並んだクルマの間に停車した状態から出庫する。スマートフォンの専用アプリにログインすると地図上でユーザーとクルマの現在地が確認可能で、デモンストレーションでは50mほど離れた場所からクルマを呼び出した。アプリ上で遠隔出庫を選択すると、地図上のユーザーの位置まで車両が走行してくる。ユーザーが待っている位置と、車両が停車する位置の誤差は1m程度だ。運転席には説明員が乗車しているが、運転操作は行っていない。

デモンストレーションのスタート地点(左)。倒れたごみ箱を避け(中央)、横断する歩行者を検知して停止する(右)(クリックして拡大)

 開発車両に搭載しているセンサーは、超音波ソナー12個とサラウンドビュー用の単眼カメラ4個、日立オートモティブシステムズ製のステレオカメラ1基、センシング冗長化のための他社製LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)2個となる。サラウンドビュー用のカメラは取り付け位置と解像度の兼ね合いから検知できる距離はソナーと同等で、前方監視はステレオカメラで行う。また、パワーステアリング、ブレーキやパワートレインの制御は日立オートモティブシステムズで、スマートフォンアプリやテレマティクスユニット、サーバ側での処理はクラリオンで手掛ける。

 遠隔出庫システムで自動走行する際に必要となる、フリースペースや縁石、路面、動く物体の認知は主にNVIDIAの「DRIVE AGX Xavier」で、道路上をどのように走行するかを決めるパスプランニングなどはルネサス エレクトロニクスの「R-Car」をベースにしたECUで分担して行った。

 デモンストレーションのようなセンサーの構成、走行内容であれば、DRIVE AGX Xavierの搭載は必須ではなかったようだ。限定された道幅の走行エリアであればR-CarベースのECUで設定できる経路の本数でカバーすることが可能だとしており、高速道路の自動運転であってもGPUの並列処理で設定できるほどの膨大な経路は必要ないという意見も出ているという。しかし、ディープラーニング(深層学習)を使ったセンシングとセンサーフュージョンには「NVIDIAのプロセッサが必要」(クラリオンの説明員)だという。

 クラリオンは2019年3月にフランスの大手サプライヤーであるフォルシア(Faurecia)の傘下に入った。日立製作所は保有するクラリオン株を全て売却したため日立グループからは離れることとなる。現在進行中の量産車向けの開発案件で、日立オートモティブシステムズと共同で取り組んでいるものに関しては連携を維持する。今回、GTC 2019で行ったデモンストレーションに搭載した技術は、新しい親会社であるフォルシアが関心を寄せるところでもある。

(取材協力:NVIDIA)

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