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» 2019年04月01日 15時00分 公開

医療機器ニュース:錠剤サイズの「飲む体温計」、動物適用実験に成功

東北大学は、胃酸発電でエネルギーを獲得して動作する錠剤サイズの「飲む体温計」を開発、動物適用実験に成功した。胃の中でセンサーにためたエネルギーを腸内でも使用し、深部体温を継続的にモニタリングできる。

[MONOist]

 東北大学は2019年3月13日、胃酸発電でエネルギーを獲得して動作する錠剤サイズの「飲む体温計」を開発、動物適用実験に成功したと発表した。胃の中でセンサーにためたエネルギーを腸内でも使用することで、深部体温を継続的にモニタリングできる。同大学イノベーション戦略推進センター 特任教授の中村力氏らの研究グループによる成果だ。

 今回試作した錠剤型センサーは、直径約9mm、厚み約7mm。胃酸電池の電極以外は樹脂に覆われており、樹脂内部には、温度センサー、マイコン、カスタム集積回路、通信用コイル、積層セラミックコンデンサーなどが実装されている。

 センサーが飲み込まれ、胃酸電池電極部に胃酸が接触すると発電して昇圧回路を動かし、高い電圧でコンデンサーに充電する。このエネルギーを腸内で用いて、30分に1回程度の頻度で腸内温度を測定し、体外の受信器へデータを送る。体外への通信は、体内吸収が少ない約10MHzの周波数帯での近距離磁気誘導方式を採用した。

 通常であれば24時間以内に体外に排出され、下水処理場での沈殿工程で回収・廃棄されることを想定。有害なボタン電池を用いていないため安全、かつ、錠剤サイズなので、滞留せずに体外に排出されることが期待できる。

 今回、試作したセンサーをイヌに服用させ、発電、測温、通信といったセンサーシステム全体の動作を検証した結果、市販のループアンテナを用いてイヌの体内温度の測定に成功した。センサーは滞留することなく、翌日に自然に体外に排出された。体内のセンサーと外部アンテナは、50cm離しても十分に通信でき、受信器の改良により、通信距離のさらなる延長が可能と考えられる。

 この技術を用いて、ユーザーが就寝前にセンサーを服用し、受信アンテナをベッドの脇もしくは下に内蔵しておけば、就寝中の深部体温データを収集できる。これにより、真の基礎体温および体内時計の位相のずれなどを、容易に測定できる。運動中のデータ収集には、ベルトや腕時計タイプの受信器を用いることを想定している。

 今後はヒトへの適用試験を目指し、システムの最適化と動物実験を重ね、将来的には安価な部品や実装技術を用いて原価を100円以下に抑え、個人が普段使いできるよう目指す。

photo 試作した胃酸発電で駆動する「飲む体温計」。左:センサーと1円玉との比較写真、右:センサーの断面概略図 出典:東北大学
photo 左:服用させたセンサーからの測温データの受信。右:センサー服用後のイヌのX線コンピュータ断層撮影像(クリックで拡大) 出典:東北大学
photo 想定されるユースシーンの一例。(a)就寝中の深部体温の測定(b)測定データと深部体温の概日リズム変動の概念図(クリックで拡大) 出典:東北大学

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