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» 2019年05月07日 10時00分 公開

制御・配電盤革新:新たな配線文化創造に挑戦する、制御・受配電機器メーカーが示す開拓者精神

建設需要の活況により、制御・配電盤需要も盛り上がりを見せている。一方でこれらの保全現場や製造現場では、人口減少による労働者不足が深刻化しており、労働負荷を減少し省力化を進めることが求められている。こうした状況で大きな注目を集めているのが、ねじ締め不要なプッシュイン式のスプリング端子機器である。ただ、従来定着したねじ式の端子機器を置き換えるには文化を変えるような地道な取り組みが必要になる。この「配線文化の革新」に取り組むのが、富士電機機器制御だ。

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 富士電機機器制御は大手電機機器メーカーである富士電機の器具事業部門と世界的重電メーカーであるフランスのシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)の日本事業を統合し2008年に生まれた両グループの合弁会社である。

 受配電機器や制御機器など、工場のFAラインやインテリジェントビルなどに関連したコンポーネント機器の設計、製造、販売を行っている。従業員数は約2600人で、主力となる配電・制御機器事業は国内で高いシェアを持つ。さらに、アジア地域を中心に海外販売も積極的に展開している。

 1923年に創業を開始した富士電機製造時代から含め同社が日本で初めて開発したり市場投入したりした製品は数多いが、現在最も力を入れているのが、制御機器や受配電機器における「ねじレス化」である。

現場の人手不足にどう向き合うのか

 日本の労働人口は、1992年をピークに減少している。それに伴い、現場での人手不足は大きな課題となっている。さらに、昨今データセンターの新設や輸出機械装置、ビルディング市場の新設やリニューアル需要が増えていることで、より少ない人数でより多くの業務をこなさなければならない状況に陥っているといえる。

 これらを受けて、製造現場や保守現場では、省工数(作業にかかる時間や手間を減らすこと)化が、ますます求められるようになっている。そこで富士電機機器制御が作業負荷低減への取り組みの1つとして推進しているのが「ねじレス化」というわけである。

 従来、制御盤や配電盤の中にあるさまざまな機器と電線をつなぐ方法はねじ式だった。ただ、「ねじを外して、圧着端子を通し、また締める」という方法は、手間も時間もかかる。ねじは締め付けトルクの管理が必要であり、輸送や設置後も、ねじが適正なトルクで締められているか確認作業が必要となる。信頼性のためには必要ではあるが、この作業の負荷は非常に大きなものがあった。

 そこで、これらの作業負荷を低減するために、ねじを使わずに電線を接続する方法として、富士電機機器制御が推進するのがプッシュイン式のスプリング端子機器である。2018年にスプリング端子機器シリーズのブランド名を「F-QuiQ」として本格展開を開始した。

photo 富士電機機器制御が展開するスプリング端子機器「F-QuiQ」(クリックで拡大)

省力化とねじレス化を実現するスプリング端子機器

 スプリング端子とは、端子部を板バネ挟んで固定する仕組みにより、端子部を差し込んでバネを閉じるとステンレスの板バネが端子部を固定するという構造を実現している。従来のようにねじを開けたり締めたりする必要がなく、作業は線を挿し込むだけ(プッシュイン)となる。作業に必要な時間は、従来のねじタイプのものに比べて、3〜6割少なくできるという。また、熟練度によって品質にバラツキがあったねじ式に対し、スプリン端子機器では作業は挿入するだけなので、品質を安定させる効果もあるという。

photo 富士電機機器制御 事業企画本部 業務部 開閉制御機器課 主任の福山肇氏

 「配線作業の時間を短くすることで、同じ作業員数、同じ作業時間における作業効率を高めることができます。団塊の世代が現場から居なくなり熟練工が極端に減っていく中、作業者の能力に関わらず、作業品質を安定維持することにもつながっています」と富士電機機器制御 事業企画本部 業務部 開閉制御機器課 主任の福山肇氏はスプリング端子機器の価値について語る。

 さらに、ねじを使っていないため、作業の途中でねじを落下させてしまい、それを探すような手間も省くことができる。ねじは、振動などにより緩んできてしまう問題もあり、定期的な点検や増し締めなどが必要になるがこれらの工数も削減可能だ。端子部が絶縁物で覆われIP20が確保されているため、ねじで締めるものに比べて安全であるというのも利点だ。また、接続方法は、電線を押し込めば接続完了するプッシュイン方式を採用し、利便性を高めている。

photo プッシュイン式を採用し、作業効率を向上(クリックで拡大)

“配線文化”を変える意義

 ここまで紹介したように、制御機器や受配電機器における「ねじレス化」は作業効率や作業品質両面で大きな効果がある。しかし、実際に普及を進めるのは簡単なことではない。従来の仕様として「ねじ」が必須となっている業界が多いからだ。

 さらにこれらの仕様策定に関わる、機器選定の担当部門だけに提案を進めてもなかなか仕様そのものの変更には至らない場合が多い。そこで富士電機機器制御では「配線文化を変える」ことを目指し、「ねじレス化」の普及活動をさまざまな方向性で推進する。その1つが「働き方改革」をキーワードとし、従来の提案部門以外の部門や経営層への提案である。

 福山氏は「従来伺うことはあまりなかった経営層や人事部、総務部、品質管理部などさまざまな部門に提案を行うようになりました。ねじレス化による作業効率と作業品質についての価値を訴えて、働き方改革などに関連した取り組みに落とし込んでもらえるように提案しています。ねじレスが新たな配線文化として定着するようにしていきたいと考えています」と述べている。

 さらに、職種や業種に合わせた提案のテンプレートなども用意。「とにかくより多くの人に理解してもらえることが重要だと考えています。そのために業種や職種毎の特長や課題を伝えつつ、お客様の装置目線に立ったご提案を行っています」(福山氏)。

「ねじレス化」を加速し、盤製作全体の利便性向上を

 これらの考えのもと、富士電機機器制御では、制御機器から受配電機器までプッシュイン式のスプリング端子機器のラインアップをそろえた。

photo F-QuiQのラインアップ(クリックで拡大)

 配線用遮断器、漏電遮断器、サーキットプロテクタ、電磁接触器・電磁開閉器、リレーおよびタイマ用ソケットなど、一連の関連機器群を全て用意した。主に30A以下の定格において、配線用遮断器や電磁開閉器などの主力製品で「スプリング端子構造」を用いた製品群をそろえることで、装置や制御盤内機器の「ねじレス化」を進め、装置や制御盤の生産効率向上を目指す。「ここまで幅広い製品群をそろえているのは富士電機機器制御だけです」(富士電機機器制御 営業本部 営業推進部 担当課長の大石幸勇氏)。

 まだまだ普及途上ではあるが、導入した企業からの評判は非常によいという。「特に、食品・包装業界などからは想定以上の引き合いをいただいています。従来の製品では振動などによりねじが外れてしまい、異物混入を懸念するところもありました。しかしF-QuiQではそもそもねじが無く、食品の通過部にねじを使用した機器を置きたくないけれども限られたスペースで機械を設置しなければならない時に制御盤内にねじが無いというのは非常に反応が良いです」と大石氏は語っている。

photo 富士電機機器制御 営業本部 営業推進部 担当課長の大石幸勇氏

 今後は国内市場での定着に取り組みつつ、グローバル市場の開拓に取り組んでいく方針だ。特に中国やASEAN市場での採用拡大を目指す。「海外のお客様には、現場作業者の流動性が高く技術が伝承されないため、品質のさらなる向上やモノづくりの効率化が犠牲となる課題があると認識しています。そこで、誰でも同じ作業ができるというニーズがあります。F-QuiQはこれに適合します」と大石氏は語っている。

 一方で自社だけの取り組みではなく業界全体の価値に広げるべく取り組みを進めている。「現在、他の制御機器メーカーからもスプリング端子機器が、相次いで発売されている状況です。制御盤の一部だけが採用されていても効果は薄いものだと考えますので、一緒になって新たな市場を作っていきたいと考えています」と福山氏は今後についての考えを述べる。業界全体でスプリング端子機器の需要を活性化し、新たな市場を作り出していく考えだ。

「挑戦」を生み出し続ける環境

 ここまで富士電機機器制御の制御・受配電機器における「配線文化創造」への取り組みについて紹介してきたが、富士電機機器制御はこうした新たな市場創造に取り組む挑戦への風土を持つことが特徴だ。ここまでも「漏電遮断器と配線用遮断器の同サイズ化」など市場にさまざまな新たな文化をもたらしてきた。

 大石氏は「文化創造などの苦労は市場ができてしまえば、生まれることのないものです。ただ、富士電機機器制御には過去から新たな市場に取り組む『挑戦』の風土があります。ねじレス化は制御・受配電機器にかかわる業界全体でも大きな価値があると考えています。大変ですが、市場をより良い形に変えていくことがメーカーとしての使命だと考えています」と思いを述べる。

 これらの「挑戦」を支える体制面での支援もある。組織内でもこうした動きが取りやすい、一体感のある運営体制が実現できているという。「開発や製造、販売などに関わる各部門がフラットな形で顧客に向き合うという文化や気風があると感じています。組織の壁なども低く、顧客の困りごとに対してそれぞれが専門知識を持ち寄って解決しようとするソリューション型の体制だといえます」と大石氏は富士電機機器制御の強みについて述べている。

 これらの文化や体制があるからこそ、市場をリードする製品を短期間に開発し続けることができるのである。受配電機器、制御機器という限られた領域ではあるが、新たな領域を開拓し続ける富士電機機器制御の新たな挑戦にもさらに期待が持てそうだ。

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提供:富士電機機器制御株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年6月6日