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» 2019年04月22日 11時00分 公開

モノづくり最前線レポート:トレーサビリティーに必須の個体管理、モノの効率的な流通を支えるGS1の役割とは

流通情報システムの総合展示会「リテールテックJAPAN 2019」の「流通システム標準化の最新動向」をテーマとしたセミナーに、流通システム開発センター 理事の森修子氏が登壇。「デジタル化する社会とGS1の役割」と題して流通システム開発センターが果たす役割と取り組みを紹介した。

[長町基,MONOist]

 流通情報システムの総合展示会「リテールテックJAPAN 2019」(2019年3月5〜8日、東京ビッグサイト)の「流通システム標準化の最新動向」をテーマとしたセミナーに、流通システム開発センター 理事の森修子氏が登壇。「デジタル化する社会とGS1の役割」と題して流通システム開発センターが果たす役割と取り組みを紹介した。

スマート化の土台となる個体番号

 流通システム開発センターは1972年に設立された、流通業界全体のシステム化、全体最適化を推進する専門機関である。1987年に国際的な流通情報システム標準化推進機関である国際EAN協会(現GS1)に加盟した。現在はGTIN(Global Trade Item Number):JANコード、GLN(Global Location Number)、各種バーコードシンボル、電子タグ、EPCIS(EPCインフォメーションサービス)など流通の全体最適化に欠かせない標準やツールの作成管理、普及推進などに取り組んでいる。

 「GS1」が提供する中で最も重要なことは個体識別である。対象となるモノに他とはダブらない番号を付けて識別していく仕組みが中心的な位置付けを担っている。GS1識別コードのシステムは、各国に国コードを付け(日本は49、45)、各国のGS1拠点が国内の事業者にGS1事業者コードを付ける。そして各事業者が商品にアイテムコードを付けるというもので、世界中で行っている(世界標準に賛同したGS1加盟組織がある国と地域は世界に110以上ある)。

photo 流通システム開発センター 理事の森修子氏

 現在はインターネット、ブロックチェーン、画像認識、機械学習などさまざまなテクノロジーが進化し、それにより発生した膨大なデータを扱い、加工して価値を届ける社会へと進化した。これに伴い、データの「名よせ」「ひもづけ」など、標準コードの重要性が高まっている。

 インターネットの普及により、Eコマースは爆発的に伸長。商品の多様化、商品寿命の長期化、取引の国際化が進んでいる。森氏は「商品のユニーク識別は従来以上に必要となる」と強調した。GTINは、既にトレーサビリティーや移動の情報アクセスのカギとなるコードになっており、デジタル化、ネット化する社会においてGTINの果たす役割はより大きなものになっている。

 標準化やあらゆる取引にかかわる当事者は事業者(ブランドオーナー、卸売業、小売業、物流事業者)、政府当局、消費者や生活者と多様化している。この中で、ここ数年世界的に議論を重ねてきたという。

アイテムコードなどにも拡張

 組織やサービス面では、現在、GS1は事業者コードを付け、標準の開発やメンテナンスを行うことがメインの事業となっている。これを、将来的にはGS1事業者コードを基盤にしたGTIN、GLNなどによる個体識別を一層強化する方針だ。そのためにこれらのコードの基本情報を収集し提供するハブの役割が求められる。そして、標準を実際に利用する基盤の提供にも力を注ぐ。

 具体的には、GS1事業者コードの付番や管理だけでなく、アイテムコードの付番や管理を支援し、そのコードを本社にシェアするような事業へと拡大することを目指す。

 「GS1レジストリープラットフォーム」を構築し、GS1によるグローバルなデータサービスを行う。同プラットフォームの内容は世界各国のブランドオーナーが登録および認証した商品情報の一覧をクラウドで提供するもので、グローバルにGTINとひもづいた商品の基本的な情報の参照を可能とし、GS1事業者コードの有効性もチェックできる仕組みとする。2019年の秋以降に一部の国からスタートする計画だ。

 流通システム開発センターの今後の取り組みとしては「流開DP(データプール)」(仮称)の構築を進める。GS1事業者コードの貸与を受けた事業者(ブランドオーナー)発信の商品情報の登録と利用を促進することを目的に置く。GTIN情報の収集と活用のハブとして機能させる。JANシンボル画像の発行やダウンロード(オプション)など標準を使いやすくする仕組みや、GS1レジストリなどとの連携によるGTINの正当性など情報の信頼性の証明を行う。さらに、権利を持つ当事者の有効なGTINであるかのチェックや、基本的な商品情報の参照などの商品情報データ利用者サービスなどを予定し、2019年秋から一部運用を開始する計画としている。

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