プラント制御値をAIで自動探索、熟練者と結果一致し有効性を確認人工知能ニュース

NTTコミュニケーションズは、横河電機、横河ソリューションサービスと連携して開発した「プラント向けデジタルツイン」を用いて、化学プラントの改善に有効な制御パラメータ値を自動探索することに成功した。

» 2019年04月25日 09時00分 公開
[MONOist]

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2019年3月26日、化学プラントの改善に有効な制御パラメータ値をディープラーニングを用いて自動探索することに成功したと発表した。

 自動探索にはNTT Comと横河電機、横河ソリューションサービスが連携して開発した「プラント向けデジタルツイン」を用いた。これは、プロセスデータから反応器の状態変化を予測するNTT Comの「蒸留塔状態予測モデル」と、横河電機のプラント制御シミュレータを組み合わせて、仮想の化学プラントの挙動を再現する仕組みだ。

 複数の工程が連続する化学プラントのようなプロセス系プラントでは、工程の変動が品質や生産量のばらつきにつながる可能性があることから、各工程を綿密に制御する必要がある。これまでは、複雑な入出力関係の数値化や可視化は困難で専門のコンサルタントが検討を重ねて最適な制御パラメータを特定していた。

 今回、プラント向けデジタルツイン上で状態の予測値と化学プラントの挙動をシミュレートし、約2500パターンの中から最適な制御パラメータ値を自動探索した。

photo 実証実験のイメージ(クリックで拡大) 出典: NTTコミュニケーションズ

 自動探索結果と横河ソリューションサービスの熟練したプラントコンサルタントが導き出した結果を比較検証したところ、両者は一致していた。これにより、最適な制御パラメータをディープラーニングで自動探索するという同手法が実際のプラントの制御改善に活用できることが確認された。

 化学プラントにおける手動制御の自動化はコストを抑え生産の安定化をもたらす。3社は今後、今回の成果をさらに高度化させてプラントの省エネルギー化や生産の安定化に向け、技術開発を続けていく。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.