エッジコンピューティングの逆襲 特集

エッジ強化を再度打ち出したシーメンス、マインドスフィアは段階別提案へハノーバーメッセ2019(1/2 ページ)

ドイツのSiemens(シーメンス)は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、新たに「インダストリアルエッジデバイス」などエッジ領域の再強化に乗り出す方向性を打ち出した。また産業用IoTのOSを目指すIoT基盤「MindSphere(マインドスフィア)」は段階別提案を強化する方針を訴えた。

» 2019年04月25日 12時00分 公開
[三島一孝MONOist]

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 ドイツのSiemens(シーメンス)は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、新たに「インダストリアルエッジデバイス」などエッジ領域の再強化に乗り出す方向性を打ち出した。また産業用IoTのOSを目指すIoT基盤「MindSphere(マインドスフィア)」は段階別提案を強化する方針を訴えた。

photo ハノーバーメッセ2019のシーメンスブース。例年通り巨大なブースでさまざまな製品やサービスを紹介(クリックで拡大)

エッジデバイスやAGVを新たに投入

 シーメンスがハノーバメッセ2019で新たに打ち出したのが、エッジ(現場側)強化の姿勢である。従来シーメンスはオートメーション機器などエッジ側の機器については「既に強みがある」という前提に立ち、ソフトウェア群の強化やOT(制御技術)情報を活用する基盤である「マインドスフィア」の価値などを訴えてきた。

 しかし、ハノーバーメッセ2019では新たに「インダストリアルエッジデバイス」とする新たなエッジ用機器を発表。ブースでも大きく紹介した。インダストリアルエッジデバイスは一種の産業用PCだが、エッジ側の情報の集約や管理、クラウドからのフィードバックの適用など「エッジコンピューティング」に関する領域を専門に担う端末となる。マインドスフィアとのシームレスな連携が可能となる他、エッジ専用アプリなどを用意し、さまざまな機能を追加することが可能だ。

photo 新たに投入が発表されたインダストリアルエッジデバイス。エッジとクラウドの間に位置することを示している(クリックで拡大)

 シーメンスは従来、PLCや産業用PCなどのOT端末で、機器などの制御とともに、これらの情報活用を担わせるという方向性だったが、専用端末を間に用意することで、エッジ側での情報活用を強化するという考えだ。「従来はそれぞれのOT端末とマインドスフィアを直接結ぶことを想定していたが、エッジ側で処理できるものは処理する必要性があると考え、エッジコンピューティング専用端末を用意した」(ブース説明員)としていた。既にパイロットプロジェクトなどを進めているが本格投入は2020年を予定している。

photo シーメンスのOT機器群におけるインダストリアルエッジデバイスの位置付け(クリックで拡大)

 また、新たに無人搬送車(AGV)に参入することも発表。ブースでは、自動車部品などの搬送を行うような大型のものや、協働ロボットと組み合わせて利用するものなど、さまざまな製品バリエーションを紹介した。

photo 新たに投入を発表したAGVの活用例の1つ(クリックで拡大)
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