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日立化成が検査不正への対応で進捗公表、新たに2製品でも不正判明製造マネジメントニュース

日立化成は2019年4月25日、同社グループで不適切検査などが発覚した事案で再発防止策の進捗を公表した。また、これまでに公表していた対象製品とは別の製品でも不適切事案があったことを明らかにした。

» 2019年04月30日 10時00分 公開
[松本貴志MONOist]

 日立化成は2019年4月25日、同社グループで不適切検査などが発覚した事案で対応の進捗を公表した。また、これまでに公表済みの製品とは異なる製品でも不適切事案があったことを新たに明らかにした。

 不適切事案の存在を新たに明らかにした製品は、同社グループ会社が製造する樹脂パッキンとレジンコーテッドサンドの2種。対象製品が納入された顧客は樹脂パッキンで2社、レジンコーテッドサンドで25社となる。樹脂パッキンでは原料の受入検査未実施、レジンコーテッドサンドでは顧客と取り交わした納入仕様書で規定する検査方法を顧客への通知なく変更していた。これら不適切行為による品質への影響はないとする。また、開発部門ではさらなる問題がないことを確認したという。

 同社グループで発生した一連の不適切行為で影響を受けた顧客数は延べ2587社となる。安全性が確認できた、または当面は問題ないと見解を示した顧客数は現時点で2473社(構成比95.5%)。対象製品の納入実績があることを通知した段階、もしくはこれから通知する顧客も33社(同1.3%)存在しており、特に海外グループ会社で対応の遅れが目立つ。

不適切行為への対応状況(クリックで拡大) 出典:日立化成

 再発防止策では、「人の手を介さない検査システムの構築」と「企業風土改革」の点に関する進捗が公表された。

 人の手を介さない検査システムの構築では、検査自動化によるデータ、成績書などへの人為的操作を排除することを目指す。第1段階として成績書発行システムの構築、第2段階として測定器データ自動転送化の実現を行う。日立化成の事業所では2020年度末まで、同社グループ会社は2022年度末までに検査システム構築の完了を予定しており、投資規模は120〜150億円となる見込みだ。現在は、成績書発行システムの設計および測定器データ自動転送化の設備調査や見積もりを実行しているという。

人の手を介さない検査システムの導入計画(クリックで拡大) 出典:日立化成

 企業風土改革では「継続的なトップメッセージ発信と経営者と従業員間のコミュニケーション強化」「コンプライアンス教育の強化」「コンプライアンス違反に関わる就業規則運用強化」の3本柱を掲げる。コンプライアンス教育の強化のため、既に実施している弁護士によるコンプライアンス定期講習やコンプライアンスに関するeラーニングの他、新たにワークショップ形式のコンプライアンス特別講習や実務に沿った職能専門教育を追加する。

企業風土改革の概要(クリックで拡大) 出典:日立化成

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