特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

ヒト型双腕協働ロボットや金属3Dプリンタなど、社名変更控える東芝機械の新製品群【訂正あり】FAニュース(1/2 ページ)

東芝機械は2019年5月7日、「東芝機械グループ ソリューションフェア」(2019年5月23〜25日、同社沼津工場および御殿場工場)の開催概要を発表するとともに、同フェアに出展する新製品群を紹介した。

» 2019年05月08日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 東芝機械は2019年5月7日、「東芝機械グループ ソリューションフェア」(2019年5月23〜25日、同社沼津工場および御殿場工場)の開催概要を発表するとともに、同フェアに出展する新製品群を紹介した。

【訂正】初出時に、東芝機械の社名変更時期について「2019年4月」と記載していましたが、正しくは「2020年4月(予定)」の誤りでした。お詫びして訂正致します。(2019年5月9日10時30分)

CASE時代の産業機械の在り方

photo 東芝機械 専務執行役員でグローバル推進本部長 兼 東京本店長の八木正幸氏

 東芝機械では毎年顧客を招き同社の新製品や新技術などを実際に体験する場として「東芝機械グループ ソリューションフェア」を開催し、2019年は17回目を迎える。東芝機械 専務執行役員でグローバル推進本部長 兼 東京本店長の八木正幸氏は「当初、来場客は2000人程度だったが、2018年は6900人にまで増えた。2019年は7000人を目指したい。受け入れる側である開発陣も最初はどう対応してよいのか分からなかったが、今では顧客のフィードバックを直接受けられる場として、楽しみにするようになっている」とここまでの道のりについて述べている。

 東芝機械では、2016年に東芝グループから離脱し、2019年6月の株主総会での承認を受けた後、2020年4月からは社名も芝浦機械に変更することが発表されており、大きな変化の時を迎えている。一方で市場環境も大きく変化する。その中で八木氏が訴えるのが、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)による変化である。「自動車産業を大きく変革すると見られているCASEだが、工作機械を展開するわれわれにも深く関わっている。1つは主要顧客である自動車産業の変化に対応するという側面があるが、もう1つは工作機械業界でもこのCASEのような動きがいずれ出てくるという点である」と八木氏は語る。

 こうした変化の局面の中、2019年のテーマは「新たな未来への飛躍」を掲げ、CASE時代における産業機械の変化について、さまざまな新製品や新サービスを紹介する。

ポイントの1つはIoTへの対応

 ポイントの1つとしたのがIoT(モノのインターネット)への対応である。東芝機械ではIoTを活用した新たな価値提供に向けて「IoT+m」というコンセプトを打ち出している。「m」には「manufacturing」「machinery」「maintenance」「monitoring」「mind」の意味が込められているとしており、機械メーカーだからこそできる新たな価値訴求を目指し、さまざまな取り組みを進めている。

 この「IoT+m」を具現化するIoT基盤として展開するのが「machiNet(マシネット)」である。machiNetでは、東芝機械製の各種機械からの情報をデジタル化して収集する。遠隔地からの稼働監視や、ログが記録できるために改善などに使えるという利点などがある。ソリューションフェアではこの「machiNet」を実際の業務プロセスにおいて使用するデモなどを披露する予定。具体的には「EVバッテリー」をモデルとした品質データのトレーサビリティー確保や、機械のリアルタイム稼働モニタリング、ディープラーニングを活用したAI画像認識技術による加工プロセスの監視などを紹介する。

 「machiNet」の意義について、東芝機械 執行役員で技術・品質本部 副本部長の西沢誠氏は「IoTへの取り組みは従来東芝機械の中でも各事業部が個別で行っていたが、machiNetによって共通のデータプラットフォームとしての役割を提案していく。実際にはIoTを使いこなし、新たな付加価値として定着していくのはまだ先の話だと捉えているが、まずはデータを収集する仕組みを提供し、そこから得られる価値をより多くの顧客に体感してもらうことが重要だ」と述べている。

photo 「machiNet」のイメージ(クリックで拡大)出典:東芝機械

 加えて「各事業部で取り扱う製品でもIoTやAIへの対応が進んでいるが、部分的には既に成果が見える段階に来ているものも多い。工作機械などにおける加工の予知保全などについては既に効果が見え始めており、早期のビジネス化が可能だと考えている」と西沢氏は語っている。

 その1つが押出成形機の生産性向上に向けた機械稼働の監視や予知保全を行う「ePAQET」である。「ePAQET」は押出成形機向けのIoTツールで、インターネット環境を活用し、装置から収集した情報をオフィスや別工場などでも遠隔で監視できるシステムである。

photo 「ePAQET」の活用イメージ(クリックで拡大)出典:東芝機械
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