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» 2019年05月10日 10時00分 公開

海外医療技術トレンド(46):Medtech×AIのゲートウェイとして注目されるモントリオール (2/3)

[笹原英司,MONOist]

大学−市民協働型予防保健クラスターを担うPERFORMセンター

図2 図2 コンコルディア大学PERFORMセンターが提供する機能(クリックで拡大) 出典:Concordia University PERFORM Centre

 他方、予防を介した健康の向上にフォーカスしているのが、モントリオール市内にあるコンコルディア大学傘下のPERFORMセンター(図2参照、関連情報)だ。

 同センターは、ビジョンとして、「健康の向上のための研究、教育、コミュニティーエンゲージメントにおける世界的なリーダーとなる」ことを掲げた上で、以下のような取り組みを通して、健康なライフスタイルを管理する最善の方法の発見、評価、共有を統合、加速させることをミッションとしている。

  • 異なる領域の科学や学習の間で協働する
  • 研究や教育における包括的なソリューションを提供する
  • 研究参加者、学生、保健専門家、社会全般のコミュニティーとともに、継続的に知識やイノベーションを交換する

 PERFORMセンターは、生体医用画像および健康な加齢におけるカナダ・リサーチ・チェアを務めるベナリ・ハビブ氏の指揮下で、一般市民向けの健康プログラム/サービス(例.フィットネスジム、運動療法クリニック、パーキンソン病/関節炎ウェルネスプログラム、けが予防、栄養カウンセリング、高齢者向け健康生活など)を提供すると同時に、革新的な研究(例.脳震とうにおけるバランスと認識能力、肥満の生理学的/生物学的結果、高齢者の移動に関する難聴の影響度、適度な運動中の免疫細胞の機能、肺リハビリテーション・プログラムの最適化など)に参加できる公の機会を提供している。

 モントリオールは、デジタルコンテンツ産業が盛んなことでも知られており、クリエイティブの経験とノウハウを健康医療に応用した研究開発も活発だ。図3は、コンコルディア大学のPERFORMセンターとミリュー芸術・文化・技術研究所が共同で支援するメディア・ヘルスラボが展開する、ゲーム開発者とシニア層の橋渡しパイロットプロジェクト「ゲームクリニック」の事例である。

図3 図3 コンコルディア大学PERFORMセンターにおけるゲーム開発者とシニア層の橋渡しプロジェクト事例(クリックで拡大) 出典:Concordia University PERFORM Centre「PARTICIPATE IN A DESIGN RESEARCH PROJECT

 メディア・ヘルスラボは、2018年秋学期より、「ゲームクリニック」を開講している(関連情報)。コンコルディア大学にはメディカルスクールはないが、予防保健、デジタルメディアなど、新たなテーマにフォーカスした研究開発活動を行っている。

 参考までに表2は、PERFORMセンター関連のMedtechスタートアップ企業事例を示している。予防・予測の機能にAI技術を適用した製品とサービスが各スタートアップ企業の特徴と言えよう。

企業名 ソリューション概要 企業URL
Agent Health 医療現場向け統合型AIプラットフォーム、AIチャットボット、AI/機械学習導入支援/トレーニングツールなどを開発・提供 https://agenthealth.ai/
Carre Technologies ウェアラブル心電・呼吸器・加速度センサー機能付スマートシャツを開発・提供 https://www.hexoskin.com/
Shaddari 臨床意思決定システムを利用して、適正な投与量を瞬時に確認し、患者仮想化技術を利用して、医薬品の効果を予測するソリューションを開発・提供 http://shaddari.com/
Virtual Rehab エストニア発の仮想現実(VR)技術やAI、ブロックチェーンを利用した物質使用障害患者向け予防・治療ソリューションを開発・提供 https://www.virtualrehab.co/
表2 コンコルディア大学PERFORMセンター関連Medtechスタートアップ企業の事例 出典:ヘルスケアクラウド研究会作成(2019年4月)

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