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» 2019年07月08日 10時00分 公開

輸出競争力アップへ装置盤革新で成長:JBCM会員企業 マスダックマシナリーが語る製菓機械のモノづくり革新、ねじレス安全・省スペース・メンテナンス/洗浄しやすさ向上でユーザーへ貢献

空前のスイーツブームでコンビニエンスストア向け商品も含めた目まぐるしい新商品の投入に対応するため、製菓製造装置メーカーの奮闘が続いている。さらに訪日客急増でお土産含めたインバウンド需要も活況であり、装置輸出強化に向けて、日本製パン製菓機械工業会(JBCM)会員企業が、次世代装置の革新に乗り出した。製菓業界を60年以上支え続けてきたマスダックマシナリーに革新に向けた取り組みを聞いた。

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「はじめに菓子ありき」を原点とする製菓機械企業

 マスダックは、1957年の創業以来、日本独自の菓子パン、和洋菓子を製造する製菓機械メーカーとして、安全で安心なお菓子生産を実現する機械づくりを進めてきた。歴史の原点にある言葉は「はじめに菓子ありき」である。単純に製造機械としての効率化だけを求めるのではなく、よりよいお菓子づくりを支援することを目的と位置付けているという意味だ。

 創立60周年を迎えた2017年には、新しいコーポレートスローガンとして「Sweets Innovation Company」を掲げた。蓄積した技術を生かして革新を生み出し、生産ラインの企画や提案まで行う総合機械メーカーとしてのポジションからの飛躍を目指している。また、同社社長の増田文治氏は121社が加盟する「日本製パン製菓機械工業会(JBCM)」の理事長としての役割も担い、個社としての取り組みとともに、製パン製菓業界およびそれを取り巻く各関連産業の発展にも積極的な取り組みを見せている。

 2019年4月1日にはグループ全体のさらなる発展を目的にグループ再編を実施。機械事業を分社化し「マスダックマシナリー」を設立した。合わせて持株会社の「マスダックホールディングス」は「マスダック」へと社名変更を行い、事業管理会社として、マスダックグループ全体を統括する会社としている。この他、2018年9月に食品事業を分社化した100%子会社の「マスダック東京ばな奈ファクトリー」が、東京土産として人気の高い「東京ばな奈」のOEM生産を行っている。

 このマスダックマシナリーが製造する製菓機械には、オーブン、スチーマー、充填成型機、直焼焼成機(どら焼き機)などがある。オーブン(トンネルオーブン)は遠赤外線ガス式オーブンで、過熱蒸気と組み合わせて焼ムラのないボリューム感あるお菓子を短時間で焼き上げることができる。直焼焼成機のうち全自動どら焼き機は、どら焼きの「生地絞り」「焼く」「餡を絞る」「挟む」といった生産工程の全てを全自動で行う。それぞれの店の製法をコンピュータ制御により自動化し、中間返しのタイミングや焼き時間など、ユーザー独自の焼き方を忠実に再現する。こうした個々のノウハウを再現できる点がマスダックマシナリーの強みであるといえるだろう。

photo マスダックマシナリー 入間工場の外観(クリックで拡大)出典:マスダックマシナリー

人手不足やグローバル化の影響

 ただ製菓業界にも大きな変化の兆しが見え始めている。大きなものが人手不足だ。特に製菓業界では、自動化が他の業界に比べて進んでおらず、労働生産性が低いという課題がある。これらに対し、いかに生産性を高めて効率的な製造現場を実現するのかという点が大きな注目を集めている。そこで重要性が高まっているのが、製菓機械の存在だ。従来以上により多くの領域で機械にできることは機械に任せようという動きが広がっているのである。

 とはいえ、製菓業界に求められる機能や性能を発揮しつつ、新たな自動化ニーズに対応するのは容易なことではない。製菓業界独自の仕様や制限などに対応する必要があるからだ。

 例えば、製菓関連の機械では、基本的に構造をシンプルにすることが求められている。清掃性とメンテナンス性を高めるためである。

photo マスダックマシナリー 入間工場の内部の様子(クリックで拡大)出典:マスダックマシナリー

 「マスダックマシナリーでは、例えば、製菓機械は基本的には床から300mm以上の高さを保つようにしています。これは、床掃除のしやすさを考慮したものです。また、装置表面も円滑にし、ボタン類なども出っ張らないようにできる限りしています。これらも拭き掃除を容易に行えるようにという狙いがあるからです」(マスダックマシナリー 生産本部 電気制御技術部 部長の川瀬輝雄氏)

photo マスダックマシナリー 生産本部 電気制御技術部 部長の川瀬輝雄氏

 こうした要件以外にも可動部の構造に対する設計ポリシーが加わる。例えば、製品の搬送工程の上部に、機械の可動部分があった場合、振動や擦れなどで異物混入が発生するリスクが高まる。できる限り可動部は搬送工程に置かないような設計が求められるのだ。

 さらに、菓子そのものもSNS映えするような複雑で目を引く製品が目立ってきており、少量多品種化が加速している。製品によっては自動化をしたくても機械の組み換えが頻繁になりすぎて難しい状況もある。こうした環境では、人と共同で働くということも想定し、機械自体はコンパクト化を進めるということなどが求められる。

 一方、国内の菓子消費を支えるインバウンドの影響で、日本の菓子が評価を受ける機会が増えていることから、海外でも同様の菓子を作りたいという需要が高まっている。政治情勢に影響を受ける国があるにせよ、総じて見れば安定した経済成長を続けるアジア地域では、日本のようなおいしい高付加価値の菓子を求める需要が高まっている。しかしながら、日本の食品工場ほどの安全衛生に対してのシビアな意識や価値観には至らず、そういった意味での投資感覚のギャップがコスト要求へ反映される。こうしたアジア市場への対応として、機能・構造のシンプル化によるコスト競争力が求められる。

 日本市場とはある意味で異なる需要となっているわけである。これらのように市場ごとのニーズが多岐にわたり、機能や性能の幅も従来以上に広がっている状況があるのが製菓機械を取り巻く環境だといえる。

設計基盤構築とゼロキャビネット化

 こうした状況にモノづくりを対応させていくには何が求められるのだろうか。マスダックマシナリーがまず取り組んだのが設計基盤の確立である。

 ニーズが多様化する中で、個々の製品を最初から全て開発していれば、人がどれだけいても足りないことになる。そこでまず機械設計ツールとして3DCADを採用し、さらに電気設計ツールも機械設計ツールと同じベンダーのソフトウェアを採用。それぞれにおいて、1度設計した情報を有効活用できるようにした。さらに、構成要素をBOM(部品表)で一元管理し、メカと電気の設計の整合性などを一元的に管理できるように取り組んでいく。部品そのものの管理が容易になり、この情報基盤を予防保全などにもつなげられる。

 生産本部 電気制御技術部 部長の川瀬輝雄氏は「メカとエレクトロニクスで共通の基盤を構築することで、設計のリードタイムの短縮ができ、将来的にはソフトウェア設計基盤も構築して統合していきたいと考えています」と取り組みの方向性について述べている。

 これらの設計基盤の構築を進める一方で、開発体制も変更。2018年よりマーケティング部が発足し、同部がプロダクトチームをコントロールする体制とした。これにより市場ニーズとターゲット市場を明確にした製品開発を行える仕組みとした。

 こうした体制で取り組んだ成果の1つとして、アジア市場向けのトンネルオーブンの新製品への取り組みがあるという。

photo トンネルオーブン新製品の外観(クリックで拡大)出典:マスダックマシナリー

 トンネルオーブンの新製品は、アジア市場向けに供給を行うため、コストを意識して開発を進めた製品である。アジアで求められる焼き上がりの品質に合わせ仕様を変更し、コストを下げた。その中で、以前からニーズのあった省スペース化・コンパクト化を開発要件に盛り込み、制御盤をゼロキャビネット化した。

 「現行オーブンの制御盤は20年前の基本設計であり、電気制御部品も大きく、ねじ取り付けのためのスペースなどを考えるとどうしても制御盤そのものが大きくなりがちでした。スペースがなく、制御盤の開け締めをする扉側にも多くの部品が設置されている状況でした」(川瀬氏)。

 ただ、製菓機械に求められる「清掃性」や「シンプルさ」などを考えると「理想としているのは制御盤を収納するキャビネットをなくしてしまう“ゼロキャビネット化”です。大型設備などではどうしても難しい場合もありますが、基本的には全ての制御機器を機械内に組み込んでしまい、ユーザーに意識なく使ってもらえるような姿が目指すところです」と川瀬氏は述べている。

 これらを目指す中で採用を決めたのがオムロンの制御機器である。オムロンでは統一スリムデザインにより制御盤全体の小型化を実現する制御機器群を抱えている。さらに、プッシュイン端子台の採用により、ネジ締め用のスペースも不要となり、これらも制御盤の小型化およびゼロキャビネット化に貢献したという。

 川瀬氏は「機械をコンパクト化し、デザインも機能的にするためには、電装品を小さくまとめていくことが必須だと考えます。今後も標準的な機種についてはゼロキャビネット化を進めていく計画です」と述べている。

 一方で、プッシュイン端子台の効果については「製菓機械などでは、異物混入などを防ぐためにも不要な部品を使わないということが求められています。プッシュイン端子台であれば、ねじは不要となります。製作作業効率も考慮し、ねじレス化についても引き続き進めていく方針です」と川瀬氏はその意義について語っている。

photo 新製品の制御盤(クリックで拡大)出典:マスダックマシナリー

 これらのオムロン製品の採用の効果について川瀬氏は「オムロンの豊富なラインアップが制御盤の小型化に貢献したのは間違いないといえます。従来機種の制御盤内部品をオムロン製の盤ソリューション機器に置き換えると約40%の省スペース化が可能になります。これらの部品を活用することによってゼロキャビネット化し、ほとんど目立たない形にできました。さらに機体から入線するケーブルの接続をプッシュイン式端子台に変更し、従来は配線作業に半日以上かかっていましたが、1時間半程度の作業で終えられるようになりました」と成果について語っている。

IoTを活用した新たな製菓機械の世界へ

 これらの機械そのものに対するモノづくり革新と合わせ、同社が新たな取り組みとして推進しているのが、IoTを活用して生産をサポートする「マスダック予防保全システム」である。

 使用している機械にデータ集積装置と通信機器を取り付け、機械の稼働状況をクラウド基盤に収集して記録する。異常発見時には即時にメールでアラートを送る他、部品交換時期も事前に告知することで、生産の機会損失を低減に貢献する。

 今後はユーザーの反応をフィードバックしながら、新たなセンシング機器の追加などによって、よりきめ細かい予防保全情報をユーザーに提供できるよう革新を進めていきたいとしている。

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提供:オムロン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年8月7日