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KYBが過去最高の売り上げも大幅赤字、検査不正と防衛省への過大請求が響く製造マネジメントニュース

KYBは2019年5月14日、2019年3月期(2018年度)の連結業績を発表し、最終損益が248億円の赤字となったことを発表した。不適切検査が発生した免震・制振用オイルダンパーの交換費用がかさんだことや、防衛省に対する過大請求への損失引当金などの計上が響いた。

» 2019年05月14日 14時30分 公開
[松本貴志MONOist]

 KYBは2019年5月14日、2019年3月期(2018年度)の連結業績を発表し、最終損益が248億円の大幅赤字となったことを発表した。不適切検査が発生した免震・制振用オイルダンパーの交換費用がかさんだことや、防衛省への過大請求に対して今後見込まれる返納金などの計上が響いた。

 同社グループの2018年度連結業績では、中国市場で建設機械向け製品の需要が増加したことなどにより、売上高が前年度比4.7%増の4122億円で過去最高を記録した。一方で、営業損益は285億円、最終損益は248億円のそれぞれ赤字となり、同社が引き起こした企業不祥事が業績に与えた影響は非常に大きなものとなった。

 免震・制振用オイルダンパーの不適切検査では、ダンパーの製作および交換費用、構造再計算費用、対応本部の諸費用などについて、製品保証引当金と製品保証対策費として合計144億円を計上した。

 防衛省に対する過大請求は同社の航空機器事業で行われ、工数の不適切な計上が発生していた。今後発生すると見込まれる返納金について損失引当金として76億円を繰り入れるとともに、同事業の固定資産減損損失に20億円を計上した。同事案については防衛省が2019年3月から特別調査を開始しており、調査の進展により損失引当金の金額が変動する可能性があるとしている。

 2020年3月期(2019年度)の連結業績予想では、売上高が前年度比0.5%増の4100億円、営業利益は194億円、最終損益は140億円を見込んでいる。

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