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» 2019年05月15日 10時00分 公開

モビリティサービス:自動車業界の大変革CASEに向けて、マイクロソフトが持つ“部品”

コネクティビティや自動運転化によって、もともと多くのデータを生み出していたクルマから、さらに大量のデータが手に入る。それをどう分析、加工し、いかにして有意義な情報として活用できるかが、自動車メーカーやモビリティサービスプロバイダーの競争力を握っている。そんな環境にある自動車業界をマイクロソフトはどのようにサポートするのか。

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 コネクテッドカーや自動運転車は膨大なデータを使用し、そして生み出す。自動車メーカーやモビリティサービスのプロバイダーにとっては、集められるデータ量が増えることで、さまざまなサービスの提供につなげるビジネスチャンスが生まれる。より多くのデータを集め、活用することが企業としての競争力に直結する。こうした状況を自動車業界のトップたちは「100年に1度ともいわれる大変革だ」と口をそろえる。

 また、「CASE」の重要性もさまざまな企業が認識している。「C」はコネクティビティ、「A」は自動運転、「S」はシェアリング、「E」は電動化を意味し、それぞれの分野で大量の自動車のデータを活用した新しいサービスが望まれている。

日本マイクロソフト グローバル事業本部 オートモーティブ インダストリー ダイレクターの内田直之氏

 これについて、日本マイクロソフト グローバル事業本部 オートモーティブ インダストリー ダイレクターの内田直之氏は「データ量が格段に“増える”のではなく、“増やさなければならない”という方が正確です」と語る。

 自動運転車の研究開発では、現状以上に多様かつ詳細なデータが求められているのがその理由だ。「どのデータが使えるかはまだ明確ではありませんが、後になってデータを集め直すことは難しいです。今はとにかく手に入るデータを集めておこうという段階です」(内田氏)。

 こうした動向に備えて、データをためる仕組みや、ためたデータを取り出す仕組みは整いつつある。車両側である程度の情報処理を行うための「ビークルコンピュータ」や、画像データを扱いやすくするためのデータ圧縮技術などの開発も進められている。

 しかし、課題となるのは、こうしたデータ転送にかかるコストをどのようにまかなうのかという点だ。「5Gの運用を待つのも1つの手段ですが、専用のチャネルや周波数を割り当てられるのであればそれも有効です。低い高度を飛ぶ通信衛星を利用する方法もあります。ただ、クルマのユーザーに負担してもらうのは難しいと考えられます。今、ドライバーがテレマティクスサービスで得られるメリットは、今後増え続ける通信コストに見合っていないからです」(内田氏)という現状もある。

 さらに、コネクテッドカーや自動運転車が生み出すデータをビジネスに結び付ける上では、データを実際にどのように活用するかということが通信コスト以上の大きな課題となっている。自動運転車の研究開発に応用することは自動車メーカーやサプライヤーによる“内部消費”でしかない。MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)のように外に向けた応用が進まなければ、コストに対するマネタイズが実現しない。内田氏はテレマティクス分野に10年取り組んでいるが、「クルマのデータから新しいサービスを生み出すのは長年の宿題です」と話すように、革新的なサービスは簡単には出てこない。

 ただ、“センサーのオバケ”であるクルマは、高いデータ収集能力を持つ。ECUが「Engine Control Unit」から「Electric Control Unit」に意味が変わっていったように、車両の至るところにセンサーが配置され、それぞれのアクチュエーターを制御するためにECUにセンサーデータが集められている。車両そのものの情報にとどまらず、自動運転車の開発に必須とされるドライバーモニタリングシステムのように、車両内からもより多くの情報が得られる可能性がある。足回りの動き方を示すセンサー情報があれば道路の舗装の欠損を推定することもできるように、生かし方としては高いポテンシャルがあるという。

 カギを握るのは、クルマのデータから分析した結果をリアルタイムに提供できるかどうかだ。「何かトラブルがあった地点から半径1kmの範囲にいるドライバーに情報を知らせることができれば役立ちますし、道路管理会社などにも役立つと考えています。リアルタイムな情報は必要とされています」(内田氏)。また、データ活用の形が、従来の使い方のドライバーには向かなくても、MaaSの中で生まれた新しい使い方に適することも考えられると内田氏は見込む。

マイクロソフトは完成品を作らない

 こうした環境に置かれる自動車メーカーやサプライヤーに対し、マイクロソフトは何を提供するのか。内田氏は「マイクロソフトは、クルマをつくるためのサポートとなるソリューションを提供します。マイクロソフト製コネクテッドサービスを完成品で売るのとは違います。クルマやハードウェアもマイクロソフトとしては作りません。次世代の自動車に必要とされるコンポーネントを対象に、サービスやシステムをつくるためのフレームワークを提供しています」と語る。

 その一例が、「Microsoft Connected Vehicle Platform(MCVP、マイクロソフトコネクテッドビークルプラットフォーム)」である。MCVPが扱うのは、テレマティクス(Telematics and Predictive Services)、プロダクティビティ(Productivity and Digital Life)、先進運転支援システム(ADAS)向けのコネクテッド機能(Connected Advanced Driver Assistance Systems)、次世代ナビゲーション(Advanced Navigation)、カスタマー分析(Customer insights and Engagement)といった5つの分野だ。これらの分野に関する設計情報やプログラムのソースコードをオープンにするのがMCVPだ。一部のユーザーに提供を開始しているが、これまでにVolvo Cars(ボルボ)やBMW、三菱ふそうトラック・バスなどで採用された実績がある。

マイクロソフトがCASEに向けて提供するソリューション 出典:日本マイクロソフト

 2019年3月には、ルノーと日産自動車、三菱自動車によるアライアンスが採用を発表した。3社のアライアンスは、コネクテッドカーのデータを保持、管理、分析するプラットフォーム「アライアンスインテリジェントクラウド」の立ち上げにMCVPを活用。ルノーのコンパクトカー「クリオ(日本国内ではルーテシア)」と、日産自動車が日欧で販売する電気自動車「リーフ」の一部モデルを対象に2019年後半から運用を開始する。アライアンスインテリジェントクラウドは、3社が車両を販売する200の市場ほぼ全てをカバーする大規模なものとなる。

 自動車メーカーやサプライヤー、自動車業界に参入する新たなプレイヤーは、MCVPの5分野のうちの1つから利用することが可能だ。サービスの開発に採用する場合でも必要な部分のリソースだけを利用することができる、“自動車部品”の1つだといえる。「車両から吸い上げたデータと、そのデータを応用したクルマのアップデートや管理は、自動車業界にとって競争領域です。そこで差別化を図りたい企業が、オリジナリティーを生かしながらコストを抑えて開発できるようサポートします」(内田氏)。

 これは、一からでなくてもシステムやサービスの開発を始められることを意味する。「クルマの中の一部しか持たないサプライヤーも、クルマ全体として見た時に自社の技術や製品がどう貢献できるかという目線で開発を進めることができます。また、電気自動車への参入を表明した家電メーカーのように、自動車業界に転身する異業種の企業も増えています。MCVPを利用して、ある程度出来上がったところからスタートラインに立てるのはメリットになるのではないでしょうか」(内田氏)。

 MCVPを利用することと、マイクロソフトのクラウドサービス基盤「Azure(アジュール)」を使うことは意味合いが少し違う。MCVPでシステムやサービスを設計することで間接的にAzureの機能を使うことにはなるが、ラッピングされたMCVPのモジュールが緩衝材となり、変化が著しいクラウドサービスの仕様の影響を吸収する。MCVPのユーザーは自社のシステム開発に集中できるということだ。また、クラウドよりも、車載コンピュータや、オンプレミス環境で処理する方が適したケースがあることも踏まえ、Azureへの接続は前提としていない。

CASEの「C」だけでない、レベル4以上の自動運転にも備え

 Microsoft “Connected” Vehicle Platformという名称ではあるものの、CASEの「C」のみを対象にしているわけではない。例えば、ナビゲーションシステムに推論を取り入れることで、位置情報や走行レーンなどから行き先を予測し、ルート案内を設定していないときにも渋滞情報を提供することができる。これは運転支援や自動運転にもかかわってくる。また、電気自動車が限られた走行距離を効率よく使う上でも、コネクテッドサービスは重要だ。このように、「C」だけでなく「A」「S」「E」も含め全体をカバーする“部品”としてMCVPを位置付けている。

 クルマの部品の1つである以上、現在の構成が完成品ではないと内田氏は語る。「現在のMCVPは、ドライバーにどんな情報を提供するかという観点なので、レベル3の自動運転車まではカバーできるかもしれません。しかし、無人運転車になると、運行管理やメンテナンスなど今までにない目線での情報提供が求められます。マイクロソフトの研究開発部門は、自動車メーカーの動向や取り組みを踏まえながらレベル4以上の自動運転車に向けて準備を進めています」(内田氏)。

 クルマから得られるデータは、位置情報の軌跡だけでも簡単に持ち主を特定することができる個人情報だ。マイクロソフトでは、MCVPに関わる全ての個人情報に関して、一切の管理と利用をMCVPのユーザーである企業に委ねている。つまり、マイクロソフトとしてデータを収集することはもちろん、利用することもしない。マイクロソフトのように、データの扱いに関するポリシーを明確にし、全ての業種に対して一貫した姿勢を示すのは珍しい。

自動車メーカーだけでなく、自動車業界と付き合う

CASEによって自動車業界に起こる産業革命をサポートしていく。

 CASEという産業革命を受けて、内田氏は「自動車メーカーだけと付き合うのではなく、自動車業界と付き合っていきたいと、ここ2年間で強く感じています」と語る。

 電動化によって自動車を構成する部品点数が大幅に減少する一方、それぞれの部品には、これまでになかった役割や周辺部品の機能を取り込むことが求められる。これにより、たとえ一部の部品しか持たないサプライヤーであっても、クルマのシステム全体を見ながら技術開発を推し進める重要性が高まっている。

 また、運転支援システムの高度化や自動運転技術の導入によってクルマが大きく破損するような事故が減少していく。修理工場に対する需要と供給の在り方が変化するだけでなく、ぶつからないことを踏まえて車両のデザインや使用する素材も従来とは変わっていく可能性がある。

 こうした産業革命のさなかにある自動車業界の企業の変革を、マイクロソフトとしてサポートしていく姿勢だ。内田氏は、WindowsやOffice製品を広く展開してきたことで、あらゆる業界に広くコネクションを持つことがマイクロソフトの大きな強みになっていると語る。社内にさまざまな産業、業種を担当するメンバーがおり、業界を超えた動向のリサーチや連携が容易なため、新しいサービスの開発に役立つ。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年6月14日

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